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文化祭一日目

 さあ、やってまいりました文化祭当日です!

 俺は長ネギの箱とクーラーボックスを持参している。クーラーボックスには昨日決めた焼き鳥用の鶏肉が入っている。一応、学校の冷蔵庫にも使用する同じ肉は入っているけれど、売れ行きが不明な以上余裕を持っておく為だな。長ネギはもちろん、ねぎま用のネギだぞ。

 今日の登校風景は、手荷物がある生徒が多いのでクーラーボックスは違和感が無いんだけれど小脇に(かか)えたネギの箱はダメだったよ、うん。


 朝のHRの為に教室に行くと、そこは仕切りで区切られていつもの雰囲気ではなくなっていた。思わず「おー」と感嘆の声が出てしまう。


 HRが終われば12人でゾロゾロと校庭ブースへと向かい、開店の準備をする。一応、壊されてないかチェックするけど大丈夫だったので安心する。まずは最初に焼き台に炭を入れて焼ける状態にする。その作業中に。

「あれ?内宮、何それ」

 俺が炭とは違うものを火のついた炭の上に乗せているのを見た鳳来さんが質問してくる。他の班員も“なんだなんだ”と集まってきたので。

「これはね、オニグルミの殻なんだ。燻製のようにニオイづけは出来ないけれど、香ばしいニオイを漂わせることは可能でね。こんな風に客寄せのためさ」

 そう言って周りを見るように促す。俺達の近くの校庭ブースの人達がほぼ全員こちらを気にしているのがわかる光景があった。

「いいわね!」

「だろ?」

 そう言ってお互いサムズアップをする。


 みんなが開店準備に戻る中、この事を知らなかった雪華がスススと近づいてきて、小声で。

「本当のところは?」

 と聞いてきたので。

「オニグルミの殻の炭化したのが欲しかったの」

 と言うと呆れた顔になった。有効利用して何が悪いんじゃい!この作業すると煙が出るから自宅だと無理なんだからいいじゃん。


 まもなく文化祭開始時刻。商品も軽く焼きはじめて準備万端になったら。

「内宮さ、何か一言気合いの言葉頼むよ」

 と鳳来さんにふられたので。

「みんな!自信のある商品だから、まずは今日一日頑張ろう!そして、文化祭を楽しむぞ!」

 と言って右腕を上げる。

「「「「「おー」」」」」

 と言って答えてくれた後に。

「盛り上がっているところすみませんが、衛生チェックさせてもらいますね」

 と、外部の方が九條先生と一緒に来ていた。

「あ、ハイお願いします」


 外部のチェックも無事に終わり、校内放送で開始が告げられる。流石に校舎からは離れているから、すぐにお客は来ないだろうと思っていたんだけれど……。

「焼きおにぎりをセットで頼む。ほうじ茶付きで」

 周りのブースの人達が買いに来てくれたのだ。香ばしいニオイを漂わせていたので、食欲を刺激してしまったらしい。これも飯テロになるんじゃろか?


 まあ、それもすぐに落ち着いたけどね。そうそう、今は全員Tシャツの上に法被を羽織ってるぞ!法被の背中側には。


 旨い!

 特製

 焼きおにぎり


 の文字が白色で印刷されている。

 法被の焦げ茶色が焼いた部分で白文字が中の部分を表しているのだ!

 Tシャツのほうは、背中側に女の子が口をあけて、手におにぎりを持って食べようとしているイラストと〈焼きおにぎり販売中〉の文字がある。Tシャツを黒色にしたのは汚れを目立たせない為でもある。ちなみにこのイラストを見た新山君と下津木さんが「「有名イラストレーターの絵と同じな気がする」」と言ってたけど追求はされずにホッとしている。ただ、新品の予備は欲しいと言われたので渡したけどね。


「それじゃあ、講堂の見たい演目や校舎内含めて見たい人は見てきていいよ。ただ、昼頃に一度戻ってくれると助かる」

 烏野「じゃあ、彼氏が休憩になるので少し見てきますね」

「「「行ってらっしゃ〜い」」」

 尚、一般公開の明日は外部に恋人がいる人達優先となっている。

 桃瀬「わたしも見てこようかな?」

「桃瀬さんは明日、紹介したい人が来るからヨロシクね」

「それって!」

「おう!」

 と言ってサムズアップする。その光景を見た明槻さんが。

「あの雪華様?あたくしのほうは、どうなんざましょ?」

 と言葉が乱れまくっていたので笑ってしまう。

「まだ、わかんないよ。来たいとは言ってたけれど」

「ガクン」

 少し落ち込む明槻さんなのだった。


 現在の時刻は15時前。あと約1時間で初日は終了となる。なので、ほうじ茶のみ販売している状態となっている。炭はすでに火消し缶に入っているし、炭化したオニグルミの殻も同様だ。これは学校側で厳重に保管してもらい、明日持ち帰ることになっている。そして今は、明日()昼から混雑した場合をどう乗り越えるかについて会議中だ!だけど。

「皆、明日へ向けた会議中に申し訳ないけど雪華と一緒にこれから講堂でやる、お笑いライブを見てくるね」

「もちろん、いいわよ。二人ともコレだけで良かったの?」

「まあね。今日のところは、ね」

「そう?楽しんでらっしゃい」


 雪華と手を繋いで講堂へと行き、お笑いライブを見て一緒に笑う。ここの生徒にしか理解できない内輪ネタも多くて笑わせてもらった。

 ブースに戻ると、本日終了と校内放送が流れたので一旦教室へ行き、HR後に帰宅する。


 今日の疲れを残さない為にしっかりと食べて、しっかりと寝る。明日は女子組の彼氏や厳さんや昌史の恋人が来る時間が重なったら大変だからな。楽しみ半分、不安半分だ。

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