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振替休日

 今日は文化祭の振替休日だ。俺はレンタル品の返品の立ち会いや銀行でのアレコレがあるから登校するけどね。


 まだ登校するには時間があるので愛美と朝輝を保育園へと連れて行く。二人は久しぶりの兄との登園に大喜びで、こちらも嬉しくなる。学校のハズの俺が連れてきたので事情を聞かれるも文化祭の振替休日なだけですよと答えれば「あぁ」と納得の表情になる。


 双子を登園させて一旦帰宅したら、飼育部屋と家庭菜園の手入れをする。雪華のためのキュウリも順調に生育中でついに雌花がついたので、期待が膨らむぜ。


 さて、昼飯を自宅で食べたら学校へ向かう。雪華は今日はフルでバイトだ。土日の高校の文化祭はバイトを気にせず楽しんで、と店長の厚意で全員休みだったからね。日曜は厳さんの義姉の花穂さんも夕方からのバイトだったし、店長には感謝だな。


 高校に登校したら職員室へと向かう。

「失礼します。九條先生はいらっしゃいますか?」

「内宮君、こちらへ」

 気付いてくれた九條先生に呼ばれたのでそこに向かう。

「振替休日なのに悪いね」

「いえ。文化祭実行委員の人達も登校しているので平気ですよ」

「そうかい?なら、業者の人達がもう来るから頼むね」

「はい」

 という訳で、ブースに設置した焼き台に業務用炊飯器、カセットコンロに七輪などレンタルしたものを業者が確認していくのを立ち会う。破損箇所や重大な汚れなどは無く、追加料金は請求されずに引き渡しは完了する。


「さてと、じゃあ銀行へ行こうか」

「はい。ただ、金銭面になるので鳳来さんも同行してもらおうと思っています」

「ふむ。わかりました、いつ頃来ますか?」

「昇降口にいると連絡来てます」

「では、一緒に行きましょう。靴を履き替えて職員玄関に来て下さい」

「はい」


 昇降口で鳳来さんと合流して、職員玄関に一緒に向かう。

「悪いね、休みなのにさ」

「平気よ、彼氏は学校だしね。うちも売り上げがどの位なのか気になってたし」

「値段の関係でほとんど硬貨だしな。手作業で、となったら班員全員で数えることになるよな」

「それに分配されても硬貨ばかりは使い勝手が良くないわよ」

「ははは、確かに」

 そんな会話をしつつ、九條先生のところへ。


 銀行には俺達以外にも同校の人達がいた。九條先生の話しによると、総額の書面が必要になる場合もあるから売り上げが少額でも銀行で数えてもらうとの事だ。

 俺達の番となり、機械で計数してもらい紙幣に両替してもらう。本来は硬貨から紙幣への両替は手数料が必要となるけど学生の文化祭の売り上げなので、特別に免除されるらしい。


「では、売り上げ金は一旦預からせてもらいますね。明日の放課後に内宮君に渡すので皆さんで分配して下さい。それと、明日の全校集会で文化祭の売り上げ発表があります。もし、上位に入った場合は代表者が登壇の可能性もありますのでお願いしますね」

「わかりました。では先生、今日はありがとうございました!失礼します」

「先生、失礼します」

 銀行でのアレコレを終わらせた俺達は職員室へと戻り、解散となった。


「金額の内訳、教室で見る?」

「いや、教室は多分文化祭実行委員がいる可能性もあるから、喫茶店に行こうぜ」

「そうね。了解よ」

 そして、学校から少し離れた喫茶店へとやってきた俺達は封筒から銀行で発行された明細書の()()()が入った用紙を取り出す。

「ちょっと内宮!手が震えてるわよ?」

「仕方ないだろ?緊張するって」

 そして取り出した用紙の総額を見る。

「ハイ。鳳来さん」

「何、その表情?怖いんだけど」

 鳳来さんが明細書を見ている間にカバンからクリアファイルを取り出す。そこにはレシートやら領収書とかの用紙が入っている。


「内宮、これさ」

「その前に、これが自己負担の総額ね。不正はしていないけど、鳳来さんも一応計算してくれる?」

「わかったわ」

 スマホの電卓機能で計算する鳳来さん。

「うん。同じね」

「そうなるとさ、関東圏ならちょっといい旅館に宿泊できる一泊旅行が可能な小遣いになるよね」

「確かにね。まさか、これ程とはね」

「お米が高いのは仕方ないにしてもさ、赤ネギもネギの中では高価な部類なんだ。で、ネギ焼きを強気な値段で販売したけど売り切れしただろ?他の飲食系って売り上げどうなの?」

「正直わからないわ。少し黒字になればいいね、位の値段設定だったしさ。と言ってもあれ以上の値段の場合、ここまで売れてない気もするし」

「とりあえず、校庭ブースで登壇する心構えはしておくよ」

「頼むわよ、班長!」


 雪華から就寝前のいつもの時間に売り上げ金額を聞かれたけれど「分配金のお楽しみが減るだろ?」と言って誤魔化しておいた。

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