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第四章 庭師殲滅作戦⑥ 理由

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「CHILD」


https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA


お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください


「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました

聴いてから本編読むとテンション爆上がり!

 ――――多分、水野家の長女として生まれた時から…私は品行方正、謹厳実直であることを求められ、そう育てられてきた。それに対して何の疑問も持たず、誰から見ても、親の言われたことをよく聞く素直な良い子、であったろう。学業に於いては常に一番で在ることを求められ、またそれを守り続けてきた。常に完璧(パーフェクト)。それが私に求められた『水野芹那』という女の子の姿だったのだ。

 高校受験に失敗。それだけでも傷付いているのに…母の何の気ない「お姉ちゃんは失敗だったから」のひと言が私に追い討ちをかけた。もう、ここには居たくない。そう決心した私は家を出て、噂に聞いていたビブ横を目指した。

 これから一人で生きていくために、私はパパ活、というのを始めた。でも…まさかカラダを売ることになるなんて…それでも、得られたお金は尊い。そう自分に言い聞かせ、父親ほどの年齢の男の人を相手にする日々を過ごした。

 パパ活仲間のミツキが、会わせたい人がいるという。それがアンナさんだった。アンジェラスに誘われた。非合法な活動をする組織。昔ならいざ知らず、今はハイという以外の答えが見つからない。もう、あそこには戻りたくなかったから。

 強さ。優しさ。そして生き方。私はアンナさんから言い尽くせぬほど多くの事を学んだ。学校よりも。親よりも。私はアンナさんに出会って、初めて人になれた気がした。アンナさんは、私を人にしてくれたんだ…

 ある日、私はミキヒサに襲われた。もうダメかと思った時、カズサが助けてくれた。彼はミキヒサを殴りながら、こう言った。「仲間を守るために力を使えよッ! テメェ、こんなことしてアンナさんを困らせんじゃねェッ! オメェは自分の名誉のために力を使えよッ! 他人に誇れる自分になれよッ!」 …この人は、カズサはそういう風に考える人なんだ。

 以来、私はカズサのことが気になってずっと目で追うようになった。これが、恋? それである日、彼にお願いした。「私を抱いてください」って。汚れちゃったお水でもキレイなお水を足していけば飲めるくらいにはなるだろう。そんな気がしたから。

 カズサに抱かれるようになって、でも彼の心は私を向いていない気がする。彼が見ているのは、多分…でも、今はそれでもいい。私が私でいられるから――――



「ロックOKです」

「やれ」

「本当に撃つんですか?」

「当然だ。他人(ひと)を麻薬漬けにしておいて、自分たちはぬくぬくと生きようとするお子様の戯言(ざれごと)に耳を貸す必要などない。撃て!」

「了解」

「私は戦うッ! あなたのような卑

 発射音。

 須藤が構えた巨大な筒から発せられた。それは…音声誘導式のロケット弾。登録された音声めがけて飛び続け、直前で標的の声を認識したら弾頭が割れて投網を発射、無音声ならそのまま着弾する。つまりは声紋をロックされたら、逃げられない。

 ロケット弾はセリナ目掛けて飛び

「キャァ」

 弾の接近に気付いたセリナは悲鳴を上げギーゴの陰に隠れるが、弾は彼女の逃げた方向へ。良くも悪くもそれがきっかけで弾頭が割れ、投網が発射された。

「キャァァァァ」

 もう一度セリナの悲鳴。纏わりつく網をブレイドで振り切ろうとするが、動けば動くほどにアラミドファイバーの網は身体中に絡みつく。

「弾頭の飛んだ方向! 宮内! 星野! 須藤! 行けッ!」

「「「ハッ」」」

 刺又と棍棒を携えた者達が悲鳴の主の元へ向かう。

「セリナッ!」

「セリナァーッ!」

 アンジェラスもまた次から次へと物陰から姿を現し、セリナの元へ向かう。

「オイッ! これは罠だ…ってチクショウッ、誰も話を聞きゃしねぇッ! クソッ、俺も出るッ!」

 メンバーを制しきれないカズサもまた、手元の鉄バットを握ると山積みのパレットをよじ登る。

 そして、双方壮絶な潰し合いが始まった。



 セリナと同じジョイナスのショウとアイが彼女の元へ向かうが、暗闇を利用するのは何もアンジェラスばかりではない。窓から差す波止場の常夜灯が作り出すギーゴの影に、ガーディアンの星野と宮内が潜む。

