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第三章 愛をください② 束の間

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「CHILD」


https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA


お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください


「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました

聴いてから本編読むとテンション爆上がり!

「ノブヤは残念だったな」

 翌日の昼食時。田上に連絡を取ったアンナはランチでもとりながらと都内のホテルのレストランへ呼ばれた。普段生活してるオハナとはまた違った雰囲気がアンナには新鮮だった。

 まずは世間話から、といったところだが、話題はやはり先日の取引での出来事だった。

「あの子はいつも一人でやりたがりましたから」

「生意気だったが芯がしっかりしていてハッキリ物を言うヤツで、私は好きだったよ。いずれ協和通商(うち)にでも、と思っていたんだが」

 そう言う田上の顔には無念さが滲む。

「あの子なら喜んで行ったでしょうね」

「それで、またヤられた、と聞いたが?」

「ええ。今日はその件でお願いがありまして、まずはこれを」

 アンナは一通の封書を田上へ差し出す。それを田上は黙って読み、それを懐のポケットへしまった。ここまでの経緯をまとめた手紙だった。

「…君も知っての通り、東京・埼玉方面の知り合いが尽く潰されている。よりにもよって国の機関か。警視庁で特装車両の貸出があったとは聞いていたが、そんなことに使われたとはな。よろしい。私が手配しよう」

「本当ですか? ありがとうございます!」

 アンナは深々と頭を下げた。

「なぁに、『この業界』は持ちつ持たれつだ。君たちにはいつも世話になっていることだし、大暴れしてひと泡吹かせてやるといい」

「ありがとうございます。それから、モルモ様にお願いして、県警のあの方に情報を流してもらおうかと」

三屋木(みやぎ)はパクれたぞ」

「そうなんですか?!」

「あまり大きく報じられなかったが、麻薬取締法違反で逮捕だ。ヤツめ、『本来の仕事』以外にシャブに手を出しておった。おかげで取引所も一つ、失った。恐らくギャノンの仕業だろう」

 田上の声には苛立ちが混じる。

「またギャノン、か…」

 アンナは小さく溜め息。

「だが県警にはまだ知り合いがいる。少々信用ならんが、仕事くらいはするだろう。こちらのルートから流そう。情報の信頼度が上がるだろうからな」

「助かります。ありがとうございます」

「持ちつ持たれつ、だよ。いずれ君のところから引き抜いたりしようかとも思っているのでね、こうした機会に恩を売っておきたい。こちらは人手不足なのでね。カズサはどうしている? アイツは見込みがあるからウチに、とも思っているのだが、君から話をしてみてくれないかね?」

 『ビジネス』の話をしている時とは打って変わって田上の顔つきは柔和だ。

「そうですね。いつまでも今のままってわけにもいかないでしょうから。話はしてみますが、具体的なところは今回の件が終わってからでもよろしいでしょうか?」

「ははは、当然だよ。むしろそんな大仕事で鍛えてから来てもらえるなら私もありがたい。では場所の件は決まり次第連絡するとしよう」

「お待たせしました」

 ウェイトレスがランチのメインプレートを持ってきた。

「ここの鴨肉は絶品でね。温かいうちに食べるといい」

「はい。いただきます」

 アンナは微かに微笑み、ナイフとフォークを手にした。

(私が言えばあの子はそうするんだろうけど…)



 アンナが田上と会っていた頃、学校を自主早退してきたユウタは手持ち無沙汰にオハナの16Fへやってきた。共用となっている1601号室へ入ろうとドアの前に立った時。

(…ン あン あンッ あンッ あ あン …)

 鼻にかかった甘い嬌声とともに湿り気のある衝突音がドア越しに聞こえた。

(この声…セリナか…また…カズサと…クソッ!)

