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第二章 ガーディアン① 遭遇

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「CHILD」


https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA


お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください


「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました

聴いてから本編読むとテンション爆上がり!


※挿絵はAIにて作成

ツノ、要らんのだけど…

 ランチタイムを迎え賑わう喫茶店ルーブル。ルミお気に入りのこの店に、今日もタケシは呼び出された。

「家で話をするんじゃダメなんですか?」

「あなたも私も起きる時間も帰る時間も全然違うでしょ? なかなかゆっくり話をする時間、ないじゃない」

 じゃあ何のために一緒に住んでるんだ?という疑問をタケシは飲み込んだ。『触らぬルミに祟りなし』。編集部に伝わる言い伝え通り、下手に突くと話が長くなる(主に説教方面で)のでタケシは下手な口を挟むことを自重している。

「それで? 次の『取材』って?」

「これです」

 小さく折り畳んだメモ用紙を渡す。広げて読み、ルミはポケットへとしまう。

「ちょっと遠いわね」

「こっちの都合で動いてはくれませんからね」

「それはそうね。それじゃ、21:30で待ち合わせ。集合場所は後でこちらから連絡するわ。車で行って停めるとこ無かったら困るし」

「免許持ってるんすかっ?!」

「当然よ。無かったら身分証明とか困るでしょうが。自分の車もあるのよ? 編集長の厚意で編集部のあるビルの駐車場に置かせてもらってるの」

 地球外生命体であるルミが如何様にして免許を取得したのか? やっぱり教習所に通った? いや、おそらくは星間警察機構(ワステロフィ)が裏で何か画策を? それは非合法なのでは? …などなどの疑問がタケシの頭の中で渦巻く。おかげで返事の気が抜けた。

「へぇ」

「あんまり興味無さそうね。まぁいいわ。ともかく後で連絡するから。よろしいかしら?」

「……ハイ」

 肯定の返事以外は話が長くなることを悟ったタケシにはそう応えるしか無かった。

「お待たせしました」

「いいお返事ね。じゃ、お昼いただきましょう。わぁ、おいしそう!」

 ルミはAランチのポークジンジャーに嬉々としてナイフを入れた。



 同日21:20 ルミ到着。しかし待ち合わせ場所にタケシの姿は無かった。『取材先』近くのバス停で落ち合う手筈だったのだが。

「ちょっと早いし、待つか」

 バス待ちの客と見間違えられないようバス停から距離をとったルミは、タケシを待ちつつここしばらくのことを思い返していた。

(一緒に住んでいるとは言え、何だかあんまり役に立ってないなぁ、私。 …ギスギスするよりはマシではあるけど…)

 ぼーっと回想にのめり込むルミ。ふと時計を見ると21:43。

「あれれー? もうこんな時間っ?! …あんニャロー、か弱きレディをここまで待たせるとは不届千万! …それとも先に行っちゃってる?」

 今一度確認のため携帯を見るが、いつもの待ち受け画像のままだった。

「…しょうがない、一人でやるかぁ」

 寄りかかっていた壁からスッと立ち上がり、ルミは目的地を目指した。



 バス停から歩いて数分のところにそれはあった。

 今では借り手も買い手もつかない3階建の廃ビル。手入れされず草ぼうぼうの駐車場。1Fのシャッターには「売物件」のポスター。取引のために中に人がいるとは思えないほど閑散としている。

「まぁ理由が理由だけに賑やかなわけはないんだけど」

 足を進めると見慣れたモノが視野の脇に入った。

「…バイク?」

 シルバーのタンクに6文字のアルファベットと、そのすぐ下に『刃』の文字。それが茂みの中に隠されるように。

「タケシくんの、よね? 何? 先に入ってるっての? もう、連絡くらいよこしなさいってぇの!」

 とは言え本当に先に侵入しているとしたら着信音で不都合が起こるかもしれない。ルミはやはり一人で侵入すると心に決めた。

「それじゃこの辺で。位相 あ、そうだ、コマンド変えたんだっけね。フェイザー!」

 物陰に隠れると、右手首のブレスレットから発したフェイズヘイローをくぐり抜け、黄橙色のスーツを相着するルミ。マスクに隠れたもののその表情は嬉しそうだ。

「ふふっ。それじゃ行くわよ! ガテーヌ!」

 しかし間も無くキリッと顔つきは変わり、愛用の銃を呼び出しビル裏口からの侵入を開始した。



 裏口に鍵は掛かっていなかった。易々と侵入するも、入って間も無く、異常を発見した。

(窓に目張り…)

 窓を割って悪さされないようにとも取れるが、ともかく外へ明かりが漏れないよう、窓という窓にピッチリと目隠しのフタがしてある。周囲をダクトテープで留め塞ぐ周到さだ。

 スーツの暗視モードで見る室内には、元が事務室だったのか、放置された机や棚が見られる。そして。

(誰か、いる)

 赤外線センサーは壁の向こうに人の気配を捉えた。

(何人か分からないけど生身相手なら私一人でも制圧可能、かな。それじゃ)

