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異能者IZM第22話ミイラ化変死事件編 ~緋色の瞳と翠色の瞳~

22話



麦野たちが、妖に襲われている所をちょうど汐梨を乗せたタクシーが通り掛かり、


運転手「うわっ 女の子が吹っ飛んで倒れたぞ!」


汐梨「そんな… 麦野さんっ」


運転手「!お客さんっ知り合いかい?」


汐梨「あっ はい すみません!ここでいいです」


運転手も「早く行ってあげなさい」と会計を急いで済ませてくれたので、汐梨は倒れた彼女たちの元へ向かおうとしたが…


(あ…ダメ… 知らない人ばかり…)


と急に足がすくんでしまってそのまま動けなくなった…


だが女の子が2人倒れてるので、そこにはすぐ人集りが出来てちょっとした騒ぎになっていたのだ。

そしてビルの中からお釣りを持って追いかけて来た例の黒服男。


黒服A「え?君たちどうしたの?」


ビルの出入口で、ルミとミナが気を失って倒れているので、彼女たちに近寄り声を掛けている。そこへ中からギャーギャー騒ぎながら出てきたのは刑事の岡松とホストの柊兜しゅうとだ。


岡松「お前公防(公務執行妨害)だって言ってるだろが」


柊兜「それが横暴だっていってるだろ!オレは知らないってば」


岡松は重要参考人の柊兜を引っ張って来て署に連行するためビルから出ようとしたが、その出入口付近に多くの人が集まっていて騒がしい。応援な訳はないので不審に思い、近づくと誰かが倒れていた。


岡松「ん? なんだ?どうした?」


黒服A「あ…それが 気を失ってるみたいでして…」


岡松は柊兜の腕をガッチリ掴み、またそこで己の警察手帳を出し、事情を聞く。

それを遠巻きに見ていた汐梨。


(あの人…刑事さんなんだ…だったらあの人達は大丈夫よね だったら)


汐梨はキョロキョロと辺りを見渡し、何かを探す、そして目的のモノを見つけてこっそり拝借して、人混みを避けながらビルの路地裏に入っていった。

そして後ろを振り返り、誰もいない事を確認してからメガネを外し、己の緑色の瞳が見えるようにヘアクリップですだれ前髪をくいっととめたのだ。

(今は 迷ってる場合じゃない 早く麦野さんを助けにー…なんか周り地縛霊が多いんだけど…)


セレーネは繁華街のど真ん中。実はすぐ隣のビルは、つい先日若い女性が飛び降りたとされ即死したという。

そしてそのまた隣り合うビルの中ではつい最近刃傷沙汰があったという…

華怒鬼町はそれが日常茶飯事だが、もちろん汐梨は何も知らない…


だが苦しむ霊達が可哀想なので、先程拝借した葉っぱを取り出し術を込めたのだ。


普段はお札に術を込めるが、お札が手元に無く、緊急の時は草木の葉を使うのだ。

この葉っぱは近くにあった開店祝い用の花スタンドのモノ。


汐梨はまず、近づいてくる浮遊霊たちを除霊する事にしたのだ。パンパンと両手を合わせ、

浄化の言霊を用意した葉っぱに乗せると魂は小さな光の玉になり、優しい光を放ちながらスウー…と上に昇り消えて成仏したのだ。


ひと仕事終えたところで汐梨が別の葉っぱの上に呪文を書き、術を唱えようとした所で、その背後から覚えのある声がした。


「…お前 藤峰  だろ?」


名を呼ばれ…ハッとした汐梨はまさか と思った。

でも自分の事を知っていて、そう呼ぶ人は 1人しかいない…だから思わず振り返った。

すると…そこには銀色の髪を靡かせて碧い澄んだ美しい瞳をした神代泉雲がこちらを見て立っていたのだ…


汐梨「か 神 しろ  くん?  なぜ ここに?」


だが…泉雲は泉雲で、こんな似つかわしくないこの街に、藤峰汐梨がいる事に驚いたのだっだ。

妖気を追ってすぐ近くまで来ていて、妖を探そうとしていた所に知っている霊力のパワーを感じたから…だから導かれるように、身体が自然と動いて路地裏まで来たのだ。

そして…そんな泉雲が見た汐梨は…いつもの喪女化した格好ではなく、女性らしいカーディガンを羽織、ワンピースを身に纏っていて、普段はもっさりと寸胴にしか見えないのに、思った通り女性らしい華奢な身体のラインをしていた。

※(17話で1度泉雲は一瞬ではあるが汐梨の腰や胸や太ももを見てます。)

