表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第5章】心のひかりをたしかめて
58/111

【第58話:夕暮れを待つ部屋で】

まどろみから目覚めた午後、

静かな光や風の音に包まれて、心が少しずつほどけていく。

今日は夕暮れを待つ、静かな時間を描きました。

【第5章】心のひかりをたしかめて(18話目)


しばらくまどろんでいたせいか、

るなはゆっくりと目を覚ました。

部屋の中は、まだやわらかな午後の光で満たされている。

ソファの上には、毛布とクッションが散らばり、

ハーブティーのカップには、まだ少しだけ温もりが残っていた。


まぶたの裏に残る微かな光。

体の奥には、眠気と目覚めが混ざり合った心地よいだるさがあった。

しばらくぼんやりと天井を見上げていると、

窓の外から風が木々の葉を揺らす音が聞こえてきた。

昼間よりも風がやや強くなり、

カーテンがふわりと大きく揺れる。

その動きを見ているだけで、

心がゆっくりと落ち着いていく気がした。


るなはソファからそっと起き上がり、

まだ温もりの残るカップを手にして窓辺に移動する。

カーテン越しの光が肌にやさしく降り注ぎ、

外には、夕方に染まり始めた空が広がっていた。

残りのハーブティーをひと口飲み、

静かに深呼吸をする。

午後の重さはまだ体に残っていたけれど、

さっきまでの疲れや眠気は、

ほんの少しだけ和らいだ気がした。


「お目覚めですか?」

彼が廊下のほうから声をかけてくれる。

「……はい。少しだけ、うとうとしていました」

そう答えると、

「お疲れが取れたご様子で、何よりです」

と、やさしい笑顔で見守ってくれた。


るなは窓辺から外の空を見上げる。

淡いオレンジ色に染まりはじめた雲が、

ゆっくりと流れていくのが見える。

庭の木々の影も少しずつ伸びてきて、

鳥たちの声も、昼間とはまた違った響き方をしていた。


カップをテーブルに戻し、

ソファにもう一度腰を下ろすと、

さっきまで体にまとわりついていた重さが、

ほんのわずかだけ軽くなった気がした。

ふと見上げた時計の針が、夕暮れに向かって少しずつ進んでいる。

時間は止まっていない――

その当たり前のことが、今日は少しだけ心強かった。


「夕方になったら、また温かい飲み物をお持ちしますね」

「……お願いします」

るなは小さく返事をし、

しばらく静かに目を閉じた。


窓から差し込む夕暮れの光と、

部屋に漂う穏やかな空気。

静かな時間が、少しずつ夜に向かって歩き出していく。

るなはもう一度だけ深呼吸をして、

今日もこの部屋で、やさしい夕方を迎えられることに

そっと感謝した。

何気ない一日の中で、

ふとした瞬間に感じる「進んでいる」時間の流れ。

そんな小さな気づきや変化が、心の支えになるのだと思います。

明日もまた、0:00に静かな灯火をお届けします。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