異能者IZM第26話~禁足地の中の祖母ン家~
いつもご閲覧ありがとうございます。
すみません。結局今回も何県かはふせました。次回明かします。
後半方言増えますが訳はしてません。そこまで意味解らないコトはないと思いましたので、意味知りたい方いらっしゃったらまた聞いてくださるとお答えしたいと思います。
では本編をどうぞ
26話
禁足地 とは
※ その土地の伝承や歴史的背景から限られた人しか入れない あるいは誰しも入ってはいけないとされる場所。または神域とされる場所の事である。
自分も祖母の家に行く と言い強引にM県まで着いてきた泉雲だが…
ほとんど汐梨の忠告も説明も聞かなかった為、祖母の家があろう事か、禁足地内にあるだとか挙句、汐梨には置いていかれて1人取り残されるのだった。
少し前まで離れた所で一部始終を目撃していた泉雲をここまで運んだ運転手。
彼は普通の人間ではあるが、菊之助の部下で理解もあるので、
サッと運転記録行動日報を取り出して、
運転手A「…任務完了 と」
静かにチェックを入れて車にササッと乗り込み立ち去ったのである。
そして禁足地の山の中に入った泉雲は…
自分の手荷物を能力(念動力)で操り浮かせて、
泉雲 「ハッ そんな焦ることねーな アイツの霊力を辿って行けばいいんだ…」
泉雲はいったん冷静になり、
目を閉じて集中したが、何故だか一向に汐梨の霊力が探知できない。
泉雲「は? なんで?」
不審に思った泉雲はスマホを取り出し、現在地を検索しだした。
すると 某〇〇県と同じ現象が起きたのだ。
検索すると、現所在地が東京→新潟→山形→石川→
とぐるぐる変わるのである。
試しにスマホのコンパスも使ってみたが、ものの見事にくるくる回って狂っている。
そして気づいた。
泉雲「…まさか ここは〝異界″か?」
そう ここの領域は異界。だから汐梨の霊力は探知できないのです。そして異界は広い 果てしなーーく広くその上、全ての入り口は繋がってはいないのです。よって現在地を電波機器等では検索できないのだ。
正しく此処はホンモノの禁足地であり、異界の領域なのである。
※なお某県の検索できない というのは不明です…
泉雲「さすが禁足地…そうきたか そこまでは想定外だったわ」
そして泉雲は肩をフルフル振るわせて、
泉雲「上等だ 絶っ対追いついてやるからな こーいう所は霊山で慣れてんだよオレは なめんなよ」
泉雲はそう言いながら、能力を発動させ、己の瞳を緋色に変えて燃やし、完全戦闘体制に入ったのだった。
***
一方その頃の汐梨はというと
もの凄いスピードで先を急いでいた。
ただ真っ直ぐ走らず、上に行ったり下に行ったり 右に左に行ったり来たり。
一見無意味な行動に見えるが、異界の道は真っ直ぐのようで実は違うのだ。
色々な法則があり、それに従って進まなければすぐ迷ってしまう。それが異界というモノ。
(神代くんには悪いけど 中に入るとここは異界だから道標もないし、妖怪妖はうじゃうじゃいるし…何よりおばあちゃんの仕掛けたトラップだらけで構ってなんかいられないの)
汐梨は例によって式神を使い、脚にはお札を貼って脚力を増幅させてスピードを上げて走っていた。
その時である、
足をかけた木の幹に突然ぽっかり穴が空いて、汐梨はそこに引き摺り込まれそうになったのだ。
汐梨「!?きゃっ」
そこは意外と反射神経の速い汐梨。
予め手に持っていたお札でその穴を塞ぐ。
それに安心したのもつかの間、次に突然空から降ってきた木の蔓に足を巻き取られて逆さまの状態でグイッと空高く吊り上げられたのだ。
汐梨「〜〜もぉおーおばあちゃんってば 孫の私にも容赦ないんだからぁあーー」
そして汐梨は術で式神を呼び出し、木の蔓を切らせたのだ。
足が自由になり空中で体制を整えながら式神にクッションになってもらい、くるりと回転してスタッと地上に舞い降りた。
そして安堵のため息を吐く。
汐梨(…こんな調子だから神代くんの事まで構えないのよ 私でも最悪半日はかかる時あるし…神代くん…能力強いから大丈夫だよね?まそれか 諦めて帰ってくれたかな?その方が正直 ありがたい)