髪はいつも1つに括るだけだが、今はハーフアップにしていて絹のようなストレート髪がサラサラと風に揺れている。そして…普段、長いスダレのような前髪で隠しているエメラルドグリーンの瞳はメガネを外し、ヘアクリップを使って前髪を留めている為全てを晒されていて、その素顔はとても愛らしかったのだ。

一度だけ、垣間見たあの緑色の瞳が今ここにあったのだ。

だから…泉雲は一瞬釘付けになっていた。


泉雲「… それは こっちのセリフだ こんな所でなにしてる?」


汐梨「……」


泉雲「… また ダンマリかよ」


相変わらず質問に応えない汐梨、だが泉雲は他の人の気配を察知し、追求は後回しにした。


泉雲「ーとりあえず ここじゃあ 人目につく ちょっと 移動するぞ」


汐梨「え? 移動 って? 」


泉雲 「 しぃっ ちょっと 黙って」


泉雲にそう言われ、条件反射でビクつき、汐梨は口を押えてコクコクと頷き、沈黙する。そしたら今度は「立て」と言われたのでスクッと立ち上がった。

すると…思いもよらない事が…

泉雲に突然抱き上げられた(お姫様抱っこ)のだ。


(!??〇X▽∀§あ!!)


動転した汐梨は声にならない声を心の中で叫んだのだ。

すると今度は泉雲がそのまま空高くジャンプして飛んだ。

あまりの 想定外の行動にもう固まるしかなかった。

ものの数秒でビルの屋上に降り立ち、「着いたぞ」と汐梨に声を掛けるが汐梨はそのままフリーズして動かない…仕方がないのでもう一度声を掛けると気がついて、互いの目がバチッと合った。汐梨の想像を絶する至近距離で。

しかも汐梨は泉雲に抱き抱えられてる事(お姫様抱っこ)に気づいてアワアワしだす。だから泉雲も少し焦って無言で汐梨をそっと下ろして立たせたのだ。


汐梨「はっ こっ ここは??」


泉雲「…ビルの屋上」


汐梨「とっ 飛びましたよ??」


泉雲「…飛んでねえ ジャンプだ」


汐梨(…神代くん飛びましたよー飛ぶんだぁ凄い能力 超能力?)


泉雲「…あそこだと 誰に見られるかわかんねーから ここだと平気だろ」


汐梨「…たしかに…」


泉雲にそう言われて、汐梨はそろりと下を覗き込んだ。先程居た地上が小さく見える…

(このビル 15階はあるよね? あんな一瞬で??)


改めて驚愕していたが、ハッ!と我に返った。


汐梨「こっ こんなコトしてる場合じゃないんです!む 麦野さんが大変なんです!危険なんですっ」


泉雲「あ? あの女がどーしたんだ?」


汐梨「麦野さん 妖に連れ攫われてっ わたし 助けなきゃ」


泉雲「… なんで お前が助けなきゃいけない?」



汐梨「だっ だってむっ 麦野さんは 私の初めてのと…と ともだち だから 助けたいっ」


泉雲「…呆れる お前を裏切ったやつだぞ?そんなやつをまだ友だちって…」


汐梨「なんでっ そんなコトを言うんですか? かっ かみしろくんにはっ 関係ないじゃないですか」


汐梨は未だに麦野に利用されて騙されたコトなど知らない。だが泉雲も その理由を今更言う気はない。

※前回どストレートに言っても意味が通じなかったので…

だから泉雲は苦虫を噛み潰したような顔をして


泉雲「ハッ お前の原動力はいつも友だちだな」

皮肉って吐き捨てた。だが汐梨も多少耐性がついたようで、


汐梨「わっ 悪い ですか?」


泉雲「いや 別に ただ …何となく」

(なんとなく気に入らねぇ)


汐梨「助けなきゃっ   ーあーっ!」


泉雲「!  なっ なに?どーした??」


汐梨「さっき…飛んだ時 葉っぱ全部落としちゃった…」


泉雲「??  葉っぱ」


ポケットを探っても、手を見ても無い。やっぱりさっき飛んだ時落としたのだろう。

もう今は時間がない。泉雲の能力も知った今 今更己の能力を隠す理由はないと思って


汐梨「ー 術を込めてたんです! あれがないと…」


泉雲「… 術 ね   葉っぱなら なんでもいいのか?」


汐梨「? あー…はい 別に拘らないですけど なるべく大きいモノなら…」


よくは解らないが、汐梨がそう言うので


泉雲「… 葉っぱが必要なんだな  ちょっと 待ってろ」


泉雲はそう言ってまたビルからビルへ飛び移りそのまま飛び降りた。

その様子をボーゼンと眺めていた汐梨。

(神代くん…ぴょんぴょん飛んでうさぎみたい…凄い能力…)

