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第四章 庭師殲滅作戦⑤ 反撃

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「CHILD」


https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA


お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください


「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました

聴いてから本編読むとテンション爆上がり!

 ――――美羽はね、パパと仲良しなの。どこへ行くにも何をするにも、パパと一緒で楽しいの。「あんまりベタベタしないでよ」ってママがパパに怒ってたこともあった。なんかヤダなーって思った。

 中学生になって一緒にお出掛けした時、パパにぎゅーってしたらぎゅーってしてくれて。ちゅってして。それから…パパのお【自主規制】、美羽の中に入っちゃった。痛かったけど、パパが優しくしてくれたから、へーき。

 ある日、パパから「ママにバレちゃったよ」って言われた。それ以来、美羽を見るママの目が変わっちゃった。女の目。メスの目。怖い。ママと同じことをしただけなのに。それで、美羽がいるとパパがかわいそうになっちゃうから、イヤんなってお家を出て来ちゃった。

 家出した子が集まるっていうビブ横ってところに来てみた。どこで寝たらいいのかなーって思ってたら、マリンさんに声を掛けられた。それからはずっとマリンさんと一緒。

 それである日、マリンさんにちょっと一緒に来て、って言われて。すっごいホテルに行った。そこで会ったのがアンナさん。アンジェラスでいっしょに麻薬の取引を守らないか、って。いーけないーんだー! でもおっけーしちゃった。だって、マリンさんやるっていうんだもん。それに…アンナさん、初めて会ったのに、なんだか大好きになっちゃった。なんだろう? お母さん、って感じ? ママじゃないの。ママは怖いもん。なんだか優しい、お母さん。この人のそばにいられるならうれしいなーって思ったよ。

 アンジェラスの人たちはみんなやさしくて楽しい人ばかり。美羽はセリナが気になるの。初めて会ったとき、同い年か下だと思っちゃった。もうね、ちっちゃくてカワイイの。でもね、すごく物知り。すごーい。

 みんなやさしくて大好きだけど、一人だけ…マナミがちょっと苦手。美羽にはとってもやさしいお姉さん。でもときどき…ママと同じ目をすることがある。メスの目。怖い目。その目線の先は、たぶんセリナ。そのセリナはカズサの方ばっかり見てるから気がつかないみたいだけど。でもね、一番大っ嫌いなのはモルモだよ――――



「おとなしくしてろッ!」


ドオッ


 容赦ない蹴りが鳩尾(みぞおち)に決まった。

「ゴフォッ?! …アン…おかあ…」

 ミウの突進からここまでわずか5分足らず。一人は仕留めたものの瞬く間に3人を潰されたアンジェラス、ガーディアンのあまりの手際に事態を飲み込めなかったが

「ミウゥゥゥッ?? マリン…ミツキぃ…クッソォォォォッ!」

〈やめろアイッ! みんなも! 一旦全員身を隠せ! 体勢を立て直すぞッ! これは命令だ。俺、いや、アンナさんからの命令だッ!〉

 通信でカズサが叫ぶ。アンナの名を聞き我に返ったか激昂して飛び出しかかったアイもその足を止め

「クッソォォォォ!」

 皆と同様に近くの物陰に姿を消した。



「エラく豪華な歓迎会だな、こりゃ…」

 開いていたドアが倉庫の奥の方だったため、林たちは壮絶なところからをいきなり目撃することなった。

「内閣府管轄下だと始末書って無いんですかね?」

「知るかよ。 …ん?」

 暗闇とはいえさすがに敏腕刑事、微かな変化も見逃さない。器材の隙間をスルスルっと移動する、黒い革ジャンにジーンズの人影を見た。

(今のは…風音、タケシ? 取材で潜入か? 「正真正銘のルポ」とはまさに言葉通りのようだが…後で叱っておかなきゃな。住居不法侵入だぞ、ってな)

 そう思いつつも、林の口元は微笑んでいた。

 しかし。さらなる2つの人影が、真っ暗な通路のど真ん中をズンズンと進んでいくのを見た。

(…未紗…?)



