異能者IZM 14話 〜北斗の声と汐梨の悩み〜
14話
恋愛において、意中の人に近づく時、その周りから徐々に攻めていく人が少なからずいる。
名付けて〝外堀を埋める作戦″
そのままでは意中の人に相手にされないので、その周りから攻めるのである。
意中の相手の近しい存在に近づき、仲良くなり 自分の存在を知らしめて、成功すれば利用した相手は用済みとばかりにあっさり捨てるのである。
だから 失敗した場合も……
人生初めてのお友だちができた! と思い込んでる汐梨は、浮かれすぎたせいか、早朝3時に目が覚めてしまい、
朝のルーティンを済ませていつもより1時間も早く家を出たのだ。
(こんなに学校に行きたいって思える日が来るなんてっ 早く麦野さんに会いたいな〜♪)
そしていつものように約1時間半もの時間をかけて学校へ到着した汐梨は、1ーB組の教室を覗いた。
部活の早朝練習で来ている生徒はいるものの、教室の中は誰もいないので、ドキドキしながら汐梨は中へ入った。
(ここが麦野さんのいる教室…)
なんだか悪い事をしているような気持ちでドキドキしながらキョロキョロ室内を見渡し、
(私… このクラスがよかったな…)
と名残惜しみながらB組を出て、己のクラスに向かった。
教室に着くと、黒板の消し残しを綺麗に拭き取り、飾られた花瓶の花の水を替えて、本を読みながら時間を潰していた。
そこで汐梨は大事な事に気づいた。
(あ… 私 浮かれてて忘れてた! 今クラスメイトたちとの関係はサイアクだ!)
そう思った途端に怖くなり、挙動不審になってコソコソと教室から逃げ出したのだ。
そしていつもの準備室で時間を潰す事にした。
季節的にはそろそろ茹だるような暑さが訪れる時期、周りは既にブレザーを着てない生徒がいる中で、それでも汐梨はまだ指定のブレザーをキッチリと着込み暑苦しい格好を崩さない。
(あーここエアコンあってよかったー)
そして冷静になったところで昨日の怖かった出来事を思い返す。
(… 誤解 どーやって解いたらいいんだろ… )
うんうん1人で頭を巡らせても解決方法なんて思いつくはずもない。声を発し、みんなに「違う」という事だけでも凄く勇気のいる事だからそんな大それた事ができないのだ。
(せめて 昨日の女子達には「違う」と言えれば… でも また 昨日みたいな事になったら イヤだ……)
そうこう考えていると、窓をコツンコツンと叩く耳慣れた音がした。
振り返るといつの間にか北斗がいたのだ。
「あっ北斗くん こんな朝早くからもいるんだ」
もう完全に抵抗がなくなった汐梨は「おはよう」と言いながら部屋を入れるが、
「あっ 私 今お弁当ないよ お腹 空いてるの?」
と いつものように話しかける汐梨。それにいつもならピィッと元気に返事をする北斗なのだが…
「… ヤレヤレ ワタシはソンナ食いイジナド ハッテイナイ」
「… … へ? 」
なんと!いつもはピィッと鳴く北斗が喋ったのだ。
正確に言うと 頭の中に声が直接届いてきた。
「オマエはドウブツノ声ガキコエルノダロウ」
「!?えー! ほっ ほくとくんがっ しゃべった えっ声??え? なんで??」
「フーヤレヤレ オチツケシオリ オマエの力をオモエバフシギデモナイダロウ」
(いや 不思議ですけど?規格外ですよ?)