 決して逞しいとはいえない拳で廊下の壁を忌々しそうに叩く。

「おー! ユウタじゃーん。また学校サボりー?」

 元気に声をかけてきたのはジャージ姿のサキだ。

「…学校どころか家にも帰らねぇでここに寝泊まりしてるヤツに言われたかねぇよ」

「まぁねー。で、何してんの?」

「部屋に入ろうとしたんだけどさ…」

「んん? おー。おーおー、スゴイスゴイ。セリナ、ヤってるねぇ。廊下まで丸聞こえじゃん! 気持ち良さそぉーな声出しちゃってさー。もう心ここに在らずって感じねー。いいなぁ…まぁでもこれじゃ入れないよねー」

 ニヒヒと意地悪く笑いながらサキはユウタの顔を覗き込む。

「うるせぇよ…サキはここで何してんだよ」

「ミツキがなんだかずーっと難しい顔して考え事してんのよ。だから邪魔しないように出掛けよっかなって思って。そうだ! 一緒にどぉ? 付き合いなさいよ」

「…どこ行くんだ?」

「ホムセン。作戦で必要になりそうな道具とか値段とか見ておこうかと思って」

 このままここにいてもコレを聞かされるだけかと思い立ったユウタ。

「なるほどな。それなら僕も付き合ってやんよ」

 と恩着せがましく答えた。

「そう来なくっちゃ! あ…ちょっと待ってて! すぐ着替えてくるから!」


 オハナを出て間も無く。

「ん? サキ、こっちじゃないのか?」

 サキはユウタを置いてズンズンと駅へ向かって歩いていく。

「川崎に行くよ。足取り掴まれたくないじゃん?」

「なるほど…サキって案外頭良いな」

「案外は余計!」

「おわぁ」

 サキに背中を叩かれユウタは前につんのめった。


「結構色々あるもんだねー」

 店内をひと通り見て回り、いま店を出てきたところだ。

「昨日の会議で出てきたものは全部あったな。鉄パイプなんかはサイズ次第ってとこか」

 セリナのことでクサクサしていたユウタだったが、外へ出て気が紛れたのか返事のトーンが明るい。

「うん…そうね」

 逆にサキはやや力なく返事をすると、バッグから携帯を出し、時間を確認した。

「ねぇ、ユウタ。 …集合までまだ時間あるし…『休憩』、していかない?」

 小麦色の頬をうっすら紅潮させ、上目遣いでユウタの様子を窺う。

「休憩?」

「そ。『御休憩』! …どう、かな…?」

「…いいよ」

「やった!」

 サキは喜びの声とともにユウタの腕に巻き付くように抱きついた。



「俺たち、こんなことしてていいのかな…」

 ミキヒサはココノに誘われ、いま二人はラブホテルのベッドの上。

 ココノは中学高校と年上の男性に捨てられ年上不審になってしまった。今では3つ下のミキヒサにご執心。一方のミキヒサは、かつてセリナに乱暴しようとしたところをカズサに見つかりこっ酷くブン殴られ、説教を受けた。しかしカズサの男らしさに惚れ込み、今では舎弟と言ってもいい間柄。セリナからも謝罪の誠意を認められ、邪険にされるようなことはない。

「いいんだよー。多分今頃カズサとセリナもお楽しみだろうからー」

「そう、か…」

「みんな、不安なんだよ。仲間がまた消えて。その上、大きな作戦があって。どうしていいか分からなくなってる。私もそう。不安で不安で堪らないから、せめて誰かに抱かれていたい。それで少しでも不安が和らげばって。もちろん、自分の好きな人と、ね」