パンパンと足元の埃を叩き落としながら
汐梨(万が一山に入ったとして 救済措置はあるから 諦めて そのまま帰って欲しいなぁ…)
汐梨はそう言いながら ふと泉雲の事を思い浮かべ、また今朝のやり取り(モーニングコール)を想い出してしまった。
あの時のあの あま〜いボイス
すると自然と耳が熱くなってきたので、顔をブンブンと振って蹲り、フラッシュバックをかき消したのだ。
汐梨「やだーっばかばか だからっアレは!なんかの間違いだってばっっ 今は集中しないと一歩間違えたら私が危険なんだからっ」
頬を両手でパンパンッと叩き、汐梨は気を取り直して、スクッと立ち上がり、また走り出したのだった。
***
そして その頃泉雲といえば…
見事祖母のトラップに引っかかっていたのだった。
汐梨と同じように木に足をかけた瞬間、突然ぽっかりと丸い穴が空いたのだ。
何が起きたのか「へ?」とまぬけな声が漏れたかと思えばヒュッと吸い込まれて落ちてしまい、ポイッとどこかの場所に放り出されてしまったのだった。
泉雲「?いってぇ なんだよっ今の?」
何が起こったのか訳が分からず、周りを見渡すと、なんと 山の入り口に戻っていた。
それに気づいた泉雲が愕然としていると、
見た事ある小さな式神がトコトコと足元までやってきてプラカードを掲げた。
そこには 【ふり出しに戻る】
と全力でおちょくる文字が書かれていたのだ。
だから泉雲はピキリと青スジを立てて
泉雲「 じょ じょーとおじゃねえか…このオレをここまでコケにしやがって…」
泉雲はそう言って更にパワーを上げて緋い瞳をどす黒く燃やしだした。
そしてまた山に入って空高く舞い上がる。
泉雲「ハッ バカ正直に地上を走ってたからこんな目に遭ったんだ山ん上からならなんか見えんだろ」
そう言いながらシュタッと木のてっぺんまで登りつめてキョロキョロと見渡す。
すると山の奥地に薄っすら建物があるのが見えたのだ。
泉雲「ふーん…あれか 場所がわかればチョれーな」
泉雲が勝ち誇ったように余裕をみせ、祖母の家らしき建物の方角に向かって力強く飛ぼうとした。
だがその時
突然足元の自由が奪われたのだ。
泉雲「 へ? 」
そのせいでバランスを崩し、その上何かにグイッと強く引っ張られ、そのまま地上に引き摺り下ろされてしまった。
バキバキッ!ズザザーーー!!
「??うおっ! い゛っ いででで! ??うおぉおーっ??」
ドスン!!十数メートルあっただろう 普通ならばおそらく死んでしまう高さ…だが泉雲は異能者。
泉雲「?? は? いってっ…今度はなんなんだよ??」
ふと足元を見ると、木の蔓が絡みついていたのでブチッとキレた泉雲はそれをぐわしっ!と掴み取って引きちぎり、メラメラと燃やしたのだ。
屈辱of屈辱
そんな泉雲の元に運悪く腹を空かせた妖がやって来た。
妖「げへへへぇ〜♪おおー久しぶりの人の子じゃあ〜旨そおじゃあ〜」
ザザーッと勢いよく現れた大ガエルのようなバケモノに対し、泉雲は殺気を込めてギッと睨みつけた。
その迫力に逆に怯み、まるで蛇に睨まれたカエル状態になった妖はビクゥ!っと身の危険を感じて、油汗をダラダラ流して、ピタリと止まる。
そして慌てて方向転換し、逃げようとしたが、もう時すでに遅し…
泉雲は今までの自分が受けた屈辱+鬱憤を晴らすように、その妖に怒りをぶつけてぶん殴って蹴り飛ばして粉砕した。
すると少ーしだけ気が晴れた泉雲。
泉雲「わけわかんねー仕掛けにバケモン
ね ふざけた山だな」
イライラしても、ここを抜け出さなければどーにもならないのは事実。
なので泉雲は深呼吸をし、気を鎮めようと試みた。
泉雲「このオレを こんな目に合わせやがって…藤峰め 後で覚えてろよ もーこんなふざけた罠には絶っ対引っかかんねーからな!」
……変わらなかった……
泉雲はここまで散々な目に遭わされたのは全部汐梨のせいだと八つ当たりにも似た怒りを露わにし、怒りで感情が豊かになる。