「ワタシのコノコエはイズムニハキコエナイ」
更に驚きの事実。
「か… かみしろくん… には?」
「ソウダ」
「… ど どういうコト でしょうか?」
「…ソノ チンミョウナメガネをトレ シオリ」
「え? あ… ハイ…」
北斗に驚きはするものの言われるがまま汐梨は素直にメガネを外した。
「… ナツカシイな オマエのオーラ」
「え… ?〝オーラ″ ? なっ 懐かしいって どういう事ですか?」
「…ワタシは ハルカムカシにオマエト アッテイル」
「え? あっている…の?北斗くんと?」
「イマハイエナイ イズレワカル ソノトキガクレバイズムニモ ワタシのコエガキコエルダロウ」
汐梨がびっくりして北斗の意味深な言葉に反応したが、ザワザワと邪気が強まって来たのでメガネを掛け直した。
「ほっ 北斗くん…なんで 神代くんには その…声が聞こえないの? なんで私には聞こえるの?」
「…オマエのチカラハアイカワラズツヨイナ」
「え? どういう事?」
「… オマエは マダメザメテイナイ」
「え? …目覚めて ない… ?」
「ソウダ」
北斗はそう言い残して自ら部屋を出ていった。
取り残された汐梨は、悩みがもう一つ増えたのだった。
HR始まるギリギリまで準備室で過ごし、教室に戻った汐梨は更に考え込んでいた。
(…遥か昔に会っているって…私の幼少期の頃なのかな?あの様子じゃ北斗くんも普通の鳥じゃなさそうだし…まさか
あの頃の妖怪たちの中に北斗くんがいた?
いや…でも北斗くんって怖い感じしないし…そもそもあんな大きな鷹見たら忘れないのでは? あっその頃の北斗くんもまだ小さいのかな)
色々昔を思い返してみる。
(いやいや よくよく考えたら妖怪なんてどれもこれもパンチ効きすぎて 元々存在感強すぎなんだから北斗くんの記憶がかき消されただけでは?)
考えれば考える程答えは出ない。
そしてチラリと泉雲の席に目を遣る。
すると泉雲は机に突っ伏して、そのまま眠っていたようだった。
(… 授業中に 寝てる…)
そしてまたハッと思い出す。
(そっそうだ!わたしっ 神代くんをカラオケにお誘いするという最大の試練があったんだった!!)
また大きな悩みを思い出し、冷や汗がダラダラと流れるのだ。
(どっ どどどどどどーしよお… そーいえば神代くんとも気まずいんだった!)
【出て行ってください。 お帰りください】
汐梨はピシャンと突き放した日の事を思い出したのだ。
(…あんな風に言われたら… 誰だって 嫌いになるわよね… たぶん 私 完全に神代くんに嫌われたと思う……あ でも話しかけてくれたっけ)
(いやっ でもあれは麦野さんに対して失礼だったしっ)
授業に全く集中できず、悩みばかりが増えてゆく。
そして危惧していた問題の休み時間。
神代泉雲は眠りから覚めたようだが汐梨に話しかけたりもせず、別の女子に囲まれている。汐梨はそんな状態だからカラオケの事も言えず、仕方がないので大人しく本を読む事にした。
その動向を見守る(監視する)生徒達は、また勝手な憶測を立てるのだ。
ひょっとしたら神代泉雲は藤峰汐梨を振ったのでは?それかやっぱりモサい変人に興味を無くしたか?
勝手な憶測は飛び交うが、当人同士が同じ空間にいるので、聞くにも聞けない。
妙な牽制状態が続く。
(ホッ…1人にならなくて正解だったみたい 神代くんも私の事ほっといてくれてるし…いやでも私カラオケ誘うという使命がっ でも誤解がっーー)
「藤峰さぁーん」
名前を呼ばれて汐梨の思考がここで止まる。そこに現れたのは麦野朱夏であったから
「えっ? あ…」
そう名を呼んで汐梨の元へ駆け寄る麦野は、女子に囲まれている泉雲に視線を落とす。
そんな麦野に汐梨は僅かばかり違和感を覚えた。
(あれ…? 麦野さん… 〝藤峰さん″って…あれ…?)
「あのねぇ わたし次英語なんだけど 辞書とか持ってない?」
「えっ あ ハイ …持って ます」
「わあっ助かるぅ 貸してほしいんだけど いいかな?」
「あっ ハイ…いいです よ」
そう言いながら汐梨は後ろの自分のストック置き場から辞書を探しに行く。
(…どうして…今日は名前で呼んでくれないんだろ…?)
そう思えば思う程 モヤモヤし出したのだ。
(あ…私が…いつまでも麦野さんの事を名前で呼ばないから…なのかな? もしかして 私が名前で呼んだらっ麦野さんも私の事名前で 呼んでくれる?)
