今年最後?のハゼ釣り
前回バイト組のハゼ釣りをしたけれど、今回は違う人達になる。
参加メンバーは俺・雪華・明槻さん・笹嶋さん・桃瀬さんとなっている。厳さんと昌史はデートで、下津木さんと新山君は今月にもある連休でコスイべントがあるらしくそれの打ち合わせという名前のデートで不参加となっている。
明槻さんはメッキを釣りたいとの事で参加している。釣りに興味を持ったのか聞いたら家族からの要望らしい。明槻さんには雪華の兄さんを紹介予定になっているけど、いい組み合わせになるかもしれないね、雪華の兄さんは釣りするから。
笹嶋さんも参加しているけれど、残念ながら彼氏の陽翔は不参加だ。突然知らない人が参加するのは困惑するからな、代わりに我が校の文化祭に来てデートすればいいと思うよ。
今回も最寄り駅に集合してバスで釣り場へと行き釣り開始。皆に餌を付けつつ明槻さんはルアー釣りなのでやり方を教える。雪華は今はハゼ釣りをしている。
「それじゃあ、俺が投げたみたいに投げてみて。投げる時は必ず周囲を確認してからにしてね」
「わかった」
一旦俺も明槻さんのそばから離れる、その時に桃瀬さんが釣り上げたので対応する。
「感覚頼りになるんだけど中層付近を意識しながら巻いてもらって、あ、巻く速度が早いからもう少しゆっくりね」
エサ釣りと違いルアー釣りを教えるのは意外と難しいと感じつつ教えていく。
「何か引っ張られるよ!」
「よし!念の為に軽く竿を立てて合わせて。そう、そしたら急いでリールを巻かずにルアーを流していた時よりかは早めに巻いて」
リールを巻くこと少しして。
「釣れたー」
無事にメッキを釣ることに成功する。これには久々に参加者から歓声が上がる。
「感覚で、としか教えられなくて申し訳ないけど、わかった?」
「何となく、としか言えないかな」
「それでいいから、続けてみて」
「うん」
エサ釣りにも言える事だけど、投げたら必ず釣れるわけでは無いので数をこなす必要がある。
明槻さんの釣りのほうでは無く安全を確認しながら、笹嶋さんと桃瀬さんの対応をしていると。
「内宮君!引っ張られる力が強いよ」
と明槻さんからの助けを求める声が。これには俺と雪華以外の全員、またクロダイか?と色めき立つ。
「念の為に代わるね」
そう言って代わりに釣り上げると、セイゴだった。
「内宮君、これは?」
しゃがんで釣り上げた魚を見ている明槻さんが質問してくるので。
「これはセイゴ、スズキと言う魚の幼魚名で白身の美味しい魚だよ。明槻さん家族も喜ぶよ」
「うわーん」
これは、また釣りを要望される嘆きの声なのだろうか?
親御さんにライフジャケットの購入費と交通費を出すようにしてもらえば釣りに連れ回せるぞ、と不敵にニヤリとする俺を呆れた目で見ていた雪華には気が付かなかった。
「笹嶋さんのクロダイがレアだとすると、セイゴは釣れやすい部類にはなるんだよね」
「「「へえ〜」」」
その後もセイゴは釣れた。前回の時には釣れてないのに今日は釣れるんだから本当に釣りは面白いよな。まあ、雪華と二人で来た時に雪華が釣ったサイズよりかは小ぶりだけどな。雪華もそう思っているみたいでセイゴが釣れても俺にウインクするだけの可愛い彼女になっている。
時間としても釣りは終わりにして、帰宅する事にする。前回同様、笹嶋さんと桃瀬さんにもメッキを雪華が渡して駅で別れる。今回もハゼパの時よりかは少ない釣果だったけど、二人共楽しんでくれたみたいで嬉しい。
俺達は明槻さんのお宅へと向かっている。セイゴが保存袋に入るサイズでは無いので持っていくためだ。
「じゃあ、少し待ってて」
明槻さんの自宅に着き、ドア前で待機する。明槻さんには魚を入れるボウルを持ってきてもらう。
「お待たせ。これに入れてもらえるかな」
「わかった。メッキ用にもう一個いいかな」
セイゴを入れたボウルとは別のボウルを持ってきてもらう。
「うん」
持ってきてもらったボウルに今度はメッキを入れて。
「じゃあ、俺達はここで帰るよ。また学校で」
「千奈津ちゃん、学校でね」
「内宮君も雪華ちゃんも今日はありがとう。また学校でね〜」
明槻さんとは別れての帰り道で、不参加の四人のハゼ釣りはできないかもなあ〜と話しながら帰宅する。
〜明槻side〜
今日は内宮君達と釣りに来ている。ただ、今回はハゼでは無くメッキを釣るためだ。
今回はエサでは無く、ルアーという擬似餌を使って釣りをするとの事。で、前回までの釣りと全然違うので悪戦苦闘する中、最初に釣れた時は一番最初にハゼを釣った時と同じ喜びがあった。
そんな中で今までと違うヒキで内宮君に助けを求める。内宮君が釣り上げてくれたのはセイゴという魚で白身の美味しい魚らしい。
思わず「うわーん」と嘆いてしまったら、事情を知っている皆に笑われてしまった。
内宮君に持ってきてもらい帰宅して、お母さんの帰りを待つ。
「お母さんお帰り。これが今日釣ったやつね」
「あら。この大きな魚は?」
「これはセイゴ。スズキって魚の幼魚名なんだって、お刺身や塩焼きがいいらしいよ」
「あらそうなの?楽しみね」
晩ご飯に出されたセイゴに家族が満足する中、ついに恐れていた言葉を聞くことになる。
「千奈津。お金を出してあげるから釣り道具を揃えなさい。美味しい魚を今後も頼むぞ」
うわーん。




