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第五章 ホテルオハナ② 対立

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「CHILD」


https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA


お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください


「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました

聴いてから本編読むとテンション爆上がり!

 ――――エースで4番。俺はその肩書きのまま、強豪校の野球部へ入った。でも、1年ほどで故障しちまった。甲子園で日本一になる、そんな夢は儚く消えた。

 荒れる日々を過ごす中、とんでもねぇ女と出会った。アンナさん。最初は胸のでっかいエロい女くらいにしか思わなかったが…違う。俺とはスケールが違う。今の俺ではあの人に何もかも敵わない。だが俺はあの人の横に立ちたいと思った。いつも下から見上げるだけじゃなくて、今度こそ目指す目標を手に入れるんだ。俺はもっと俺を磨く。強くなる。いつしかアンナさんの方から求められるような、そんな男に、俺は――――



ポーン…


 エレベーターが15Fへの到着を知らせ、さして音も立てずドアが静かに開いた。

「ッ?!」

「ア!?」

 開いたドアの先には黄橙色のギャノンスーツ、ルミが立っていた。カズサは咄嗟にシュヴェルトを抜き、切り掛かる。ルミもまたガテーヌを構えるが、トリガーを引く寸前カズサのシュヴェルトに邪魔され、わずかに上を向いた銃口から発せられた弾はエレベータードア上の壁を凹ませ、崩した。

「緑のヤツじゃねェのかよ…」

「色違いで悪かったわね。この星じゃこっちの方がレアなんだけど」

「何しにここへ来たッ?!」

「お友だちが先に着いてるはずなんだけど。あなた会わなかった?」

「…もう一人いんのかよ…だが、俺は見てねェ」

「それじゃ探しに行きたいんだけど。そこ、どいて下さる?」

「ふざけんなッ! こっから先はネズミ1匹通さねェッ!」

 唸りを上げ迫るカズサの刃を、ルミは一歩引いて躱す。

「なかなか良い攻撃よ」

「舐めんなッ!」

 カズサの攻撃を左に躱すと同時に一発。しかしカズサもまた持ち前の動体視力でルミの動きを読んで躱した。

(避けた?!)

「飛び道具ったァ卑怯じゃねェかッ!?」

「こっちは遊びじゃないのよッ!」

 カズサの肩を弾が掠めた。

「やられるワケにはイカねェんだよッ!」

 想像を超えた速さで迫った刃をルミはトリガーガードで受け止めた。

「クッ!」

「ブッ潰すッ!」

 力任せに押し込むカズサ。トリガーに掛かる人差し指のすぐそばで赤い刃がギリギリと音を立てる。

「ハァッ!」

 ガラ空きの胴へルミの右蹴り、カズサが怯んだところでルミは間合いをとろうとするが

「逃がさねェッ!」

 カズサはすぐさま踏み込み間合いを詰める。

(近接戦闘は(ガテーヌ)じゃ厳しいなぁ)

 牽制に2発、一発は肩を捉え中和爆発の煙を上げるが

「ゥオォリャァァァッ!」

 それをものともせぬカズサに踏み込まれ、ルミはまたもトリガーガードで受け止めざるを得なくなった。

「どうしたよォッ! 撃ってみろよォ! オラァ!」

「クゥゥッ」

(ブレイド抜いても片手じゃガテーヌは撃てないし…どうする…?)

 ルミは両手でガテーヌを支えるも元の体力差が上回るカズサに押し込まれていく。

「大体アナタ、何者ッ? デギールなのッ?」

「関係ねェだろッ!」

「大アリよッ! 私は星間警察機構(ワステロフィ)先攻捜査隊1査ルミエール=シューレン! デギールを探し出し逮捕するのが仕事よ!」

「逮捕って、警察かァッ? 雑誌の記者じゃねェのかよ?!」

「それは知り合いの方! アナタがデギールだというなら捕らえなければならない! けど! アナタにも事情があるなら話は聞く!」

「ガーディアンと同じこと言いやがって! アイツらはそう言ってオレたちボコりやがった! キレイごとほざくヤツなんざ信用ならねェッ!」

 怒声と共にさらにカズサが押し込んでくる。

(なんつぅ馬鹿力! それなら…!)

 さらにグッと押し込まれたタイミングを見計らってルミはガテーヌを支えていた左手を放した。

「うわっ?!」

 シュヴェルトはバレルに沿って滑り、勢いにツンのめった(わき)を抜け体勢を崩したカズサに銃口を向ける。カズサもまた間髪入れず立て直すとシュヴェルトを構え、両者睨み合いに。