泉雲「また スタート地点だと? ~~ふっ ざけやがって じょーとぉおだコラァ オレをなめんなぁ!!」
そして怒りのまま走り出したのである。
***
一方その頃の汐梨はといえば…
ちょうど妖に絡まれてしまって戦っていたのだ。
そんな汐梨の背中に悪寒が走る。
汐梨「ひぃっ? なっ なに?また別の妖が来たの?? 」
そう言って背後を気にして警戒態勢に入るのだ。
汐梨は汐梨でこの山の攻撃に必死に争っていたのである。
***
そして… あれから約2時間後
一向に汐梨には追いつけず、トラップの式神に電撃を浴びせられ、何処からともなく槍が雨のように降ってきて、その上性懲りも無く魑魅魍魎は出てくるわまたふり出しに戻るわで流石の泉雲も満身創痍になっていた。
今自分がどこにいるのかも解らぬまま半分諦めたのか気力を削がれてトボトボと歩いているのだ。
泉雲「あー…はらへった」
正直泉雲は妖よりも山のトラップに辟易としていたのだ。特に効いたのは
【ふり出しに戻る】…
そしてボロボロにされた。すり傷も絶えない…
相当この山の洗礼を受けたと見える。
そして…念動力で浮かせていた荷物を下ろして漁る。
するとその中には汐梨が置いていってくれたランチバッグがあったのだ。
泉雲「あ…そういえば あいつ 弁当」
山に入る前に足元に置いていったランチバッグだ。それを取り出してパカッと中を開けると手間ひまかけて作ったとされるいつもの汐梨の弁当が現れたのだ。
泉雲「…なんだよ…くそ 」
悪態をつきながら、泉雲はそのまま黙々と弁当を食べ出したのだ。
…なんだか少し救われた気がしていた。
腹が満たされ持ってきた日本酒(瓶)を3本程ゴクゴク飲み干し、満腹感と疲れから眠気に襲われそのまま眠りについたのだ。
暫くすると、どこからともなく花と若草の香りがそよ風に乗って泉雲の身体を包み込むように薫ってきたのだ。
「なんだ?」と起き上がると、いつの間にか先程と違う場所にいて、違和感を覚えた。
まさか…寝てる間にまた別の場所に移されたか? またか…とうんざりしながら少し歩くと目の前に湖が広がった。
泉雲(…ふふーん どーせなんかの幻覚だろ? もー騙されねーからな)
冷めた目で、そう思っていると、
たおやかな笑い声が聞こえてきたのだ。
泉雲(ん? 女の…声?)
木の陰から覗くと、湖のそばでは現代ではあまり見ない装束いわば、十二単を身に纏った妙に髪の長い女がいたのだ。
(なんで…こんな何処に人が? また 妖か?)
泉雲は人か妖か?と疑念を持ち、少し構えながらその女に近づいていく。
その女の側には小鳥が数匹いて、その小鳥たちはまるで会話をするように鳴いていたのだ。
…それは何となく既視感があった。いつか見た風景と重なる…
泉雲(…こいつ 藤峰 か? でもあいつはこんな髪は長くねーし…第一こんな格好はしないだろ)
泉雲は怪訝に思いながらも思わず声をかけてみた。
泉雲「おい お前 何してる?」
するとその女は小鳥と笑い合うのをやめて、こちらを振り向いたのだ。
その顔を見た泉雲は驚いて息を呑む…
その女は汐梨にそっくりで、瞳の色も美しいエメラルドグリーンだったからだ。
泉雲「あ…やっぱ お前 ふじみね か?」
確かにそっくり…でも どこか違う感じもする…
泉雲が内心混乱していると、
女はふわりと笑んだ。
女「◯◯様か なんの戯れじゃ? そのように白い短い髪に空の色のような目また 妾をからかっておいでか?」
泉雲「… は? 」
(なんだよ そのしゃべり方わ…)
反応は泉雲の斜め上をいくものだった。
泉雲が今の状況に訳が分からず言葉に詰まっていると、汐梨と同じ顔をした女が身体を寄せてきたのだ。その時にふわりと香る嗅いだことのない香の薫り。
泉雲「!? おまっ な ??」
もちろん突然の女の行動に泉雲は驚く。
そんな泉雲の心情を他所に、
女「ここの小鳥たちはよく歌うぞよ ◯◯様も共に妾と謳おうではないか」
泉雲「?は 鳥? 歌う?? ってかお前藤峰じゃねーだろ誰だ!」
(なんだ?さっきから意味わかんねーっ)
女「…先ほどから藤峰とは誰ぞ?妾の名を忘れたか? 酷いお人じゃ」
