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『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第5章】心のひかりをたしかめて
73/111

【第73話:食後の静けさに包まれて】

夕食のあと、

やわらかな灯りと静けさに包まれる夜。

今日は、心がほっとほどけていく

食後の穏やかな時間を描きました。

【第5章】心のひかりをたしかめて(33話目)


夕食を終えると、リビングにはさらに静けさが広がった。

食卓の片付けが終わり、

るなはまたソファに戻ってブランケットにくるまる。

窓の外はすっかり夜の色で、

遠くの家々の灯りが、まるで小さな星のように瞬いていた。


テーブルの上には、

温かいハーブティーのカップと小さな焼き菓子が並ぶ。

食後の甘いものは多く食べられないけれど、

ひとくちだけ焼き菓子をかじると、

ほんのりとした甘さが口の中に広がり、

一日の終わりに小さな幸福感を運んできてくれた。


彼は静かにキッチンで片付けをしていた。

食器を重ねる音や、水道の流れる音が

部屋の空気にやさしく溶け込んでいく。

ときどき手を止めて、

「おかわりはいかがですか?」と声をかけてくれる。

るなは「もう十分です」と微笑んで応える。


ソファの上でひざを抱えながら、

窓越しの夜景をぼんやりと眺める。

カーテンの隙間から見える夜空は、

どこか澄んでいて、星もちらちらと瞬いていた。


時計の秒針が静かに進む音。

部屋の中には、照明の柔らかな灯りと、

遠くの車の音や犬の鳴き声が、

ほのかに聞こえてくる。

そんな「夜の日常」のすべてが、

るなにとっては安心できるリズムだった。


今日という一日が、こうして静かに終わっていくことに、

心のどこかでそっと感謝の気持ちが生まれていた。

小さく伸びをして、肩の力を抜く。

昼間に残っていた緊張も、

夜の空気の中でゆっくりとほどけていくようだった。


「明日も、きっと同じように夜を迎えられるだろうか」

ふとそんなことを考えてみる。

特別な予定はないけれど、

こうして静かな夜を重ねられることが、

今のるなにはいちばんの希望だった。


ハーブティーをひと口飲み、

その温度と香りにもう一度ほっと息を吐いた。

カップをテーブルに戻し、

ソファに身を預けていると、

キッチンの片付けも終わり、

彼がリビングに戻ってくる。


「今日も一日、お疲れさまでした」

彼のやわらかな声に、

るなは「おやすみなさい」と小さく返す。


一日の終わり、

また新しい夜が始まる前に、

るなは静かにまぶたを閉じた。

一日の終わり、

静かな夜の空気や、温かい飲みものが

そっと心を癒してくれることがあります。

明日もまた、0:00に静かな灯火をお届けします。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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