 生まれたたままの姿で抱き合う二人。ココノはミキヒサの身体を撫でまわし、お目当てのモノを探し当てた。

「素敵だね。とても固くなってる」

「…変かな? こんな時なのに」

「変じゃないよ。疲れマラ、って知ってるー?」

「めちゃくちゃ疲れてる時にチンコ勃ってしょうがないヤツ?」

「そう、それそれー。あれって、疲れてくると、本能的に危険を感じて、身体が自分の遺伝子を残さなきゃーって勝手に反応してなるんだってー」

「へぇ。そうなんだ」

「私もね、今そうなってる。触ってみて?」

「…ホントだ。すごい、濡れてる…」

「んンっ…ミキヒサもね、これもそう。だから、私の中でスッキリすれば、きっと思う存分戦えるよー」

「うん。俺がんばって、カズサさんにいいところ見せるんだ」

「ふふっ、またカズサかー。ちょっとは私のことも見て欲しいなー」

「そんなの当たり前だろ! ココノを守り抜いてこそ、カズサさんに認められるんだから」

 ココノは、ミキヒサの言葉に身体の芯が熱くなるのを感じた。

「…ねぇ。コレ、来て?」

「生でするの?」

「うん。今、コレがとっても欲しい…」

「わかった」

「いいよ。来て」

 ココノは大きく脚を広げ、ミキヒサを迎え入れた。


 二人果ててそのあと、気怠いひと時。

「この間ね、アンナさんが言ってたよー? ミキヒサはいい男になってるってー」

「マジで?」

「うん」

「…アンナさんに認められるのは嬉しいけど、俺、やっぱりカズサさんに認められたい」

「うん。だからミキヒサはもっと私でオトコを磨いて? 私、応援してる。ミキヒサはもっともっとイイ男になるって、私、知ってるから。 …でも…ミキヒサがイイ男になったら、私、捨てられちゃうのかな…」

「そんなことするわけないだろっ! 俺は決めてるから! どこまでも一人の女を、ココノを愛し抜くって、そう決めてるから!」

 隣に横たわるココノを強く引き寄せ、ミキヒサは抱きしめた。

「ミキヒサ…!」

 愛してる。

 何度となくココノが言われた言葉。しかしそれはいつも、ココノの身体の上を通り過ぎて行くだけだった。ミキヒサの言葉も、またそれらと同じかもしれない。それでも今は、そのミキヒサの言葉にココノは溺れていたかった。



 白い粘液を閉じ込めた薄ピンクの蕾が白いシーツの上に咲き誇る。

 セリナは仰向けに天井を見つめるカズサの逞しい胸板の上で、うっとりと(とろ)けていた。

「ありがとう、カズサ」

「…何が?」

「抱いてくれて。 …怖かった… 昨日、ミウが泣いたとき、私、そうか、ミクいなくなっちゃったんだな、って改めて思って…ミウのこと、慰めることもできなくて…今までもそういうのあっても、危険なお仕事してるからね、仕方ないのかなぁって思ってたけど…今回はよく分かんない相手だし…私たち、どうなるのかなって…」

「…俺たちは負けねぇよ」

 カズサは天井を見つめたまま、ポツリと言った。

「うん…」

 セリナは小さくそういうと、上体を起こしてカズサを見つめる。

「ねぇ…もう一回しよ?」

「もうゴムねぇだろ」

「じゃ、ナマでしよ! ナマで!」

「ガキがデキたらどうすんだよ」

「そんときはそんときだもん」

「バカ言ってんじゃねぇ」

「いいよ、私。カズサの子だったら」

「バカ言え…お前、家に帰らないのか?」

「帰らない。ヤダよ…あそこには私の居場所がないもん。あの人たちには文雄が、弟がいるからね。私はもう、用済みなんだもん…」

 セリナは表情を隠すようにカズサの胸に顔を埋めた。カズサは天井の一点を見つめたままだ。

「だからね、ここが、アンジェラスが私のお(うち)なの。だから、守らなくちゃ。私の居場所を」

「ここに集まるヤツはみんな同じようなもんさ」

「うん… …ねぇ…」

 セリナは自分から唇を重ねに行き、カズサの股間を弄る。

「んン…ねぇ…お願い。今、無性に欲しくて仕方ないの。自分でもどうしちゃったんだろうってくらい。お願い。中に欲しいの、カズサの。カズサので、私の中、いっぱいにしたい」

 カズサはちらりと時計を見る。15:53。

「…好きにしろ」

「うん! んン…ぁぁ…」

 再び唇を重ねると、セリナはカズサの上に跨り、硬さを取り戻したモノを自分の中へ迎え入れた。



ED「あなたの隣で深呼吸」


https://youtube.com/shorts/gZ-NHOOCiGw


とても背の高い男の子を好きになった女の子の歌

癒し系ほのぼのソングなのに本編最終エピソードまで読み切ると歌詞の意味が心に痛い!

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