表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第5章】心のひかりをたしかめて
52/111

【第52話:ゆれる午後の光】

静かな午後、庭や縁側の光のなかで、

心がゆっくりとほぐれていく。

五十話目の今日も、日々の小さな変化を大切に描きました。

【第5章】心のひかりをたしかめて(12話目)


縁側で紅茶を飲みながら過ごしたあと、

るなはカップをそっとテーブルに戻した。

外の光はゆっくりと傾きはじめ、

庭の花や葉っぱが少しずつ色を変えていく。


ふと、風が強くなり、カーテンが大きく揺れた。

その音に、るなは思わず肩をすくめる。

けれど、執事が静かにカーテンを押さえてくれて、

「もうすぐ陽も落ちますね」とやさしく声をかける。


「今日は、なんだか時間がゆっくり流れている気がします」

るながそう言うと、

「こうして外で過ごされるのも、心に余裕ができてきた証かもしれません」

と、執事は静かに微笑む。


るなは縁側から足を下ろし、庭の端まで少しだけ歩いてみた。

石畳の上を歩くたびに、

足裏からやわらかなぬくもりが伝わる。

庭の一角に咲いた小さな花にしゃがみこみ、

手のひらでそっと花びらを包んだ。


「この花、去年もここに咲いていたんですね」

るなはそうつぶやく。

「はい。お嬢様がこの家に来られてから、毎年同じ時期に咲きます」

執事が静かに答える。


ふと見上げると、枝葉の間から淡い夕陽がこぼれ、

庭全体を金色に染めていた。

そのまましばらく、るなは庭にしゃがんだまま、

そよ風や葉のこすれる音に耳を澄ませる。


庭の隅にはベンチがあり、

執事が「お疲れではありませんか」とそっと声をかけてくれる。

るなは「もう少しだけ外にいたいです」と微笑み返し、

ふたり並んでベンチに腰掛けた。


背中に感じる木の温かさや、

庭から立ちのぼる土と草の匂い、

どれもが、るなにとっては新しい発見のように感じられた。


「そろそろお部屋に戻りましょうか」

執事のやさしい誘いにうなずき、

るなはゆっくりと玄関へ向かう。

扉を閉めると、外の空気の余韻がふんわりと心に残っていた。


家の中に戻ると、

るなはもう一度、カップに残った紅茶を温め直してもらい、

ソファに腰かけて小さく息をついた。


今日という一日が、また静かに暮れていく。

るなは窓の外を眺めながら、

明日もまた新しい一歩を踏み出せる気がしていた。

物語が五十話まで続いたこと、ここまで読んでくださったこと――

本当にありがとうございます。

これからも一歩ずつ、静かな日々を丁寧に紡いでいきます。

次回も0:00更新でお届けします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