〈ねぇカズサ、やっぱり〉

 全員で一気に出て倒そうよ、そうアイが言いかけたその時。

〈チクショォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!〉

 同じアンザク間通信、しかしその音声は激しく割れて歪んでいた。

〈チクショォッ! マリンにミツキ、ミウまで…クッソォォォッ!」〉

〈落ち着いてカズサ。アイツらブッ潰して取り返すよッ!〉

〈ああ…ああッ!〉

〈あの、カズサ、それにみんなも、ごめん、私のトラップが働かないばかりに、こんな…〉

〈気にしないでとは言えないけど…でもリハーサルの時は普通に動いたんだよね?〉

〈うん。問題なく、確かに〉

〈一旦解散の時になんかしたとか?〉

〈ううん、してない。ロックを付けるとしても私ならもっとしっかりしたの付けたいもん。割り箸なんか…〉

〈割り箸ぃ? じゃぁ、他の誰かが?〉

〈誰か、って、この非常時にそんなイタズラするヒマ人なんかいないでしょ〉

〈まぁそうなんだけど〉

 会話に参加せず戦々恐々としている者が一人。マナミだ。セリナがカズサと良い仲になっている腹イセに仕掛けたのだった。トラップが発動しないのをきっかけにセリナを助け恩を売り、二人の間に入っても口出ししにくくする腹積りだった。その目論見通りにコトは進んだはずだったが、計算外だったのはガーディアンの力が想像以上だったこと。これほどの仕掛けにこれほどの味方。それなのに、まさかあっという間に3人もの仲間を失うなんてマナミは思いもしなかった。カズサの気を引くどころか逆効果だ。犯人探しの会話の中にあって、マナミは針の(むしろ)に座っていた方がよっぽどマシだった。

〈ともかく今は犯人探しをしてる場合じゃねぇ。何か策を〉

〈ココノからカズサ! 敵後続がいま合流!〉

〈どうするの? カズサ〉

「…本城の他にもう一人女がいたな。ソイツから潰そう。まずは数を減らす。ジョイナス、いいか?」

〈…了解、カズサ〉

 セリナが低く冷たく答えた



 本城と須藤が宮内たちと合流した。

「随分と手酷くやられたものだ」

「申し訳ありません」

「宮内の責任でもなかろう。向こうも必死なのだからな」

「隊長、上野は?」

「上野は上だ」



 数分前。

「なるほど、そういうことか」

 棍棒を担いだ須藤と、背中にリュック、右手にシルバーのジュラルミンケースを携える上野を引き連れ、右手に刺又、左手に拡声器の本城。倉庫内を見回す。

「このクレーンのレールや梁がキモだな。おそらく上に誰かいて、そこから我々の位置を報告してるのだろう。上野」

「ハイッ!」

「お前は我々と別行動、上に上がり、バルコニーやクレーンに隠れる敵を探せ。ショットガンを使う」

「私が、ですか?」

「ああ。小柄なお前の方が向こうからも気付かれにくいだろう。それに小火器の扱いならこの中ではお前が一番だ」

「なるほど。了解です!」

「荷物は運動性を考慮し、ショットガン(モスバーグ)のみ。特装弾のシェルを詰めておけ。荷物はこちらで預かり応急処置もこちらでやる。随分負傷者も出ているからな」

「了解しました。上野、モスバーグを携行し、上空の索敵任務に就きます!」

「よろしく頼むぞ」

「ハイッ」

「須藤は私と共に奥へ進む。行くぞ」

「ハッ」



「本城隊長合流により本隊指揮権を本城隊長へ移譲します。ご指示を」

「了解した。とにかくまずは数を削る。須藤。女性と思われる個体を優先して狙え」

「…りょ、了解」

(それにしても…この暗闇でバラバラで隠れられてはな…)

 見回せば通路状に並べられたカート。コンテナ。積み上げられたパレット。敵が潜み不意打ちをかけられるポイントはいくらでもある。本城は少し思案する。

(…炙り出してみるか)

