第18話 ~事件の終わりと怪異事件の始まり~
18話
兎にも角にも無事だった汐梨は、自分が眠りこけてしまった為、今何時かと聞いて、「夜の10時だよ」と菊ノ助から聞いて驚愕したのである。
「え?もぉそんな時間なんですか??」
「そーだよ」
汐梨は青ざめた。
(こんな時間まで家に連絡もせず…きっと大騒ぎになってる…)
あわあわと汐梨が慌て出すと、
「あ お家は大丈夫だよ 僕が責任もって連絡しておいたからさ☆」
「え!? そっ そーなんですか?」
「はーい 不思議ちゃん家ってここからだいぶ遠いんだねぇ お父さん車で1時間はかかるって言ってたから」
「あ…迎えに… あっ すみません…」
(あれ… ? 私 連絡先なんて 教えたっけ?)
疑問に思った汐梨は菊ノ助におずおずと尋ねる。
「あの…どうやって 家に連絡を…?」
(ん? やっぱり警戒 してる?そりゃねー……)
「あー うん それはねー そうそうっ学校に聞いたんだよー」
「…そーなんですか…」
(それって個人情報保護法違反 では?…あーでも確か菊ノ助さんて 防衛省の… あ…深く考えるの よそう )
汐梨は思う事は色々あるがなるべく深く関わりたくないと思い 追及をやめたのだ。
菊ノ助はニコニコ応対はしてくれるが、内心どういう人間なのかは分からない。汐梨は少し構えながら様子を伺い、
「あの…ちょっとお手洗いをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「はい もちろん」
汐梨は菊ノ助の了承を得て ブレザーを羽織り、前を隠すように立ちあがろうとしたが、
「…おまえ オレに言うことは?」
「……はい?」
「はい? じゃ ねーよ 助けてやった礼は?」
泉雲に改めて催促されて黙り込む汐梨。
(…だって 助ける気ないって 言ったんじゃ 麦野さんの事も教えてくれないし……)
結構薄情な事を考える汐梨。
彼女はことの重大さが解ってなかったのだ。
2人の様子を見ていた菊ノ助が
「あ〜〜 いやいや うん 不思議ちゃん そこは泉雲くんにちゃんとお礼言っといた方がいいよ?ほんと 危ないところだったんだからね(貞操の)」
そう菊ノ助に促されるが、
(…だって 私のことバカだマヌケだ暴言吐く人に お礼って……)
汐梨的には正直不本意なので複雑な気持ちなのだ。それにそんな事より今は自分の乱れた服装を直したい気持ちに急かされている。
だが このままだとこの神代泉雲という男は納得してくれそうにない。
仕方がないのでここはグッと堪えて従う事にした。
「…… あ ありがとうございました(棒読み)」
「あ? なんだよその棒読み感は?」
流石に棒読み口調だと見抜かれて泉雲にツッコまれた。
「……」
汐梨にも意地があるのか、素直にお礼を言えないので細やかに抵抗してみせる。
もちろん泉雲もいい気はしない。
2人のお互い譲れない平行線を見ていた菊ノ助が、
「ちょっちょっと 泉雲くん もーいいんじゃない? ちゃんとお礼言ってくれたんだし
(これ以上は不毛だし…)もーそのへんにしてあげなよ」
泉雲に睨まれてグッと構える汐梨…
そして泉雲は菊ノ助に諭されて渋々引いた。
その隙に、汐梨はそそくさと泉雲の横を通り部屋を出て行ったのだ。
菊ノ助はため息を吐き
「もー なんで泉雲くんあの子のことになるとそんなムキになるの?」
「… なってねーよ ただ むかつくだけだ」
(くっそ ほんとむかつく女だな …でもなんか …あー くそ!)