そう意を決して 手に持った辞書を麦野に手渡す時に、ドキドキしながら片唾を飲み、
「はっ はい…どーぞ し…しゅーー「ありがとー!」
汐梨が麦野の名を言い切る前に、麦野は自分のお礼の言葉で遮るようにかき消した。
「……」
(なーにみんなのいる前でわたしの名前呼ぼうとしてんだよ)
だがしかし、隣クラスの人気女子生徒であるB組の麦野朱夏とクラス1どーでもいい存在であるモサ子コト地味峰のやり取りを一部始終目撃したクラスメイト達はザワザワしだすのだ。
そして麦野は用が済んだらすぐ汐梨に背を向けて
「泉雲くん おはよ♡」
相変わらず女子に囲まれている泉雲に挨拶するが無視される。
(うわ… ムシなんだ)
もちろん他の女子からの質問等にも無視を決め込んでいる。
(泉雲くんってガードが硬いなぁ 正しく難攻不落 でも望むところよ!堕としがいがあるってもんよ)
すると泉雲はあくびをし、またそのまま机に突っ伏した。
その様子を見ていて
(… まさか この人マジで女に興味ないの?? それかよっぽどのB専??)
麦野朱夏は化粧をばっちりした美少女なので、男子生徒に人気があるのだ。だからワラワラと朱夏の元へ男が寄ってくる。
男子生徒A「朱夏ちゃんとこって次英語なんだね」
「うん なのに朱夏ったら辞書わすれちゃってえ」
男子生徒B「それだったらオレに言ってよ いつでも貸すし 」
「ありがと♡」
(ほーら見なさいよ神代泉雲 朱夏ってばこーーんなに男子に人気あるんだからね!)
男子にシナを作りながら横目でチラチラと泉雲を見るが、寝ているようで無反応なのである。
どんなに他の男にチヤホヤされても、それをアピールしても無反応なのである。
だから麦野は少しずつイライラを募らせていく。
だが泉雲は自分の耳元で騒がれる事にいい加減我慢出来なくなって、
「うるっせーなあーギャーギャーと耳元で」
自分の眠りを妨げられて、泉雲の機嫌は急降下し、ドスを効かせた低い声で静かな怒りを訴えるのだ。泉雲の迫力に負けて
周りはビクリと震えて黙りこんだ。そんなところでチャイムが鳴ったのだ。
麦「あっ よ 予鈴だ じゃ わたし戻るね」
男子たちに手を振りそー言って麦野はそそくさとC組の教室を出た。
そしてギリっと己の爪を噛み、
(なによぉおーあんな言い方しなくたっていいじゃん!!)
泉雲に脈ナシ認定されたくない自己肯定感高い系女子であるカースト上位の麦野のプライドは少し傷ついたが、
(…やっぱりあのブス利用するしかないじゃん!それで 絶対神代泉雲を朱夏の〝オトコ″にしてやるんだから!!)
自己肯定感高い系女子は落ち込む暇などない。だから 次へのチャンスに燃えるのだった。
そしてその頃汐梨はモヤモヤしていた。
(名前…名前…頑張って 麦野さんの名前呼んだけど…あれは…聞こえなかったのかな…?)
そしてこちらは自己肯定感低い系女子藤峰汐梨。ひたすら麦野に苗字で呼ばれた事にショックを受けて、気にしていたのだ。
もうこの時には北斗の事は頭になく、麦野の事で頭がいっぱいになっていた。
はじめての友だちで、どう接すればいいのか、何が正解なのか解らない汐梨は1人苦悶するのである。
(と…ともだち…なんだよね? 麦野さん…私と…麦野さんは… ともだち…)
そう己に言い聞かすように、汐梨は心の中で繰り返した。
そして昼休み。
汐梨はトボトボといつもの準備室に向かう、その道すがら
「あっ 汐梨ちゃーん」
聞き慣れた声がしたので、汐梨が慌てて振り返ると麦野が手を振ってこちらまで駆け寄ってきた。
(むっ 麦野さん! なっ名前で 呼んでくれた!!)