女はそう言って泉雲に更に抱きつく。それに対し泉雲は更に動揺する。
泉雲「!」
女「それにしても なんて奇妙奇天烈な衣を着けておるのじゃ? ふふ いつものお召し物はどうされた?」
女はそう言って泉雲の着衣を物珍しそうに手で触りながら問いかける。泉雲は戸惑いながらも
その 汐梨にそっくりな十二単を身に纏う謎の女をグイッと両手で引き剥がしたのだ。
泉雲「ちょっ やめろって」
女「…なぜじゃ? ◯◯様冷たいのお 」
泉雲「ちがう オレは◯◯なんかじゃねえ!」
泉雲に強く拒否られて女は泉雲をじっと見つめて、スゥー…と表情を変えた。
女「そうか… やはりお前はあのお方ではないのか… ならば 消え失せろ」
女がそう冷たく突き放した瞬間、泉雲は湖に突き落とされてしまった。その時水面に映るその女の冷たい視線…そして深い水の底に沈んでいく感覚にゾクリと震えて泉雲はぱちりと目を覚ましたのだ。
泉雲「…え? あれ オレ 落ちたんじゃ…また罠か?いや 夢?」
夢か現か幻か…むくりと起き上がった瞬間、バツン!とまるでテレビの主電源を強制的に切ったような感覚に襲われたので、「なんだ?」と思った時には不思議な事にさっき見ていた夢を霧散するように忘れてしまったのだ…
泉雲「…?あれ オレ なんの夢 見てた?」
暫く頭に?マークが無数浮かんだが、
きっと疲れてんだろな と深く考える事をやめて、少し回復した身体を軽く動かし、再び能力を発動させて走り出したのだ。
するとまた…例の如く邪魔が入る。
妖「グォオオーッ人の子ぉおー」
泉雲「うっせえ!巣に帰りやがれ!!」
妖「グハッ!」
そしてまた悪夢が…泉雲は、例の穴に落ちてしまい、再びふり出しに戻されて絶望し、ぶっ倒れてしまった。
泉雲「ああー! くそおっ またかよ!!」
拳を握りしめ、行き場のない怒り、悔しさと苛立ちで、そのまま地面に己の拳を叩きつけた。
もう為す術がない…
すると
またお約束のように、例の式神がプラカードを持って現れたのだ。もう 怒りもなかった。
(あーもーいいわ…さすがに疲れたわ…)
泉雲は半分諦めて立ち上がる気力も奪われてしまった。
そんな泉雲の元へニヤニヤしながら現れた式神。どーやら冷やかしているようだ。でももー怒る元気も無くした泉雲。
それをボーッと眺めるだけ だが…
ふと閃いた。
まてよ…コイツ捕まえて…道案内させれば
ばあさん家に行けるんじゃね?
と…
確証はないが
今は他に手立ても無い。一筋の光がみえたような気がした泉雲に気力が戻る。
こーなったら一か八か泉雲は近づいた式神をガシッ!と捕まえたのだ。
突然己を掴まれた事で式神はびっくりし慌てる。
式神「?? フギーッ!フギーッ!」
だが泉雲が黒いオーラを纏って不気味に笑うので、ビビってしまった。
更に…
あろうことか、泉雲はその式神を脅しにかかる。
泉雲「おい…お前なら主の元まで行けんだろ? 連れてけ オラ 逆らったらどーなるかわかってンだろな? ぁあ゛?」
泉雲に恫喝されて恐ろしくなり、式神はコクコクと返事をし、そのまま人質となってこの山の道案内を大人しくする事になったのだ。
山の攻略にもう一度挑戦する気になった泉雲は、景気づけに酒を煽り、気合いを入れる。
泉雲「よーし 交渉成立 行くぞ!」
…交渉 と言うよりは一方的な脅迫なのだが…
ただ 式神に道案内してもらっても 祖母のトラップは健在で、容赦なく襲いかかってくるのである。もちろん妖も泉雲を喰おうと襲いかかってくる。
それを自力で跳ね除け、蹴散らし、時には危険に曝される式神を護りながら、上へ下へ右へ左へぐるぐるめちゃくちゃに行けと指示される。
泉雲もトラップを避けながらの戦闘に、その上絶え間なく走らされる事で疲弊しきっている。
なので泉雲は疑いの眼差しを向けるのだ。
泉雲「ハア…ハアー おい てめぇ この期に及んでオレを 騙してんじゃねーだろな?」
式神「チ チガウコレが ヤマノミチジュンダ」
泉雲「お なんだ お前喋れんのか」
式神「…サッキハ タスケテクレテ アリガトー」