泉雲はガリガリと己の頭を掻きながらイラつきを治められない。
「? ちょっとちょっと どーしたの?」
「〜〜なんでもねーよ!」
(うっわぁ… 荒れてんねぇ…)
荒れる泉雲に菊ノ助が困惑している頃汐梨は、
(うー… ほんと神代くんは 苦手だあ… なんであんなイジワルなんだろ…)
鏡に己の姿を写しながら汐梨はふと思う。
(… なんで こんなに服が乱れてるんだろ だらしなくて 恥ずかしい…)
疑問に思っても、自分がどんな状況に置かれて助けられたのか… そして助けた という泉雲に聞く勇気は更々ないので黙々と服装をいつもの状態に戻していく。
(……鴉丸さんは まだ私をスカウトしたいとか 思ってるんだろうか…… あんまり借りとか作りたくないな これ以上あの人達に関わるのは きっと 良くないんだ )
汐梨がこの後どうしようかと頭を悩ませる頃
部屋ではようやく気持ちが落ち着いた泉雲がポツリと言葉を漏らしていた。
「…あいつの霊力は 特別みたいだ」
「特別?」
「ああ オレが部屋に入った時にあいつの周りに妖どもが群がってた」
「…へえ そーなんだ でも 別にそんな珍しいコトではないんじゃないの? たまにいるよ霊媒体質の人って」
「…いや なんかそーいうのとは違うような 霊障を伴わない とにかくあいつは異質だ」
(…あの女に憑いてた あの鬼は まだ"不完全なモノ〃だった…だからオレも気づかず見過ごしていた きっと中で力を少しずつ溜め込んでたはずだ その時まで… なのにあの鬼は我慢出来ずに出てきたんだ 恐らく 藤峰に惹かれて…だからオレは"あの女〃の魂を壊さなくて済んだ)
「えー それを泉雲くんが言うの? 君もじゅーぶん異質だよ」
「… うるせ 」
(…ただの霊媒体質? いや アイツは違う)
「でも そー言われるとますます欲しくなるねぇ これからきっとこの妖達を巻き込んだ事件も増えるだろーし 戦力は必須だから」
ここ近年で妖が引き起こす怪異事件は増加の一途を辿っていた。 だから ある派閥の政府が、秘密裏に対策を立て、特別隠密チームを結成させたのだ。
だから、その存在はまだ公には知らされていない。何故なら人々の多くは妖や霊の存在を知らないから。現代に置いて、そのような非科学的存在を認めていないのである。
だがしかし、異形なるモノは確かに息づいているのだ。
遥古の日本国には、現世に多くの異形なるモノたちが存在していた。
現代の産業や科学が発達した世の中では
そんな異形なるモノを信じる者、視える者も少なくなり かつて共に過ごした事すらも忘れ去られていったのだ。
だが 彼らは 確実に 存在している。
ただ、多くの人の目には視えないだけなのだ。
現世の反対側…いや すぐ裏に 陰に 常世は存在するのだ。
だから現代ではその存在を認知し、時折人々を脅かす存在である異形なるモノを討伐する組織が秘密裏に暗躍しているのだった。
その筆頭が、防衛省所属特別異形種討伐隊である。
特に近年は妖怪や妖が原因である怪異事件が増えて来た事によって 裏で活発化している。
その防衛省の後方支援をしているのが
このルーズカフェのオーナーでもある鴉丸菊ノ助という男なのだ。
汐梨が部屋に戻って来ると、菊ノ助が暖かい飲み物を用意していた。
それに素直に感動する汐梨。
(鴉丸さんは ほんと いい人)
泉雲に取られた己のメガネを返して欲しいとお願いし、漸く返してもらって一安心したころに店の扉が開いたようで、取り付けられてるセンサー音が休憩室に響いたのだ。
それと同時に汐梨の耳に聞き慣れた声が届いた。
「しおりぃー!無事かあ??」
その声に反応した汐梨が一目散にホールへ向かう。
「アレ? もーお迎え来たの? 予定よりだいぶ早かったねー」
菊ノ助がびっくりして己の腕時計を二度見した。
「……」
そして汐梨は急いで駆けつけてホールに続くドアを開け、顔を見た瞬間安堵したのだ。
「パ パパ!」