 闇から突き出た刺又にショウが捉えられ

「な? クソォ!」

「ショウ? あっ?!」


バキィ


「ギャァァァ」

 ショウに気を取られたアイは背後から迫った星野の一撃を喰らい右大腿骨を折られ失神。

「アイィィィ?! クソッ! 放せってんだヨッ!」

「静かにしてろ!」


バキィ


「ガ アァァァ…」

 左大腿骨を棍棒で叩き折られ、ショウもまた沈黙した。

「今、助けるから!」

 セリナの元へ着いたサキ。網を手にしようと屈んだその時。

「サキッ?? 後ーッ!」



 ――――高校受験の頃、両親が不仲になった。原因は、父親に女ができたらしい、と。その腹いせか母も男をつくったらしく、家には誰もいなくなった。

 誰もいない家にいてもつまらないから、私は外を遊び歩いていた。そこで部活の先輩に出たった。練習にも来ない、チャラチャラした人。でもなんだか自由そうだなって、一緒に遊ぶようになった。そのうち先輩の家に呼ばれて、初めてを失った。エッチって気持ちいいって聞いてたのに、痛いだけで全然だった。夏休みが終わると、先輩は他の女に行っちゃって、その人とはそれっきり。

 誰もいない家にいてもつまらないから、人が集まるビブ横ってところへ行ってみた。立ってる子に話しかけてみたら家出してきたって。家出なんて考えたことなかったな。それで、その日のうちに家を出てきちゃった。どうせ誰もいないから。

 出てきたその日に男の人に声を掛けられて。パパ活、だって。要は売春よね。それで抱かれてお金を貰って。こうして生活していくのか、なんて。

 客待ちで立ってる時、ナンパされた。いつも年上相手ばかりだから、たまにはこんなのもいいかなって。でも…全然違った。とってもとっても楽しい。話が合うから話して楽しいし、エッチするのも全然。とってもとっても気持ちいい。どれほどの人とそんなコトしたのかなんて数えてないけど、初めてイクっていうのを経験した。その男の子の名前はユウタ、だって。

 それから…アイに誘われて私はアンジェラスの仲間入り。お仕事はあるけど、カラダを売るわけじゃないし。お金を貰えて仲間たちもとってもいい人ばかり。とても楽しい日々。それで、アンナさんから誘える人はいないかって聞かれて、思いついたのがユウタ。誘ってみたらOKで。アンナさんもOKで。彼氏? そういうのかどうかは分かんないけど、一緒にいて楽しくて、エッチして気持ちよくて。こんな生活がずっとずっと続けばいいのに――――



ドゴォ


「グァッ」

 背後から須藤、棍棒で一撃。

「サキィィィーッ!?」

 それは肩口に入り、セリナの目前でサキは右腕をダラリと垂れ下げながら崩れ落ちた。

 セリナを網ごと肩に担ぎ上げ、立ち上がった星野の前に立ちはだかる者。

「私の友達を連れて行くなァァァッ!」

 マナミだった。



 ――――ー私は守られたかった。強い力に守られたかった。3人家族だった私の家では父が母に暴力を振るうようになっていた。反抗するなり家を出てくなりすればいいのにと思っていたが、母はそれを受け入れてしまっていた。私に力があれば…こんなの力で抑え込めるのに。非力な私は男に力を求めた。不良。暴走族。暴力と共に暮らす男たちにカラダを捧げ、その見返りとして私は力で守られた。でも、そんな男たちは優しさを求めると私の元を去っていってしまうのだった。