褒めてるのか貶してるのか…その泉雲は約2分後に戻ってきたのだ。


泉雲「ほらよ」


そう言って差し出したのはどこからむしり取ってきたのか…無数の葉っぱが握られていたのだ。

それを汐梨は「!ありがとうございます!」と素直に受け取り、すぐさまペロリと出した舌に指につけて、なにやらその葉っぱに書き出し術を込めだしたのだ。

するとポワァと光だす。


汐梨「ほんとは…専用のお札を使うんですけど こーいう緊急事態の時は葉っぱを使うんです」

するとそのただの葉っぱはみるみる変化していって式神に変わったのだ。


泉雲「… すげえ ただの葉っぱで? 」


汐梨「…はい」


泉雲ははじめて見た汐梨の能力に感嘆の声を上げた。


だが汐梨は…


「あーっ!」とまた大きな声を上げる。


泉雲「?? 今度はなんだよ?」


汐梨「むっ麦野さんを 追跡する為に式神作ったんですけど…その 麦野さんの所持品を私 なんにも持ってないんですー…」


なにやら絶望している様子。


泉雲「…所持品がないと?」


汐梨「…追跡  できないんです…」


泉雲「…… ポンコツかよ…」

(まるで麻薬なんかを探知する警察犬のようだなその式神…それで隠れ鬼の時はあの女の消しゴムを使ったのか…)


前回の消しゴムの理由を理解した泉雲だった。

そして一瞬呆れたが、珍しくくすりと笑って


泉雲「なら オレが助けてやる 元々これはオレの仕事だからな」


汐梨「え?  神代くんの お仕事  ですか?」


泉雲「ああ オレは報酬もらって妖退治してんだよ」


汐梨「!?」


驚愕の事実。


だが汐梨は麦野を追跡する手立てが断たれて失意の境地にいた。


泉雲「…この式神 妖の妖気なら追えんじゃねーの?」


汐梨「え? 妖の妖気? そんなのどうするか 解らないです」


泉雲「オレがイメージを伝えるからその式神にそいつを送信すればいけるかもしれねー」


汐梨「…そんなコト できるんですか?」


泉雲「…わかんねえ 今はオレもバケモンの妖気を感じれないからどっか隠れたんだろ でもお前の式神なら追えるかもしんねーし お前のその強い霊力なら 可能かもしれねー」


汐梨「でも…」


(そんなコトやったことない…出来るんだろうか…?)


泉雲「時間ねえんだろ? 早くしねーとあいつ もう喰われてるかもしんねーぞ」


汐梨「!! そっ そんな怖いコト平気で言わないでくださいっ」


泉雲「じゃ …伝えるぞ」


汐梨「はっはい」

汐梨は己の式神を手のひらに乗せて用意する。


泉雲は汐梨の両肩をガシッと掴んで己の瞳を閉じ、思念を送る。汐梨はびっくりはしたが、時間が無いと深呼吸をし、慌てて瞳を閉じて精神を集中して泉雲の思念を感じとる準備をした。

汐梨(…でも… ちかすぎ ませんかー?)