己の父親の胸に飛び込むと、父親はギュッと抱きしめて心底ホッとした顔をし、
「ダメじゃないかっ こんな時間まで連絡もせずっ どこも 怪我とかしてないか?」
「うん 大丈夫 なんともないよ」
いつもの汐梨の顔を見て確認し 問題ないと判断した父親である康平が、
「とりあえず良かった お前を保護してくださった方は?あいさつしておかないと」
礼儀を重んじる父康平。
「……このお店の奥に……」
汐梨がそう言うと、出てきたドアから菊ノ助が顔を出して来た。
それと同時に入り口のドアが開き、
「しおりぃいーー!!」
「うわっ しょうたっ」
父康平に一緒にくっついて来たのだろう弟翔太が店内に入って来たのだ。
そしてそのままの勢いで汐梨に抱きついた。
「なっ なんでしょうたまで… 子供はもう寝る時間でしょ」
「おまえ 人に心配かけといてなんだよその言い草!」
「あ ……ごめん 」
菊ノ助の後ろから来た泉雲は、その様子を見て少し驚いた。
いつも学校では吃りながらオドオドとマトモに喋れない汐梨が、今は普通に会話をしていたからだ。
(… なんだよアイツ マトモに喋れんじゃん
ってか 生意気なガキ)
泉雲がそう思いながら見ていたら、1人の男がこちらに近づいて来た。
「あの… うちの汐梨がお世話になりました」
そう言って父親である康平は菊ノ助に深々と頭を下げたのだ。
見ると父親である康平は一見サラリーマン風の中年の優男でどこにでもいそうな風貌であった。
「あっ いやー私は大した事してませんからお気になさらず」
「あの…改めてまた お礼申し上げますので 今日はーそのぉ もう遅いですし、このまま帰らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「あっ はい ぜんぜんもちろんですよー」
2人がぺこぺことあいさつを交わす中、泉雲の存在に気付いた翔太が、
「… おい しおり あのやたらキレイなヒト だれ?」
「うっ あ… く クラスメイトの ヒト」
ホントのことではあるが、言い方がかんに触ってピクリと眉が上がる泉雲。
「もっ もういいから車に戻ってて」
「は? なんで?おまえも一緒に行くんだよ」
「わっわたしは パパが まだ 話し中だし」
汐梨は弟を急かすように外に出そうとするが、翔太はごねる。
それをとても低い声で「おい」と泉雲が呼び止めた。
びくりと肩をこわばらせ汐梨が振り返ると、泉雲がプラプラと汐梨の鞄を持って見せつけてきたのだ。
ハッとして泉雲の元へ行き、ぺこりと頭を下げて、
「あっ すみません… あの 返してもらって よろしいですか?」
汐梨はこれ以上泉雲の機嫌をそこねるのは得策じゃないと感じ、とても低姿勢でお願いしたのだ。
その様子を見ていた弟の翔太が割って入る。
「ちょっとなにやってんだよしおり!おまえなんでコイツに頭下げてんだよ!」
(なにコイツ 口悪りぃガキだな)
そういう泉雲も大概ではあるが…
カチンときた泉雲が大人気なく翔太を睨みつけ尚且つ
「お前 こんなガキにも舐められてんだな どーしょーもねえな」
「うぐっ… 」
屈辱的な事をズバっと言われて悔しいが反論できない。だが翔太は我が最愛の姉を侮辱されて更に腹を立てる。
「おい!おまえ オレのしおりになれなれしくすんな!」
「は?(オレの とは?)さっきからお前なに?」
「オレはおとうとだ!」
「あ …そう」
(なにコイツ シスコンか?目の色 コイツは緑じゃないんだな…)
短気同士の言い争いが始まりそうだったので、
「ちょっと しょーた!もうやめてっ」
「〜〜 っなんだよしおり!言われたい放題でいいのかよ?」
(… いやだけど 終わりが見えないからもーどーでもいい…帰りたい)
自分の子供たちがギャーギャー言い争っているのを見て、
「こらっ しょーたしおり 何騒いでるんだっ」
見かねた父康平が間に入ってきた。
そして康平は泉雲を見遣る。
(あらー 綺麗な子だなー …あれ?)
