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銀髪幼馴染との同居生活がすんごく楽しい  作者: 遍羅


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支社長からの贈り物

 週明け月曜に俺は内宮班にある提案をした。それはハゼパーティを蔵持先生達と合同でやらないか?という事だ。

 今回のハゼの調理法は揚げ物。油を使うので誰かの自宅でやるというのは申し訳ないのだ。なので、レンタルキッチンを借りてそこで調理含めたパーティをしたらいいんじゃないか?と思った次第。

 肝心のハゼは先生達にも言ったけど、自然相手なので釣れるときもあれば釣れないときもある。数が少なくて人数分揃わない、なんて場合も考えられるので、釣りに関してのみ助っ人を頼む事にしてある。本人には打診済みで返事待ちの状態。

 もちろん、内宮班で行きたい人は釣りに連れて行くけどな。


 とりあえず、学校以外で先生達に会うのはイヤと感じる人もいると思うので今回は提案のみでじっくり考えてもらう、日にちはまだあるしね。

 一人でも嫌がる人がいたら内宮班だけでやる事は伝えておいたし、レンタルキッチンだけは場所はまだだけど確定とさせてもらった。


 雪華と一緒の帰り道で。

「どうして先生達との合同提案したの?」

「ハゼ釣りには今月に最低一回は行くと先生達には伝えたからさ、その一回をまとめてやれれば楽だからだよ」

「今月何かあるの?」

「家族での栗拾いは確定だろ?それに笹嶋さんと陽翔のダブルデートもあるし、何だかんだ俺にもあるんだよ。夏休みと違って予定は休みの土日祝のみなんだから」

「それもそうだね」

 雪華も納得してもらいながら帰宅する。今日の雪華はバイトは休みだから晩飯は一緒。


 父さんも会社から帰宅して、全員が各々まったりしていると玄関チャイムが来客を知らせる。モニターを確認した父さんによると、職場のお偉いさんらしく対応に向かった。すると。

「広也。ちょっと来てくれ」

「おれ?」

 何故か父さんに呼ばれて玄関に行く。

「支社長。連れてきましたけど」

「あの、えっと、初めまして」

 父さんの支社長という言葉に詰まる。

「初めまして。君のお父さんが働いている上司になる。まあ君には関係ないから気楽にね?」

「は、はい」

 そうは言っても父さんの印象を下げるような言動は出来ない。

「それで何かありましたか?」

「内宮君の息子君は生き物や植物に興味があると聞いてたからね、お土産を持ってきたんだ」

「お土産、ですか?」

「こちらになります」

 そう言って秘書らしき人が発泡スチロール製のクーラーボックスの中を見せてくる。そこには携帯エアレーションをされている小型の赤い魚が三匹いた。

「これは?」

 父さんが質問する。

「実は今日、金目鯛狙いで釣りに行ってきたんだがね、これが偶然釣れたんだよ。小さいしリリースしようとしたけど内宮君の息子君に持っていけば喜ぶと聞いて生かしたまま持ち帰ってきたんだ」

 父さんの会社内でも俺が知られているのにビックリなのだが?

「君は覚えていない位の当たり前の行動だったのかも知れないけど、私()は感銘を受けていたんだよ」

「すみません。覚えてなくて」

「いいよ、いいよ。で、この魚はいるかい?」

「はい!飼育させてもらいます」

「海水魚ですが大丈夫ですか?」

 秘書らしき人に心配されるが。

「大丈夫です。飼育用品はありますので」

「それなら、お渡ししますね。このクーラーボックスごとどうぞ」

「携帯エアはお返ししますね」

「船長から貰ったので一緒にどうぞ」

「では、ありがたく頂戴します」

 魚が入っているボックス一式を貰う。

「内宮君にもこれを」

 そう言って父さんに中型サイズの金目鯛を二匹渡す。

「こんなによろしいのですか?」

「金目鯛を釣りに行ったと言ながら渡さないほど薄情ではないぞ?」

「息子のだけでもありがたいですよ?」

「ははは。まあ、いいではないか!では、私達は失礼するよ」

「お気をつけて」

 そう言って玄関を出て見送る父さん。ただ、その両手には尾ビレの付け根部分を持った金目鯛があるけど…。


 手の汚れがない俺が玄関のカギを閉めてダイニングへと行くと金目鯛の料理について相談する父さんと母さんがいた。今日の晩飯は終わっているから明日以降だね。妹弟が大きな赤い魚に夢中になっているのを見ながら飼育部屋へと向かう。


 飼育部屋に入り、ゴム手袋をして魚に体温が伝わらないようにしてから状態チェックをする。

 どの位の水深から釣ったのか不明だけど水圧変化による眼球の飛び出しや内蔵が口から見えるといった症状は三匹とも無いので大丈夫かも。

「綺麗なピンクの魚だね」

 一緒について来た雪華が言う。

「だな。多分ハナスズキの仲間だと思うよ、専門家じゃないから同定できないけど。仮にハナスズキの場合はスズキとあるけど、ハタの仲間になる。ウチで飼育しているのだとノミノクチとかと同じだな」

「じゃあ一緒に飼育するの?」

「いや、三匹一緒に釣れたのならトリオ(※ハーレムみたいなもの)の可能性もあるから新しく立ち上げていたのにするよ」

「だから常に新しいのを立ち上げているんだ」

「そういうこと。何があるか、わからないからな。飼育者にとってイレギュラーは当然あるから備えておかないと」

 特に海水魚飼育の場合は水質とかの環境を整えておかないといけないからな。また新しく立ち上げておかないと。そんな事を考えながら状態チェックを終えた俺は、水合わせをした後にいつもの薬浴をするのだった。


 金目鯛は翌日に刺身と煮付けで美味しくいただきました。

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