「須藤。ロケット砲準備。科研の例の弾頭を使う」

「了解」

 下命すると、本城は高く積まれたパレットの上によじ登り、持っていた拡声器の音を割らして叫んだ。

《この倉庫内に隠れている諸君に次ぐ! 私は内閣府未確認外患防衛局所属部隊ガーディアンの本城だ! 勝手ながら君たちについて、調べさせてもらった! 横浜管区およびその周辺! 捜索願が出ている者を中心にだ! 一人目! 木之内早紀! 県立相桜高校3年! 満18歳! 君のお母さんからメッセージを預かっている! 『お母さんはお父さんさんと仲直りしました。だから家に戻ってきてちょうだい。私たちはあなたの帰りを待っています』 以上だ! 木之内早紀! この中で聞いていたら返事をしろっ!》

「そんなバカな…」

 サキは動揺していた。

〈応えるなッ! これはワナだッ!〉

 カズサが通信で皆に呼びかける。

 次々と、メンバー間ですら知らないアンジェラスのメンバーの本名がフルネームで呼ばれ、次いでメッセージが読み上げられていく。

《次! 水野芹那! 私立山下学院高校2年! 満16歳! 『お父さんもお母さんも、そして誰よりも文雄が心配しています。早く帰ってらっしゃい』だそうだ! 聞いているか? 水野芹那! 返事をしろ!》

「あの人たちが…私を不要品扱いしたあの人たちが…今更…そんなことを…」

〈落ち着け、セリナッ! これはワナだッ! 呼び掛けに応えるなッ! 何かあるぞッ!〉

「う、うん。分かってる。大丈夫。あの人たちが私を心配なんかするはず…ないもん…」

 セリナの思いは複雑だった。両親が自分を心配しているなんてあり得ないと思いつつも、そうであれば本当に見捨てられたのだ、という寂しさ悲しさが胸中に渦巻く。

《続いて、君たちを先導したアンナという女性! 本名を鈴木杏菜という!》

〈な…にィ?〉

「アンナさんのことまでッ!?」

《彼女はかつてホストクラブにハマり多額の借金を背負った。その返済に困り、当時勤めていた会社の金を横領。会社の好意により表沙汰とはならなかったが、その後自主退職。やがて犯罪組織デギールと結び、アンジェラスを結成。ビブレ横にたむろす少年少女を拐かしては麻薬エンプティヘブンの取り引きに加担させた。君たちはそれに加わり、報酬を受けていたようだが。そもそも! 彼女は、鈴木杏菜は公金横領の犯罪者なのだ! 何も知らない君たちは、利用されていたに過ぎない! 今、この場で投降するのならば! まだ罪は小さくて済む! 我々も! 君たちの更生に向け、できる限りの配慮、および手助けをすることを約束する!》

「何を勝手なことをッッッッッ!」

 カズサの怒りは限界を超えていた。怒りに振り上げそうな左腕を右手で強く握り込み、今にも爆発しそうな激情を抑えていた。

《今一度言う! 鈴木杏菜は犯罪者だ! 君たちは利用されていたに過ぎない! 今、この場で》

「何も知らないクセにッ!」

 叫び声が倉庫内に響き渡る。

「アンナさんのこと、何も知らないクセにッ!」

 いつの間にかギーゴの影から通路に姿を現していたセリナが叫んだ。

〈やめろセリナッ! 退けッ!〉

 通信でカズサが叫ぶが、遅かった。

「出てきたな…須藤。声紋ロック」

「了解」

「アンナさんがいたからッ! アンナさんのおかげでッ! 私たちはカラダを売らなくてもよくなったッ! 好きでもない人に抱かれなくてもよくなったッ! 行き場の無かった私たちに、居場所を作ってくれたッ!」

 その言葉は…アンジェラスのメンバーみんなが胸に秘める、アンナへの思いそのもの。

「セリナ…あれ? ユウタは?」

「大人はいつも自分の都合で物を言うッ! 何も知らないクセにッ! 何もできないクセにッ! 何の価値もないあなたのような大人にッ! アンナさんを悪く言う権利なんか」

 涙声を枯らしながら、小さな身体にありったけの声でセリナは叫んだ。それは本城へ向けてなのか、それとも…

「無いッ!」



ED「あなたの隣で深呼吸」


https://youtube.com/shorts/gZ-NHOOCiGw


とても背の高い男の子を好きになった女の子の歌

癒し系ほのぼのソングなのに本編最終エピソードまで読み切ると歌詞の意味が心に痛い!

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