泉雲「ハアハア…礼は オレを無事ばあさん家まで連れて行ってからにしろ よな」
式神「ア ソコアナアル」
泉雲「え? うおっ サンキュー! 」
そんな感じでこの偉大で恐ろしい山を攻略する為、いつの間にかお互い助け合いながら祖母の家路へと急ぐのだった。
ようやっと 泉雲は前に進む事ができたのである。
***
とっぷり日が暮れた約半日後、
あれから…山道を進み、深い霧をぬけ、
ようやく泉雲は汐梨の祖母の家と思われる門まで辿り着いたのだ。
泉雲「ハア…ハア… ったく ひでえ目にあった…」
ズタボロにされて自慢の顔も、服も汗や泥や血でドロドロになっていた。
そしてその肩には例の式神が…
どうやら自由になっても、泉雲から離れず、ちゃんと最後までガイド役を果たしたようだ。泉雲は気力を使い果した事でドサッと倒れ込んでしまった。その泉雲をいつの間にか心配する式神。
式神「イズム? イズムー!」
いつの間にか名前まで知ったみたいだ。
深夜ではあるが、騒動を聞きつけた人々がわらわらと泉雲の元へやって来た。
A「おやおやまあ まあ…ここまでたどり着いた新顔の人間がおるにぃー?あれまぁこらえらいわあ 主様の式神に懐かれてやんやん」
泉雲「……あ? 」
B 「あらあらぁ えらいばばいねぇどっから来やったん?」
泉雲「……」
C「山からよそもん来やったん久しぶりやんやん おいないよぉ」
D「あかへんやん!この子えらい怪我しとーよお!」
ABC「「「あらあー ほら 痛いでえーっ」」」
泉雲(なんだよ… ちゃんと日本語しゃべれようっせえわ)
泉雲が禁足地の山から辿り着いた事で、わぁわぁ門の前が騒がしくなってきた。その人垣の中から初老が出てきたのだ。
「ちょぉのいて」
D「あっ すんませなんだっ」
なにやら位の高い人物が近づいて来たようだ。それに反応したのは式神。
式神「アルジー!イズムタスケロー」
「ほほ…これはこれはうちの式神をよぉもここまで手懐けてぇ…坊よー来はったなあ」
式神が反応したので、
泉雲「…あ あんたが こいつの主 か」
祖母「そやに しおりのおばあやにぃ」
泉雲「…あんたが」
浴衣姿で現れた初老の女は汐梨の祖母であった。品なのか圧なのか ただならぬ気配を持つ人物である。
祖母「そったらしても うちの式神に道案内させてぇ…あんた発想がこすいわぁまぁそーでもせなここまで来やれへんにぃ」
泉雲
泉雲「ふ ふざけた 仕掛けばっか作りやがって はは…おかげでボロボロだぜ…」
祖母は傷だらけで動けない泉雲を静かにを見据え、
祖母「いつまでそったらとこのたくってんのぉ?ばばいよーさすがにあかへんわうちの敷居は跨がせれへんにぃ」
泉雲(…なに 言ってか わかんねーわ…)
そう言って祖母は
パンパンと手を打つ。するとスルリと1人の少年が現れた。
少年「お呼びでしょぉか」
祖母「この坊離れの風呂入れといな」
少年「へえ」
泉雲「じっ 冗談じゃねえ いっ つ ~~」
祖母「風呂入れたら 怪我みてな それと…」
祖母がスっと泉雲の方に手をかかげ、クイッと指を動かすと、式神がニュルニュルと変化し、狼の姿になったのだ。
狼になった式神は、泉雲を咥えてぶんっとそのまま自分の背に乗せ、少年の後を追った。
祖母「…なんやろなぁうちの子ぉ(式神)脅しよったんにあんな懐いてぇ…どんならん子やでぇ? まぁそれは 道中ぅ助けてくれたお礼やにぃ」
祖母はフフッと笑いながら、そのまま弟子たちを連れて、奥に消えていったのである。
泉雲は祖母の言った意味を半分も理解できず、自分の背に乗せてくれてる狼になった式神に「サンキュー な」と一言伝えた。すると狼は「クオン」と鳴いたのだ。そして泉雲は安心してそのまま身を任せたのである。
異能者IZM26話をご閲覧いただきありがとうございます!
少し謎の人物が出てきました。後半重要になる人物です。また別の人物も出てきますのでよろしくお願いします。早く書き上げれたら今回のように投稿もします。次回も変則投稿ですのでよろしくお願いします。




