プロローグ 闇に蠢く天使たち
アンジェラス編OP「CHILD」のアルバムアートワーク用の画像を表紙絵として入れてみました
※表紙絵はAIで作成しました…が、顔が全然イメージ通りにならなかったので「かわいい女の子メーカー」の「namaco」さんの画像メーカーを元に改造つぐ改造を重ねてコラージュしました。
「namaco」さんの画像メーカーはこちら
https://picrew.me/ja/search/creator?crid=142251
「各部署、定期報告お願いします」
〈シャッター前ミツキ。異常ないって感じー〉
〈ミウ、おじさんたちの近く〜。異常ないで〜す〉
〈屋根上アイ。異常無いんだけどー〉
「班長セリナ了解。みんな、引き続きお願い」
〈了解ー。このまま何もなかったらいいねって感じー〉
「そうだね。でも油断は禁物。みんな警戒は厳にね」
〈はいはーい。セリナ班長は厳しいんだけどー〉
「そんなことないよぉ。お仕事だもん」
〈まぁそうだけどさ。ミウは大丈夫ー? 今日はマリン一緒じゃないけど〉
〈大丈夫だよ〜。たまには他の人ともやっといでーってマリンさん言うからさ〜。急に混ぜてもらってごめんね〜〉
「いいよ。こっちもサキがお出掛けで来られないっていうから人手足りなかったし」
〈お出掛けったってデートっしょ? ユウタと〉
〈まぁそうだろうね。だって下着に気合い入ってた感じだし〉
〈すごいヤツ?〉
〈すごいヤツ。スケスケラベンダーのTバックでしかも紐だったよ?〉
〈ひゅー。あだるとなんだけどぉ〉
〈ねーえーミツキ〜、ひもってお尻に食い込まないの〜?〉
〈食い込むよ?〉
〈えー、それで変な感じにならないの〜?〉
〈最初は違和感あるけど、慣れればそんなに、って感じかなー?〉
〈ミウは持ってないの? Tバック〉
〈マリンさんがだめーって言うから〜〉
〈過保護な親だ〉
〈まったくだ〉
〈セリナはこないだ買ったの穿いてる?〉
「…穿いて…ないよ…」
〈えー? せっかく買ったんだから穿けばって感じなのにー〉
「あんなの穿いたら死んじゃうよぉ…」
〈パンツ一枚で死にゃしないってー。Tバックで死んでたら私なんか命がいくつあっても足りないって感じー?〉
「…ミツキはきっと人魚の肉食べちゃったのよ…」
〈あー、あれウマかったねー、って、いつから私ゃ不老不死になった感じ?〉
〈カズサに見せるんで買ったんじゃないの?〉
「違、カズサ関係ないもん」
〈見せてないの?〉
「…見せた…」
〈どうだった?〉
「どう…って?」
〈は・ん・の・う♡〉
「…喜んでた…」
〈とても?〉
「…とても…」
〈なら良かったじゃん〉
「…うん…」
〈もうー、リア充爆発してろって感じ〉
「…どっかーん…」
〈うわ。セリナがボケたんだけどっ!〉
〈天然モノなら珍しくないよ。つーじょーえーぎょーって感じ〉
〈ね〜セリナ〜。今日のおパンツ何色〜?〉
「はぁっ⁈」
〈ブッ〉
〈ブハハッ〉
〈何だよミウ、いきなりー。変態おじさんみたいなこと聞いてんだけどー〉
〈え〜、だっておパンツの話してるから何色なのかな〜って〉
「…それで何で私のを聞くの?」
〈う〜ん、参考にしよっかな〜って〉
〈何の参考だよ〉
〈う〜ん、セリナいつもかわいいからさ〜、真似しようかな〜って〜〉
〈ですってよー班長さん。で、今日のパンツ何色な感じ? ハアハア〉
「おーしーえーまーせーんー」
〈えー、教えてよー。代わりにおじさんの〉
〈アイから緊急! パトカー! こっち向かってるんだけど! 赤灯のみサイレン無し!〉
「セリナ了解。全員配置。ミウ。田上さんに連絡、すぐ逃げられるよう準備要請。退路を確保でき次第避難、ミウはしんがりでみなさんをお護りして」
〈ミウりょうか〜い〉
「ミツキは私と合流、侵入者の様子を見ます。アイは敵侵入確認次第こっち降りて私たちと合流」
〈ミツキ了解!〉
〈アイ了解。パトカー、いま倉庫前。制服が二人降りたんだけど〉
「一台だけ?」
〈一台だけ〉
「中に人は?」
〈ちょっと待って。いない。二人だけ〉
「おまわりさんの装備は?」
〈通常。ホルスターのホックは外している模様〉
「普通の巡回じゃ無さそう…それなりに情報はあって来た、ってところか…」
〈こちらミツキ。アイ、降りてくるのにどのくらい掛かりそうな感じ?〉
〈こちらアイ。20秒、くらい?〉
〈ミツキからセリナ。私が囮になって引き付けて叩くってのはどんな感じ?〉
「セリナからミツキ。危なくない?」
〈距離は取るよ。前を横切って視線誘導するって感じ?〉
