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『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第5章】心のひかりをたしかめて
69/111

【第69話:午後の陽だまりの中で】

午後のやわらかな陽だまりに包まれて、

静かな時間が流れていく。

今日は、何もしない幸せと、

ささやかな温もりを大切に描きました。

【第5章】心のひかりをたしかめて(29話目)


しばらくソファで静かに過ごしていると、

窓の外の光が少しずつ角度を変え、

部屋の中の模様もゆっくりと移ろい始めた。


るなはカップを両手で包みながら、

外の景色をぼんやりと眺めていた。

木々の枝先が揺れ、風に乗った葉っぱが

ゆっくりと庭の隅を転がっていくのが見える。


リビングには穏やかな陽だまりができて、

その輪郭がソファの足元まで伸びてきていた。

るなはふと足をずらし、

柔らかな光の中に爪先を滑り込ませてみる。

足裏に感じるぬくもりが、じんわりと伝わってきて、

そのささやかな感触がなぜかとても心地よかった。


部屋の隅にはまだ朝の気配が少しだけ残っている。

窓ガラスにうっすらと映る自分の影や、

カーテンを揺らす風の動き。

るなは何も考えず、ただその「今」だけを感じていた。


どこか遠くで、子どもたちの声がまた小さく聞こえてくる。

ときおり車の音や鳥のさえずりが混じり、

部屋の静けさと外の世界が、やさしく重なりあう。

家の中は、時計の針の進む音や、

ときおり聞こえる彼の足音だけが静かに響いている。


「寒くはありませんか?」

キッチンから彼が問いかけてくる。

るなは「大丈夫です」と、やわらかく返す。

「もし冷えるようなら、もう一枚毛布をお持ちしますね」

その言葉だけでも、

どこか心があたたかく包まれていくのを感じる。


カップの中のお茶も、

だんだんぬるくなってきた。

けれど、そのやわらかな温度が今はちょうどいい。

るなはもう一度、深く息を吸い込んで、

静かな午後の空気を味わった。


窓から差し込む光が、時間とともに色を変えていく。

陽だまりの輪郭は、少しずつ伸びたり縮んだりしながら、

リビングの隅々までやわらかく広がっていく。


「こうして、何もしないでいられる午後も、

 本当はずっと大切にしたい時間だったんだな」

るなは心の奥で、そっと思う。


陽だまりの柔らかなぬくもりの中で、

るなは目を閉じて、静かな幸福を胸いっぱいに感じていた。

何も特別なことは起きなくても、

今だけは、やさしい気持ちに包まれていた。

動きの少ない午後にも、

そっと心が癒される瞬間があります。

陽だまりのぬくもりや、静かな空気が、

明日への小さな灯火になりますように。

次回も0:00更新でお届けします。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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