汐梨は己のパーソナルスペースを侵食されて集中出来ずにド緊張してます。


だが泉雲は泉雲で初めての試みであった為要領を得ない。

なので 泉雲は更に汐梨に近づき、より強い思念を送りやすいように、額をくっつけたのだ。

だが さすがに汐梨はその行動にはびっくりし、耐えられず、バッとのけ反ってしまったのだった。

ただでさえ人との距離感には敏感で、パーソナルスペースを取ってきたボッチの汐梨。


今まで生きてきた人生で、他人と…ましてや異性に真正面から肩を掴まれたり、おでことおでこをくっつけるなんて芸当、経験した事がなかったのだから…お姫様抱っこも然り。

今日はそのパーソナルスペースクラッシュのフルコンボを喰らって

ショート寸前なのである。


汐梨「!? ちょっ 待っ  えっ  なっ  なんですか??」


汐梨は慌てふためきオーバーリアクションのオンパレード。


泉雲「…そんな 反応すんなよ こっちも恥ずかしくなんだろっ」


汐梨「…いやっでも そ そそそれは …」


汐梨は顔を真っ赤にして両手で頬を押さえて(無理無理無理ー!)と頭をブンブン振る。

泉雲も顔を逸らして焦る。

頬には珍しく少しだけ赤みがさすのだが、今はお互い照れている場合ではないのだ。

麦野朱夏の緊急事態なんだから 妖に喰うか喰われるかの瀬戸際、特に汐梨の心理状態など二の次。


汐梨「…あ 〜〜すみません!もー  だ だいじょぶ です!」


だから汐梨はパニックになり恥ずかしさで卒倒しそうでも、そんな躊躇する時間はないと思い直して、無理くりなんとか心を無にして静かに集中するしかないのである。


泉雲「…いいか?   ジッとしてろよ?」


汐梨「… は はいっ」

(ぁあ…泣きたいっ  気絶したいっっ) …心をっ   無にしてっ…


なんてできるワケがない!

そうこう心がパニックでも再び泉雲におでこをくっつけられる。



(ちかいっ   ちかいちかいっ ちかいちかいちかいちかいちかいちかいーー!!)


どーしても慣れなくて、ぐるぐる頭は高速回転。(だが考えてる事は支離滅裂)心臓はドクンドクンドクンドクンと大きな音を立てる。


(…わたし…このまま  心臓破裂で死ぬかもしれない…)


と気を失いそうになった時、泉雲からの思念を感じ取れたのだった。

送られてくる念。強い妖気…ハッキリとその匂い形 色が解った汐梨はようやく冷静になり、己の式神にその思念を送信する。

すると式神はまた変化し、鼠の姿にかわって「チューッ!」と鳴いてエンジン全開のご様子。

汐梨「あっできました!」


はじめて出来たと嬉しくなってついつい目を開けてしまった…

当たり前だが現在おでことおでこがこっつんこで、泉雲の鼻が唇が視線の先にドンッと飛び込んでくる状態。そこへわざとなのかなんなのか、手のひらの鼠になった式神が「チュウ」と鳴いた。

流石にびっくりして「◯X▽$あ!!」と汐梨は声にならない悲鳴を上げたのだ。

泉雲もバッ!っと距離を取り、   ひと呼吸おいて、


泉雲「ふぅー…どーやら成功したみたいだな」


汐梨「す …すすごいですねっ こんなコト できるんですねー!!」


色々誤魔化したくて声も大きくなる。


ドキドキドキドキ… 心臓が痛いよ…

汐梨のこの「ドキドキ」は女子高生特有の恋とかのときめきではない…汐梨は友だちゼロの恋愛経験値ゼロ女子だ。ただ単に今は泉雲に己のパーソナルスペースをことごとくぶっ壊された事による あくまでもその打撃とも言える。


泉雲「…じゃ 後はオレに任せな」


汐梨「え? まっ待ってください わ 私も行きますから」


泉雲「…なに? オレを信用しないわけ?」


汐梨「ちっ 違います! 自分で た 助けたいんです」


汐梨に強く言われて泉雲は はあーっと深いため息を吐いて額を押さえた。そしてチロリと汐梨を見遣り、

泉雲「お前飛べないだろ?(正確には超ジャンプ)」

汐梨「! とっ飛べません!」

泉雲「ならオレが またお前を抱えて(お姫様抱っこ)飛ぶコトになんだけど いーの?」


そんな事されたら本当に爆発して◯んでしまう…


汐梨「!!// なら 別行動でっ」


泉雲「…… 別にいーけど  オレのスピードについて来れんの?」


汐梨「っわたしには 私のやり方がありますから」


泉雲「あっ そう なら ついて来れるもんならついてきな」


泉雲はそう言って汐梨の前で…能力を解放し、普段の澄んだ碧い瞳を燃えるような緋い瞳に変えたのである。

汐梨の前ではじめて緋色の瞳になったのだ。

汐梨は、突然瞳の色が変わった泉雲を前に、一瞬言葉を失い、少し喉を詰まらせて


汐梨「…あ…あかい… 目 ?」


泉雲「…オレはな藤峰 能力を使う時は この目が赤くなんだよ」


汐梨「え? でも さっき飛んだ時は変わらなかったんじゃ…」


泉雲「あの程度なら普通だ 力をある程度の域まで上げると 変わる」


いつかはこの瞳を見られてしまうかもしれない…ならもう晒すと決めた泉雲。


泉雲「…この目が 怖いか?」

(お前が怖がるなら…記憶を消してやるよ)