「…君 なんか不思議な雰囲気してるね」
柔らかい表情で康平にそう言われて泉雲は目を見開いた。
泉雲はもちろん見た目もあるが、康平はそれだけではない何かを感じ取り、含みを持たせる言い方をしたからだ。
だから泉雲はビクリと少しだけ肩を震わせたのだ。
(へえ〜不思議ちゃんの父親なだけあって霊力があるんだなぁ 泉雲の能力に気付いた?)
すると汐梨が慌てて
「ぱっ パパ もお帰ろっ あのっ お…お世話になりましたっ」
汐梨はそう言いながら父康平の背中を押して急かすように店を出たのだ。
車内では
「おい!しおり あの美形とどんな関係なんだよ?」
後部座席に座った汐梨の横で弟翔太がまた問い詰めてきた。
「はあ? だから なんにも関係ないんだってば」
「汐梨 あの店の空間 もしかして 結界? あの2人は汐梨の能力の事知ってたりするの?」
ギクリッ!
(… やっぱり パパ 気づいてる…)
「はあ?結界?? どーいうことだよ しおり! アイツらお前正体知ってんのか??」
(正体って… あー色々説明が めんどくさい…)
汐梨が車内で困っている頃、その車の少し離れた後ろで後を追うようについて来る1台の車が。
『はい 了解です このまま尾行を続けます』
菊ノ助「はいはーいそのまま気づかれないよ うお願いねー」
プツ…
泉雲「…お前… ほんとやることキモいな もーどうせアイツの住所とか分かってんだろ?」
菊ノ助は己の部下を使って汐梨たちの乗った車を尾行させてるのだ。
それを泉雲に毒づかれるが、菊ノ助には悪びれた様子もなく、
「まぁまぁ この際ついでついで♪ 別に悪い事してないじゃない?」
もう既にやってる事はプライバシーの侵害行為ではあるが、菊ノ助が、細い瞳をより細めながら応える姿にはサイコみが増だけでしかない。
そんな菊ノ助の携帯に1本の電話が入る。
「はあい♪もっしもーし保っちゃんどーしたの?」
『〜〜お前のその軽さ…どーにかならんのか?』
「お前が硬すぎなんじゃないの?」
『…はぁ もういい 用件伝えるぞ』
「なにかなー」
『今日 お前から受けた傷害事件の犯人だけどなH大学の学生で、生活安全課で処理するんだが…なんせ相手が重体だ コレを〝もみ消せ″とはどういう了見なんだ?』
菊ノ助に電話をかけてきたのは
警視庁捜査一課管理官 須賀原保
彼は湧き上がる怒りを抑えながら、笑顔を作るが、ヒクヒクと口元を引き攣らせているのだ。
そんな彼に向かって菊ノ助はいつもの調子で、
「どーいう了見てー そのまんまだけど?」
『お前っ 世間舐めてるだろ!(知ってるけども)あれだけの騒ぎ起こした上に!あんな状態のっ現在意識不明の重体のっマル被らをどう処理しろと!?どの口が!? だいたい加害者の親たちが所轄に怒鳴り込んできて大変だったんだぞ??』
今までの署内で起きた経緯を八つ当たりするかの様に伝える保は頭に血が昇っている。
「ー でもその子たちいたいけな少女をクスリ使って犯して挙句ハメ撮りしよーとしたクズだよ?」
『聞いたさ!解ってる!オレも個人的には性犯罪者は◯したいぐらいだからな!』
「だろ?さっすが保っちゃん♡そーいう過激なところ好きだよ♪不本意だけど治療費はこっちが持つって言ってんじゃん それに奴らは当時の記憶は一切ないよ」
『(…だから なんでそんな事断言できるんだ?)好きとか言うな はぁ… 理解に苦しむな…』
「とにかく難しく考えんなって とりあえず〝報道規制″だけはよろしくね♡」
『〜〜ああっ わかった!親には子供のクスリの件で黙らせた グチは以上だ!本題に入る』
「あれ?用件って別の事?」