 ある日、街中でケンカを目撃した。お年寄りを取り囲む暴走族を一人残らず殴り伏せる圧倒的な力を見た。その時は声さえ掛けられなかったけど。

 それから…母が父を刺し殺し、首を吊った。それ以来、自分の生活を自分で立てなければならなくなった。今すぐできることといえばカラダを売るくらい。私はビブ横に立ち、客を取るようになった。

 数年して、ビブ横界隈でケンカがあった。その主は、あの時の。暴走族相手に無双していた彼だった。彼の名はカズサ。これは最後のチャンスかもしれないとカズサに近づいた。カズサと付き合いながらも客相手に抱かれる日々。それは心苦しかったのだが…一方でビブ横ではなぜか私は相談される立場になってしまう。その内容は大体客からの暴力。私はカズサに私たちと客の間に入ってくれないかと相談したら、快く引き受けてくれた。以来、私たちはビブ横をパトロールするような立場に。

 そんな日々を過ごす中、パパ活仲間のアンナさんから誘われた。アンジェラス。麻薬取引の手伝いだという。アンナさんの人柄はよく知っている。だから即答、だけじゃない。カズサも仲間に引き入れた。

 アンジェラスの仲間はとてもいい人たちばかり。そんな中にとても小さな女の子が仲間入りした。とてもウリとは関係があるとは見えない、清楚な子。でも…次第にカズサにまとわりつくようになり、ついには彼の部屋からあの子の喘ぎ声すら聞かれるように。見てくれに騙されてはダメだった。女はオンナだ。私はまた捨てられたのか…? いや、まだだ。今度こそは…獲り返す!――――



 マナミのシュヴェルトは片手の塞がった星野の胴を捉えるが倒すには至らない。星野は担いでいたセリナをドサッと投げ下ろすと


バキィ


 棍棒を両手で持ち直しマナミの肩口へ叩き落とす。

「ガ ァ 」

「マナミィィィィィィッ??」

「セリナ…私…ごめ…」

 マナミの左腕は肩からダラリと下がり、そのまま地に倒れ伏せた。

「イヤァァァァァァァァァァァ」

 セリナの絶叫。

「おとなしくしろッ!」


ドオッ


「カハァッ!?」

 鳩尾に入った星野の蹴りがセリナをそれきり黙らせた。

「私が回収する」

 星野の応援に来た宮内。

「セリナに触んじゃねェェェッ!」

 駆けつけたカズサが勢いそのままに宮内の頭部を鉄バットで強打。


ガンッ


「ガァッ」

 兜が割れ、宮内は額から血を流しながら失神、その場に倒れた。

 背後から須藤の棍棒が振り込まれるが、カズサは寸でのところでこれを躱す。須藤へ振り返ったカズサに背後から本城の刺又。

「クソォ!」

 それをカズサは鉄バットで去なす。詰め寄る須藤。そして星野。二人が棍棒を振り上げたその瞬間。


ドオォォォォォンッ


「よっしゃッ!」

 待ち伏せていたミキヒサがセリナのトラップを発動、吊り下げてあった大型貨物用のカートが須藤と星野を下敷きにした。

「カズサさんッ!」

「よくやった、ミキヒサ! セリナを取り返


ドオッ


 上から黒く大きなモノが落ちてきた。

 それは、アンザグ姿のヒト型。

「…ココ…ノ…?」

 ミキヒサが呟く。

 上からで思いつくものはそれ以外に、無い――――




ED「あなたの隣で深呼吸」


https://youtube.com/shorts/gZ-NHOOCiGw


とても背の高い男の子を好きになった女の子の歌

癒し系ほのぼのソングなのに本編最終エピソードまで読み切ると歌詞の意味が心に痛い!

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