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『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第3章】ほんの少し、言葉になる
22/111

【第22話:今日、隣にいてくれて】

言えなかったことも、

口にできなかった気持ちも、

ただ隣に座ることで、少しずつ伝わっていく。

今日の灯火は、そんな“背中あわせ”の午後から。

【第3章】ほんの少し、言葉になる(13話目)




背中あわせのまま、ふたりは無言で午後を過ごしていた。

窓の向こうに揺れるカーテンの音と、秒針の音だけが室内を満たしている。


るなは、膝に置いた手をじっと見つめていた。

指先がかすかに震えているのを、自分で止められなかった。


「……無理しないで、って言えばよかったのに」

かすれた独り言が、胸の内側でこだました。


けれどそれを口に出す勇気がなくて、

代わりに、彼女は明人の隣にそっと座るという“選択”をした。

言葉にしなくても伝わる、そんな繋がりが、ふたりの間にはあった。


それで、良かったのかは分からない。

けれど、きっと――

その沈黙は、明人にちゃんと伝わっていた。


「……ありがとうございます」

ふいに、明人がぽつりと呟く。


「?」


るながそっと振り向くと、

明人はいつものように静かな笑みを浮かべたまま、前を向いていた。


「今日、隣にいてくださって」


一言だけ。

それだけで、るなの胸の奥に、ふっと温かいものが灯った。


「……別に、気まぐれだから」


るなが照れ隠しのように言ったその声は、

いつもより、少しだけ柔らかかった。


(続く)

本当は、“無理しないで”って言えたらよかった。

でも、言えない日もある。

ただ隣にいるだけで、伝わることがある。

今日のふたりは、そんな午後でした。


ここまで読んでくれて、ありがとう。

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