『お前がいつもいつもいつもいつも厄介ごとを持ち込むから文句も言いたくなるだろ!』
「えーめんどくさいコトはヤだよー」
『お前がいうな! コホン…〝0号X案件″の事だ』
※「0号X案件」とはこの世界での警察の隠語で怪奇事件の事です。
「それってボクが警察に圧力かけて揉み消して♡ってお願いしたやつ?」
『〜〜ああ!それだ S区内連続変死事件』
「あー…〝連続″ とーとー第2の被害者が出たんだな」
『そうだ お前が防衛省(MOD)で預かると言った事件だ …それでその今回のマル害(被害者)が…俺の同僚刑事の…その 妹なんだ
そいつが 1人で動いてる』
そう保から聞かされて、菊ノ助の脳裏に昔の記憶が頭を過ぎる。
ーーお兄ちゃん… たすけて…ーー
その記憶を一瞬思い出し、菊ノ助はいつものヘラヘラと締まりのない顔を、曇らせ眉間に皺を寄せた。
「…そうか 」
保は菊ノ助の声色が変わった事に気付くが、
気づいてないフリをして話を続ける。
『そいつと今連絡が取れない 携帯も電源を切ってて居場所を追えない』
「…相手は恐らくバケモノだ〝普通の人間″の手に負えるもんじゃない そいつ 死ぬぞ」
『……俺はな菊 未だにそんな〝バケモノ″の存在は認めてないんだからな』
「知ってるさ〜♪ でも 存在するんだから仕方ないじゃん」
いつの間にかいつもの菊ノ助の口調に戻っている。
保はコイツはそんな奴だと半分呆れて、
『〜〜とにかく この変死事件は箝口令という名の圧力をかけてやったんだ でもな!警察内部からは今回のマル害が身内という事もあって上層部(俺の見解)に納得してない だから菊 お前責任持って解決しろよ』
「部下に嫌われて可哀想にぐすん…なら保っちゃん もっともっと出世してよぉ〜」
菊ノ助からの腹の立つ煽り文句を言われて額に青スジをピキリと立てながら保はそのまま無言で通話を切ったのだった。
「あーあ 短気だねー」
と薄笑いを浮かべる菊ノ助に、
泉雲(…国家権力も使いたい放題だなコイツ)
と 自分のしでかした後処理をしてもらった事は棚に上げて、そんな事を思うのだった。
そしてまた 菊ノ助のスマホに1本の電話が入る。
「はーい もっしもーし」
『あ… 菊さん… あの… 』
「はあ?? まかれたぁ??」
『すっ すみません!!』
どうやら追跡していた汐梨達の乗った車を見失ってしまったようだ。
しかしこっちはプロ それを追跡不能にさせるとは、どうやら相手は相当のドライビングテクニックを持っているという事になる。
「へぇー…あの優男さんて…見た目以上に有能なんだね~」
そう言って菊ノ助は細い瞳をより一層細め、苦々しい思いを抱えて口元を歪ませて笑んだのだった。
そして追跡車から逃げ切った車内では、ルームミラーとサイドミラーで後方を確認した康平が、
「あー…やっと 撒けたかな?」
と呟いた所、汐梨が「え?パパなーに?」と問いかけてきたので、康平は「なんでもないよ」と優しく応えて安心させ、
「さあ 汐梨 家へ帰ろう」
「うん!」
汐梨の笑顔であろう(メガネで表情は分からない)ルームミラーで元気な姿を見て安心はしたが、
(…どうやらうちの汐梨は厄介な人間に目をつけられたらしいな… うん なんとかしないと)
康平はそんな事を思いながらハンドルを持つ手にギリッと力を込めて、家路を急いだのだった。
異能者IZM18話を読んでくださって本当にありがとうございました!
ほんと長い事投稿出来てなかったにも関わらず読んでくださってる読者さま達がいて とても嬉しく思っております! また 遅いですけど続き書いていってますのでこれからも何卒よろしくお願い致します。