「なるほど。ミツキ案いただきです。アイ、降りたら侵入者の背後に回るように配置」
〈アイ了解。配置完了。来た! ドア開いた!〉
「ミツキ見えてる?」
〈見えてる。3カウントで出る。3、2、1。行くよ!〉
「アイ!」
〈了解!〉
「ごめんなさいおまわりさんっ!」
〈ぃよっしゃー! 討ち取ったりー!〉
〈セリナー! アイー!〉
「ミツキ! 囮お疲れ様!」
〈走っただけって感じだからねー〉
〈アイも。一撃、お見事です!〉
〈いやいやー エッ?〉
「キャァッ?」
〈何、え、ミウ? え、これ〉
〈おまわりさんがゾンビになって後ろから襲おうとしてた〜〉
〈そ、そう…ありがとう、ミウ〉
「チェケンヴィタール! 呼吸、脈拍…正常。気を失ってるだけね。ふぅ。ごめん。上手くいって浮かれてたよぉ…」
〈お互いさまだよって感じ…〉
〈それにしてもよく戻って来てたね、ミウ〉
〈おじさんたち見送り終わったんでこっち来てた〜。いいタイミングだったね〜〉
「うん。ありがとうミウ。助かったよ。もぉぉ…私、班長失格だなぁ…もぉぉ…」
〈まぁいいじゃない。無事だった感じだし〉
〈ミウにお礼しなくちゃね! なんか甘ーいもの食べに行こっか? おごっちゃうけどー!〉
〈わ〜い! 甘いの〜!〉
〈もうミウもバックアップ以外もやれちゃう感じじゃない?〉
〈そ、そうかなぁ?〉
〈まぁ、でもその辺は…マリンお母さんに聞いてみないと〉
〈ああ、それもそうね…って感じ?〉
「それでは撤収しましょう。私は戻ったらアンナさんに報告してきます。あ、ミウ大活躍ってちゃんと言っておかないとね。私は…叱られてきます…」
〈それはセリナにとってご褒美になってしまう感じじゃ…〉
「そ、そんなこと、そんなことないよ⁈ ちゃんと反省してきます…」
〈それじゃセリナが報告から戻ったらみんなで行こうか! スイーツ!〉
〈この時間でどっか開いてるかな?〉
〈ファミレス行こ〜!〉
〈どこかフェアやってたっけ?〉
〈桃のパフェって書いてあるのどっかで見たよ〉
「桃のパフェ⁈ それ美味しそうー!」
◆
日付変わって翌日、深夜1:35。
「林さん、お疲れ様です」
「お疲れさん! で、またなのかよ」
「ええ…」
県警本部捜査一課、林通隆。このところ若者たちに流行る麻薬「エンプティヘブン」警察呼称EHを主に追う刑事。なのだが、今回はEHと並行して頻発している『警察官連続ノックアウト事件』の現場に呼ばれた。EHの取引現場とされる場所へ向かった警察官は、尽く現場で気絶をしているという。背後から何かで殴りつけられたような記憶を最後に意識を失っているのだそうだ。外傷が無く、スタンガンのような後遺症も無いので傷害罪として立件できるのか難しいところではあるのだが、ともかく犯人探しをというのが現在の県警の動向だ。
「被害者の一人蔵前巡査によれば気絶する直前、向こうの黒い姿を三つ見たと言っています」
「黒い方か」
「それからその黒い連中は話し声からして一様に若い女性ばかりだったとも。うち一人はとても背が低くて体の凹凸感も乏しく、小学生くらいではなかろうかとも言っています」
「そうは言っても見分けはつかないんだろ? みんな黒づくめで」
「ええ」
「一体何人いるんだか全然絞れねぇなぁ。証拠品もさっぱり残ってない。ボディカメラのデータも残ってないと来やがる」
「鮮やかですよね」
「ああ。敵ながら天晴れってヤツだ」
「林さん、そういや最近EHについて警視庁も動き出したらしいっすね」
「俺は国の機関って聞いたぞ? アカでも右でもテロ屋でもない得体の知れんモノじゃ公安は動かんしな」
「そうですね。奥様が警視庁勤めと伺ってましたんで何かご存知かと思ったんですが」
「バカ言え。アイツは『元』嫁だよ。『元』」
「えっ⁈ そうなんですかっ? そうとは知らず失礼しましたっ!」
「かまわねぇよ。昔の話さ…」
まだ残暑厳しい8月末。それでも次の季節を知らせる虫の音は林の耳には届いておらず、ただ薄く霞んだ夜の空を見上げるだけだった。
(未紗…か。ずいぶん会ってねぇな…)
YouTubeにて音声動画上げてます
OP「CHILD」
https://youtube.com/shorts/yy-TQ-HsMWA
お手数ですがブラウザでURLをコピペしてお聴きください
「夜の街とその闇を駆け抜ける黒い影」をイメージして作りました
聴いてから本編読むとテンション爆上がり!
次回更新よりOP/EDが入ります。
今回エピソードはアバンタイトル的なもの。
でも案外文章量が多くなったので今回はプロローグのみの公開としました。