第四章 庭師殲滅作戦④ 劣勢
YouTubeにて音声動画上げてます
OP「CHILD」
https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA
お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください
「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました
聴いてから本編読むとテンション爆上がり!
〈こちら本城。須藤、上野と現在現場へ侵行中。合流する〉
「宮内了解」
◆
〈新手が2人! そっちへ向かってる!〉
「チッ…でもまだ数ではこっちは上か。一気にしかけ」
〈横から悪ィ、ショウだ。カズサ、ちょっと待ってくれ。ココノ、いま合流したヤツらに女はいたか? 多分刺又を持ってる〉
〈ちょっと待って… …いる。刺又とハンドスピーカーっていうの? 赤いメガホンみたいなの持ってる〉
「それがどうかしたか?」
〈ソイツがボスだ。本城って女。アンナさんと互角だった〉
〈マジで? アンナさんと?〉
〈ソイツとまともに当たっちゃヤベェ。先にこっちが削られンぞ〉
◆
棍棒を携えた須藤を従え本城が到着した。挟み討ちするはずだったアンジェラスが、今度はガーディアンに挟まれる形に。
〈こちらサキ。カズサ、どうする?〉
〈この人数差で相手が何してくっかわかんねぇ。俺が合流するまで待っ〉
「ウワァァァァァァァァ!」
奇声をあげ本城へ向かって行ったのはミウだった。
「みんなとお母さんのおうちに帰るんだぁッ!」
小さな体躯から振り下ろした赤い刃。しかしそれはいとも容易く本城に躱される。本城もまた薙刀の有段者で、インターハイ、インカレと多年に渡り上位入賞した経歴を持ち、実力は宮内を遥かに上回る。
「ハァッ!」
「ウゴォッ」
その本城の一薙でミウは吹き飛び、積み上げられたパレットに叩きつけられると、ガラガラと崩れたパレットの下敷きになってしまった。
「ミウゥゥゥッ!?」
堪らずマリンが飛び出す。
「マリン?! 私も!」
次いでミツキが飛び出した。
「こっちも! 行くよッ!」
「おうッ!」
サキの掛け声で共にミキヒサが先行部隊の星野と月島へ向かう。
「サキ! 俺たちも出る! 2体1でやんゾ!」
「行くよッ!」
ギーゴの陰にいたショウとアイがサキたちに加勢する。
〈お前ら勝手に…クッソ、俺もすぐ行く!〉
瞬く間に大混戦となった。
◆
「ハァッ!」
マリン渾身のシュヴェルトを本城の刺又が受け止めた。火花がパァッと暗闇の中に閃く。
「なかなかやるな」
「何を上から目線ッ! ハァッ!」
再び切り結ぶが本城の刺又捌きに行手を阻まれる。
「ならばこちらも遠慮は不要ということだな」
「舐められたものね。手加減なんてっ!」
マリンの全力の袈裟斬り、しかし
「ハッ!」
それをいっぱいまで引き付けた本城は刺又の柄で受け、グルッと絡めて地に押し付けると今度はグルッと刺又を返し、マリンに突き入れる。刺又はマリンの両脇にきれいに入り、そして
「ハァァァッ!」
そのまま押し込みパレットを積んだ通路の壁に押し付けた。刺又の先はパレットの隙間に入り、平たい壁よりもしっかりとマリンの胴を固定する。
「ガハァッ! クソッ!」
一方ミツキは
(棍棒重そうな感じだし逆側へシュヴェルト叩き込めばあるいは!)
須藤が構えた棍棒の逆サイドへ仕掛けた。
「リャアァッ!」
棍棒の重さなら防御するより自分の攻撃の方が速いと踏んでのこと。
しかし。
「ムンッ!」
「うっそーん?!」
須藤をはじめ男性隊員はみな空手有段者。空手家に得物を持たせると危険というが、まさに。それは野球のバットよりも軽々と動き、シュヴェルトを止めた。ミツキが驚くのも無理はない。
「そんなモノかァッ!」
須藤が振り回した棍棒をガードしたミツキだが物理エネルギーの差は歴然、シュヴェルトを弾き飛ばされてしまった。
「あ…クッソォォォッ!」
マリンを抑えつつミツキの様子を見ていた本城が叫んだ。
「須藤! フィニッシュでいいぞ!」
「了解!」
「太腿を狙え。外して腰にでも当ててその娘が産めなくなったらお前が責任取って面倒見ろよ」
「ご冗談を。フンッ!」
須藤の棍棒は躊躇なくミツキの左太腿へ叩き込まれ
バキィ…
大腿骨が砕ける音。
「グワッ!? ァァァ…」
ミツキは叫び声を上げるとその場に崩れ、そのまま気を失った。悲痛なその一声は倉庫内に響き渡り、その場の誰もの耳に突き刺さる。ガーディアンの冷静沈着な一連の作業は、しかしアンジェラスには冷酷非道なものに映った。ましてそれが取り押さえられたまま目の前で為されたマリンにとっては尚更だ。
「なんてこと…なんてことをォォォォ! グオォォォッ!」
