表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第3章】ほんの少し、言葉になる
20/111

【第20話:なんか、疲れてる?】

近づいた距離だからこそ、気づいてしまう“いつもと違う空気”。

るなの視線は、はじめて明人の疲れに触れようとしていた。

【第3章】ほんの少し、言葉になる(11話目)


 


その朝、るなが先にリビングに降りると、

明人はすでにカップを手に、テーブルに座っていた。


けれど、いつもとどこか違う。

目の下の薄い影。背筋の伸び方が、ほんの少しだけ緩い。


 


「……あんた、なんか疲れてる?」


るながそう言うと、明人はすぐに姿勢を正した。


「いえ、体調には問題ありません。少し、事務作業が続いていただけです」


いつもの穏やかな声。けれど、そこに漂う疲労の色までは隠せなかった。


 


「ふーん……でも、なんか目がしんどそう」


るなはそう言いながら、自分のカップに紅茶を注ぐ。


「あ、あんたの分も……入れとく」


気づけば手は、もう二つ目のカップを持っていた。


「ありがとうございます。……助かります」


小さな一言に、

いつもより少しだけ、本気の色が混ざっていた。


 


ほんとは、「休んだら?」と、言いたかった。

でもそれを口にするのは、なぜか怖かった。

それを許した瞬間に、彼が自分のそばから離れてしまいそうで――


るなはそれ以上、何も言わなかった。

けれど、明人が紅茶を飲むタイミングに合わせて、そっとカップを持ち上げる。


それだけで、

何かを“並んで支え合っている”ような気がしていた。


 


(続く)

「休んだら?」と言えなかったのは、

その優しさが、自分の不安も触れてしまいそうだったから。

でもそれでも、今日はちゃんと“並んで飲んでいた”。


ここまで読んでくれた方、ありがとう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