泉雲はそんな考えを持ちながら、一見無表情ではあるが、少しだけ眉を歪めて汐梨に問いかけた。。

汐梨は、初めて見るはずの泉雲の瞳の色に何故か、どこか懐かしさを感じる…

胸が締め付けられるような、不思議な感覚に囚われていたのだ。


汐梨「いいえ…怖くなんか ありません 私だって緑色の目ですし」


汐梨は煌めくエメラルドグリーンの瞳で、真っ直ぐ泉雲の緋い瞳を見つめてそう応えた。

実は泉雲も、汐梨のはじめて見るはずの翠色の不思議な瞳を、何故か遠い昔に知っているような…懐かしいような気持ちで見ていたのだ。そんな不思議な感覚に囚われていた。


泉雲「…ふっ… それも そうだな」


それは…初めて緋い瞳と翠色の瞳が絡み合った瞬間であったのだ。


泉雲の緋い瞳に映る汐梨の美しいエメラルドグリーンの瞳…


(オレも お前も不思議な目の色と特殊な力を持って産まれたんだな…)


泉雲「やっぱり…お前はそこにいろ」


泉雲が汐梨の式神に己の能力を送り込むと、鼠はギランッと目を光らせて、走り出した。そして泉雲同様式神もビルの間をぴょんと飛んで行くのだ。その後を泉雲は難なく追って行った。突然走り出した泉雲に反応できなかった汐梨は、


汐梨「! え? ちょっと待ってください!ついて行くって言ったじゃないですかっ」


汐梨はそう言って、止めようとしたが、あっという間に姿が見えなくなった泉雲の姿にボーゼンとし、途方に暮れそうになったが、1度決めた汐梨は諦めないのである。

だが流石に泉雲のように飛ぶ事は出来ないので、自分はまた葉っぱを使い術を込め、以前使った脚力増幅の技をかけて猛スピードでビルの下に降りたのだ。

だがそこでまたハッとする…


汐梨「あっ…私 今ワンピース(スカート)だった…はしたない…」


…やはり能力は高いが汐梨は色々ポンコツらしい…


しかしここで諦めないのが藤峰汐梨なのである。


汐梨「なら さっきみたく神代くんの能力を探知して その通り道に結界張ったら誰にも見られないわよね?」


汐梨はさっきの応用だと精神を集中し、強い泉雲の能力を探る。「!見つけた」

すると見つけたエネルギーの塊を中心付近に結界を張ったのだ。

その気配に気づいた泉雲はニヤリと笑い、

泉雲「アイツ やるじゃねーか」


とまた気持ちが高揚してきたが、ハタリと思い出す…


(あれ…?そういやオレ アイツと気まずかったよな…?  しばらく会うつもりもなかったってのに…)


少し複雑な気持ちにはなったが、


泉雲「ま    いっか  」


と もう蟠りもいつの間にか消えていたので、小さい事だと吹っ切ったのだった。


泉雲「この式神…めちゃくちゃ速ぇな…気を抜くと置いていかれる チッ 藤峰のやつ結界も超強力だし範囲広いし…どこまで強い力隠してんだよ クソ」


そして泉雲は先頭を走る鼠の式神の後を集中して追って行くのだった。


汐梨は周りに見られてない事で安心して、猛スピードで後を追いかけて行く、

それこそ太ももは丸見えで、色々見えてるかもしれないが、一切気にせず一心不乱に泉雲の発するエネルギーの塊を追いかけるのだった。

そして汐梨もハタリと思い出す…


汐梨(あれ? 私神代くんに酷いこと言って嫌われてたんじゃ なかったっけ?  なのに あんな普通に喋れて…?しかも私またこの緑の目を見られたんだよ(今更) …なのに  彼はなにも言わないし、態度も普通だった…)


(やっぱり神代くんも瞳の色が普通じゃないから共感してくれてたりするのかな?)


汐梨はあれこれ不思議に思い、色々雑念に溢れていくが、

汐梨「あー!もぉ!知らない知らない!そんなコトより今は麦野さんよ!今は一刻を争うんだからっ 私!集中しろ」


そう言って己の両頬をパンッ!と叩いて雑念を振り払い、猛スピードで走り去って行ったのだ。


こうして泉雲と汐梨は麦野朱夏救出作戦に向け、はじめて互いの能力を使ったのである。

果たして…麦野朱夏を無事救出することができるんだろうか?


次回へ続く…


いつもご閲覧ありがとうございます!とうとう2人の能力や、泉雲は緋い瞳を汐梨に見せました!やっと少し関係に変化が生まれましたよ!

また次回も投稿は不定期です。何卒よろしくお願い致します。

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