 と一歩踏み出した時、目の前に黒い影。そして赤い棒状の光。

「チッ!」

 強大なエネルギー弾が野太い音と共に放たれる。ガテーヌから擊ち出された弾は、しかし標的を捉えず壁に当たって炸裂、壁を抉って消えた。

「動くなッ!」

 今一度構え直し、ドットサイト越しに敵を見据える。トリガーを引き絞ろうとした、まさにその時。

「あっ?!」

 視野の外から赤い光が横切ると、銃を構える右手首が中和爆発。ルミの手首に鈍い痛みが走る。ガテーヌを叩き落とされた。

「クッ! ブレイド!」

 すかさずブレイドを展開。しかしルミのものはお巡りさんの伸縮式警棒に相当するもの、緊急用のサブウェポンのため出力が弱い。

 ルミを襲った闇に潜む2つの黒い影。そして暗闇に浮かぶ2つの赤い刃。見るからに出力差があるばかりか、言うまでもなく彼我2対1。不利は否めない。


挿絵(By みてみん)


(マズいな、これ…)

 こちらのドタバタを察知されたか、ガラガラッと勢いよくシャッターが開く音。そして車のエンジン音。

(逃げられる…ッ!)

 背を取られていないだけマシではあるが、暗闇な上にゴチャゴチャとした屋内は足元に何があるか分からない。目の前の二人を突破して、というのは無理な相談だ。

「私はワステロフィ捜査一課、先攻捜査隊一査のルミエール=シューレン! あなたたちを逮捕します!」

「はぁ? 何いってんだ? コイツ」

「これ、ギャノンってヤツじゃねぇのか? 緑って聞いてたんだけど」

「つーか、2対1で何が逮捕だってェの」

(意味が通じてない? この人たちデギールじゃないの? これがタケシくんの言ってた、アンジェラス、ってこと…?)

「今の女の声だったよな。ボコして()っちまう?」

「バッカ。外のにバレたら口も聞いてもらえなくなンぞ」

(…まだ他にも…?!)

 ハッタリがてら身分を明かしたが、通用しないばかりか他にも敵がいるとの不利になる追加情報まで。ルミは焦る。

(ホント、どうする、か…)

 スーツの右手首部は自動修復で元に戻りつつあるが、手首自体の痺れは残る。利き腕ではない左で、どれだけ通用するのか。

 その上

(あーん、もう! ブレイド苦手なんだよなぁ…)

 とあっては。

「ショウ、ソイツの後ろへ回れ。挟み討ちでヤっちまうぞ」

「了解」

 右にいた一人が移動を開始、間も無くルミの背後へ回る。

(イチかバチか、正面の一人だけでも!)

「うぉリャぁッ!」

 ルミは突進する。

「もらった!」

 背後に回った一人がルミの背に一太刀を浴びせようとした、その時。

「アクセルッ!」

 勢いよく裏口のドアが開き、赤い刃を止めたもう一つの赤い刃。

 ルミのブレイドも正面の敵の刃と交錯、敵の侵攻を止め、間合いを取る。

 ルミが振り返ったその先にいた者。

「タケシくんっ?!」

 緑のギャノンスーツ。

「ルミさんっ!」

 タケシだ。

「なんで一人で踏み込んでんのっ?!」

「それはこっちのセリフよっ! 待てど暮らせど来ないから、仕方なく一人で入ったのよっ! あなたこそ何してたのよっ?!」

「早く着いたんで、ちょっと現場を見に来たらなんだか不審な影を見かけたんですよ! それを確認してからバス停に向かって! ルミさんいないし、おかしいなとこっちへ来てみたらなんだかすごい物音するし!」

「じゃあすれ違いだった、ってことっ?!」

「そうみたいですっ!」

「まぁいいわ、そういうことにしてあげる」

「してあげるって…ルミさん、銃は?」

「叩き落とされた…」

「…じゃぁ拾ってください…オレが援護します!」

「了解! よいしょっと…オッケー! で、どうする? 外にもいるらしいわよ?」

「やっぱいるのか! 全員ブチのめしますか?」

「…いや、援軍が来る前に一点集中で突破、ここを脱出するっ!」

「逃げるんですかっ?!」

「多勢に無勢ってヤツよ!」

「でもコイツらあんま強くないですよ?」

「そうやって舐めてかかると痛い目に遭うから!」

「チッ…分かりました!」

「じゃぁそっち! 私がガテーヌで援護するから、タケシくんはブレイドで突破っ! ブレイドが掠めたとしても、振り返らず走り抜けなさいっ!」

「ぐぬぬぅ、分かりましたっ!」

(良かった、素直で…)

「行くわよっ!」

「させないよっ!」

「何っ!」

 いつの間にか二人、増えていた。

「コイツら? ギャノンっていうのは」

 どちらも女の声。

「マナミは?」

 タケシ側の一人が問う。

「アンナさんに連絡してる。で、外で待機じゃん」

「俺たちだけでなんとかなンだろうに」

「まぁでもほら、一応、ね」

〈マナミから全員! なんか来たッ!〉

「なんかって、何だよ?」

〈車! おっきいヤツ! 暗くてよく分か…あっ、警視庁って書いてあるッ!〉

「警察じゃん。ショウ、どうする?」

「そんなん大したことねェよ。まとめてやっちまおう」

(何の話…? いや、車…戻ってきた? 違う…これ、ディーゼルエンジンの音…)

 敵の通信相手の音声はルミたちには聞こえない。しかし、ルミはこちらへ向かう車の音を察知していた。

ED「あなたの隣で深呼吸」


https://youtube.com/shorts/gZ-NHOOCiGw


とても背の高い男の子を好きになった女の子の歌

癒し系ほのぼのソングなのに本編最終エピソードまで読み切ると歌詞の意味が心に痛い!

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