「信用なんかしてくれなくてもいいけど。でも一つ教えて。この先には何があるの? デギールのアジト?」

「そんなんじゃねェ」

「じゃぁ何

 ルミの言葉は遮られる。最早カズサには聞く耳が無かった。

「ここにあるのは俺たちの家だッ! どこにも行き場が無かった俺たちに、アンナさんが用意してくれた俺たちの家なんだッ!」

 カズサの叫ぶ声。それはしかしだんだんと悲壮感を帯びた涙声に変わっていった。

「何?! 言ってることが

「アンジェラスを! アンナさんを! やらせはしねェッ!」

 己の身に向けられたガテーヌの銃口などお構いなしに、カズサはシュヴェルトを振りかぶりルミへ向かって行く――――



「モルモ様。今日はここへ何しに…」

「なんかねー、アンジェラスちゃん、みーんなやられちゃってるんだけど、どゆことー?」

「ガーディアンという敵と戦いまして」

「で、負けちゃった?」

「クッ…かも、しれません」

「あーもー、お兄ちゃんたち、ぜーんぜんカツヤクできてなーい! モルモちゃん、つまーんなーい!」

 モルモは両手をグルグル回して暴れ、不満を漏らした。

「しかし、まだカズサもいます。負けたわけでは」

「あー。カズサちゃん、あっちの女の子とイイ感じになっちゃったー」

 アンナの話を聞いていないのか、モルモは勝手に喋り出した。

「何を言って」

「ヤるなら今かなー。えーい」



ドオオオオオォォォォォォォォォォ…



 アンナは足元に大きな振動を感じた。いや、振動と言うには相応しくないかもしれない。それは爆発だったのだから。一瞬部屋の明かりが消えた。天井から何かがパラパラと落ちてくることが、それの大きさを物語っていた。

「今の…何…?」

「カズサちゃんをねー、ばーんってやっちゃったー」

「何…を…?」

「ワステロフィのコを足止めしないといけないからねー。タケシお兄ちゃんも来ちゃうしー。アンザグをばーんってバクハツさせたんだけどー。さすがに先捜隊のスーツはがんじょうねー。あんましだめーじあたえられなかったー。ザンネーン」

「カズサを…()ったの…?」

 呆然とするアンナ。

「死んでないよー。ちょーっとぜんしんだぼくでイタイかなーって。うっしっしー」

「なんてことを…っ!」

 アンナは両手で顔を覆う。

「あらー、かなしいのー? いつもあのコに冷たくしてるクセにー。それともじつはスキだったとかー? あらーやだー、おねショタじゃなーい。ふけーんぜーん。フォキウスちゃんのお【自主規制】、大好きだったんじゃないのー? やっぱ若い方がいいのかなー。うっしっしー」

「な…モルモ様ッ! どういうつもりですかッ?!」

「どーもこーも、アンナちゃんがモタモタしてるから、モルモちゃんがやってあげたのよー? よろこびなさいよー。うっしっしー」

「モルモォォォォォォッ!」

 アンナは全身怒りに震えていた。

「様を付けなさいよ、薄汚い売女(ばいた)が。こんしーるど!」

「ウガァァァァ」

 クラウデッドヘルがアンナを膝から崩す。

「わかったー? アンナちゃーん。誰がご主人様で誰がドレイなのかー」

「奴隷、だと…?」

「そーよー。あなたたちはモルモちゃんの、ど・れ・い。しっかり働いてエンプティヘブンをバラ撒く働きバチちゃんなのー。モルモちゃんは女王バチさん!」

 薄々感じてはいた。いいように扱われていると。それでも報酬があるのなら、と我慢してきたアンナだったが。

「ミツバチさんって、プスって刺すと死んじゃうんだってー。でもね、女王バチさんが新しい働きバチを用意すれば、なーんにももんだいないのー。しょーもーひんなのよー」

「…フォキウスさんの紹介だからと我慢してきたけど…」

「フォキウスちゃんも呆れてるのよー。ゼーンゼン役に立たないってー。ザーンネーン」

「モルモォォォォォォォォ!」

 ブルブルと震える両腕を気合で制し、アンナは立ち上がった。

「あーらー。アンナちゃんこんしーるどしても動けちゃうのー? カラダが慣れちゃったー?」

「シュヴェルトォッ!」

「それ出して何する気ー? モルモちゃん、殺しちゃうのー?」

 アンナは顔を怒りに凍てつかせ、何も言わず語らず、一歩一歩とモルモへ近づく。

「ふーん。それじゃ、フォキウスちゃんからの最後のメッセージ、伝えるねー。


   『くだらん女だ』


 だって! ぷーくすくす」


ズグゥッ


 モルモを見下し、無言で腹のど真ん中を一突き。

「ウ…」

 モルモが小さく短く声を上げる。しかしシュヴェルトはあまりにも容易くその薄い身体を突き抜け、車椅子の背もたれを突き押し、弾き飛ばす。

「…何…? この手応え…?」

 血飛沫のひとつでも噴き出そうものだが…まるでプリンに爪楊枝を突き立てたように手応えがない。

 一度たりともその場を動くことがなかった膝掛けが、はらりと床に落ちた。

「脚…無い…」

 正確にはあった。ただし、ミニのプリーツスカートから伸びたそれはヒトのものではなく、限りなく爬虫類や鳥類に近いもの。

「何なの…コレ…」

 モルモに赤い刃を突き立てたまま青褪めるアンナ。だが冷静に観察していられたのもここまでだった。


ニィ…


 シュヴェルトの先でダラリと串刺しになったモルモの口角が吊り上がり、歪んだ笑み。直後、突き刺したシュヴェルトの少し上、鳩尾の辺りが赤い六角形に光り、瞬く間に全身へ広がり


ズゥ…

  ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ…


 爆発した。



ダァンッ


 爆風にアンナは壁へ叩きつけられ、重力に従い、ズルリと床へ落ちた。

「終わった…何もかも、みんな…アハハ…アハハハハハハハ」

 虚ろな目のアンナの虚ろな笑い声が灯りを(うしな)った真っ暗な部屋に虚しく響く。



ED「あなたの隣で深呼吸」


https://youtube.com/shorts/gZ-NHOOCiGw


とても背の高い男の子を好きになった女の子の歌

癒し系ほのぼのソングなのに本編最終エピソードまで読み切ると歌詞の意味が心に痛い!

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