表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第5章】心のひかりをたしかめて
59/111

【第59話:夕焼けのリビングで】

夕暮れの光が部屋を優しく染めていく時間。

静かな午後の余韻と、夜への安心を描きました。

小さな変化や心のあたたかさを、今日もお届けします。

【第5章】心のひかりをたしかめて(19話目)


夕方になると、窓の外の空がゆっくりと茜色に染まっていった。

るなはソファの上で静かに毛布にくるまりながら、

オレンジ色の光がリビングの床や壁を優しく照らすのをぼんやりと眺めていた。


少し前までの自分なら、この時間帯の空や光には

あまり目を向けることもなく、ただ一日が終わっていくのを

どこか遠くの出来事のように感じていた気がする。

けれど今日は、窓から差し込む柔らかな光に包まれながら、

「今日もここで過ごせている」という安心を静かに味わっていた。


ふとリビングのテーブルには、

まだ飲みかけのハーブティーと、彼が用意してくれた小さな焼き菓子の皿が並んでいる。

るなはそっとカップを手に取り、

淡い香りを楽しみながらひと口、温かな液体を口に含む。

冷えかけていたけれど、その温度さえもどこか心地よく思えた。


「お嬢様、灯りをつけましょうか」

静かな声がキッチンのほうから聞こえてくる。

るなは小さくうなずき、「お願いします」と答える。

彼がそっとスタンドランプを灯すと、

リビングにあたたかい明かりがゆっくり広がっていく。


淡い光に包まれた部屋の中で、

るなは今日一日をふり返る。

ほんの少しだけ外に出て、庭の花や風を感じ、

そのまま縁側で休んで、また室内の心地よさに包まれた。

ひとつひとつはごく小さな出来事だけれど、

その積み重ねが「今日も生きている」という証になっている気がした。


やがて彼が新しい紅茶と焼き菓子を持ってくる。

「冷えてしまう前に、どうぞ」

「ありがとうございます」

るなはまた両手でカップを包み、

窓の外の夕焼けを見つめながら深呼吸をする。


遠くからは鳥たちが帰っていく声、

近くではカーテンが風に揺れる音。

そんな静かな暮らしの音に包まれて、

るなはほんの少しだけ、口元に微笑みを浮かべた。


「今日もよく頑張りましたね」

彼の優しい声が、夜の始まりをそっと見守ってくれている。

るなはその言葉を胸にしまいながら、

新しい夜に向かって、静かに息を整える。


やがてリビングの灯りがひときわ柔らかくなり、

るなはカップをそっとテーブルに戻した。

夕焼けの余韻がまだ部屋に残っている――

そんな静かな夜の幕開けだった。

一日の終わりに、そっと差し込む夕焼けの光。

その静かな明るさが、やさしい灯火となって心に残りますように。

明日もまた、静かな歩みを重ねていきます。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


次回も0:00更新でお届けします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