マリンは刺又を握りなんとか抜け出ようとするが本城にガッチリ押さえ込まれ思うに任せない。
その時。
「アンザグ! 最大出力!」
ミウの声が聞こえるや否や、生き埋めにしていた十数枚のパレットが宙へ吹き飛んだ。
アンジェラスのメンバーが着用するアンザグはコマンドにより最大ゲインで運用することが可能だ。一時的にだがパワーも防御もスピードも遥かに高い状態にできるのだが、とある理由で皆これを使いたがらない。
「シュヴェルト!」
赤い刃を展開してミウは再び本城へ迫る。しかし本城のそばで待機していた月島が太腿のホルスターからP320を抜き発砲。2発の.45ACPはいずれも命中するがアンザグに銃弾は効かない。ミウは意に介さず突進する。
「トワァァァッ!」
咄嗟に本城は刺又をマリンから引き抜き、降り注ぐシュヴェルトをガードする。
「マリンさんっ!」
「すまない! ミウも!」
「うん!」
本城への一撃でマリンを逃す目的を達成したミウ、そのまま駆け抜け逃げるつもりだったが
「逃すかッ!」
月島がリュックから出したのはロープ、というか投げ輪。カウボーイ的なアレだ。頭上でぐるぐる回しミウへキャスト。
「キャァッ??」
右足を後ろに蹴り上げたところへ投げ輪が足首を絡め取る。倒れたミウの手からシュヴェルトが転げ落ちた。
「もらったァッ!」
月島がグイとロープを引くとそれはミウの足首へ急激に締め付く。
「アーッ??」
何度も立ち上ろうとするミウ。マクシマール状態ゆえその力は凄まじいのだが、立ち上がるたびに月島が全力でロープを引くものだから、その場に倒されてしまう。
「チィックショーッ!」
ミウは立ち上がり猛ダッシュ、しかし逃げるのではなくロープを持つ月島の方へ突っ込んでくる。
「チッ!」
月島はP230を構えるが、ミウはただ横を駆け抜けただけ。
「このォォォ!」
月島はロープをパンッと引き直す。が、ミウは月島の脇を抜けた時にできたロープの弛み分を手に持っていた。グッと力いっぱい引かれたタイミングでミウがロープ手放すと
「あっ…」
己の引いた勢いで月島は後ろに蹌踉めき倒れた。
〈ミウッ! 今!〉
上からココノの声が届く。
「りょーかいッ! 喰らえェェェッ!」
普段の舌っ足らずからは想像もつかぬ叫びとともに、ミウは近くに繋いであったロープを引き解いた。途端、仰向けの月島に、文字通り「矢のように」鉄パイプが降り注ぐ。鉄の集中豪雨は月島の防具を次々と破壊し、その一筋が無防備だった月島の右肘関節を貫いた。
「ギャアァァァァァァ」
月島が断末魔のごとき叫び声を上げた。
「ザマァ! な…?」
逃げようとしたミウ、しかし右足首に喰い込んだロープの先を須藤に踏み止められた。
「クソォ! 離せェ!」
抵抗するミウの頭上を超え、飛来した黒い影。
「ミウを離せェェェェェェッ!」
戻ってきたマリンが積み上げられたパレットから飛び降り、須藤へ突進する。しかしマリンのシュヴェルトは須藤の棍棒に止められた。
「ダァァァァァァ!」
トラップの設備を迂回する分出遅れたカズサが応援に入る。手にしているのは鉄バット。野球で素振りの練習に使うもので、彼の物は市販されている限りで一番太く重い。
「やらせるかッ!」
振り下ろされた鉄バットを本城が刺又で止める。鉄バットの質量エネルギーは大きく、本城は止めることで精一杯、反撃には出られない。
「チイィッ!」
カズサが間合いを取る。
「このヤロウォォォォ!」
鋭く飛んだマリンのシュヴェルトを須藤は躱し
「ヌンッ!」
バキャッ
「ギャァァァァァァァ」
バランスを崩し倒れかかったマリンの大腿部へ棍棒が念入りに叩き込まれ、骨を砕く乾いた音が響く。マリンはミウの眼の前で地に崩れた。
「マリンさァァァァァァァァんッ??」
「マリィィィンッ?? クッソォ! どけェッ!」
カズサは鉄バットを振り回すが本城が器用に扱う刺又に翻弄され近づけない。
ヴィー ヴィー ヴィー
ミウのアンザグ内で警告音。
「あ キャァァァァ」
間も無くミウのアンザグが色を薄め、消えた。つまり今ミウは全裸となっている。
アンザグのマクシマールモードは一気にエネルギーを消耗するため、一定時間内に解除しないとアンザグが無効、すなわち消滅する。取り急ぎ正規の手順で相着を終了すれば元の衣服に戻るのだが、そのエネルギーすら使い切ると衣服も別位相空間に取り残されたままとなる。
「ああ、あああ…」
ミウが全裸だろうとお構いないしに須藤が歩み近づく。胸と股間を手で隠してへたり込み、恐怖に慄くミウ――――
◆
ED「あなたの隣で深呼吸」
https://youtube.com/shorts/gZ-NHOOCiGw
とても背の高い男の子を好きになった女の子の歌
癒し系ほのぼのソングなのに本編最終エピソードまで読み切ると歌詞の意味が心に痛い!