「どこ行くのぉ?」
「え… あ お昼 食べに」
「ふ〜ん そーなんだあ」
(教室に泉雲くん居なかった 今から会いに行く気ね なんでこんなブスが…許せねえ)
「じゃあ 朱夏もお昼 一緒していーい?」
「えっ あ はいっ」
麦野が一緒にお昼してくれる。
今までずっと1人で食べていたからこれほど嬉しい事はない。
今まで泉雲と何回か昼休み一緒にはなったが、それはお昼を一緒に食べる という行為がなかった為除外された。
(…ん? まさか…神代くん 準備室にいたり しないよね? 念の為場所変えよーかな…でも今からじゃ場所が…)
「ねえ 汐梨ちゃん 今日のカラオケ泉雲くん誘ってくれた?」
「あ…」
(忘れてはいないけど 誘えてない!!どっ どーしよぉおおーー)
「あ あの…お話する 機会が なかったものですから」
汐梨がモゾモゾと言うと、麦野の明るかった表情が曇った。
「フーン…まだなんだ キモ峰使えねぇな」ボソ…
「えっ なに? なにか言いましたか?」
小声で汐梨には聞き取れなかったので、麦野はまたコロっと表情を変えて、
「そーなんだ もおっ早く誘ってよー あっ場所はね 〇〇町にあるカラオケ〇〇ってとこだよ」
「はい …分かりました」
(あーっイライラする!ただでさえキモいんだから!もっとシャンと喋れっての(怒))
表向きのお顔は柔らかくニコニコ笑い、心の中では黒く怒りの感情でいっぱいになる麦野。
流石の鈍感な汐梨にも少しだけだが、よく解らない違和感が伝わり、モヤモヤした所でいつもの準備室に着いてしまった。 そして扉に手をかけ考える。
(…まさか い いないよね?)
もしかしたら泉雲がいるかもしれない という思いが頭を過ぎるが 居たら どうしようと動揺しながらガラッと開けた。
するとやはりというか、なんで?というか 神代泉雲がいたのである。
(…… なんで……?)
「あー 泉雲くーん♡」
(やっぱ会ってんじゃん! 朱夏いなかったら2人かよ(怒))
汐梨は困惑するが泉雲を見て歓喜するのは隣の麦野。そしてそのまま泉雲の元へ駆け寄って行くが、
「…… またお前かよ うぜえな 」
泉雲にウンザリ気味で言われ、
「そっ そんな言い方しないでよ…」
麦野が傷ついたようなので汐梨も慌てて部屋へ入り、
「あのっ 神代くんっ」
(ほんと…あなた 言い方ってものが…)
2人が準備室の中に入ると、泉雲は麦野に、
「藤峰に話しがあるからお前は帰れ」
とまたズバッと一刀両断する泉雲。
「な!?」
「かっ かみしろくん??」
汐梨には用はあるが麦野には無いとハッキリ意思表示を示し、その場はなんともいえない空気になり、一瞬シーン…とするが、
泉雲は席を立ちそのまま麦野の前まで立った。麦野は泉雲の美しいご尊顔を間近で見てときめくが、
「帰れって」
またも冷たく突き放された。
そして威圧されてそれに負けた麦野は、渋々準備室から出て行ったのである。
麦野が出て行った後泉雲はドアに手をかけ何やらぶつぶつと呟くが、暫くすると、スタスタと元の位置に戻ったのだ。
その様子を黙って見ていた汐梨は、自分だけなぜ残されたのか理由が判らず、とにかく麦野が心配でドアの方に振り返るが、
「だからお前は残れ」
と命令されて大人しく従ったのだった。そして今度は何を言われるのかと構えていたら、
「…あれは 言いすぎた 謝るから取り消せ」
「?…は… ハイ??」
藪から棒に何言ってるの? と理解し難い汐梨の頭には?しか浮かばないのだが、
泉雲の顔を見ると、今まで見たことがないような顔をしていた。
何度も意地の悪い事を言われ、眉間に皺を刻みつけ睨んできた神代泉雲。
そんな泉雲が今は、バツが悪そうな、少し落ち着きのない表情をしているのだ。
汐梨は初めて見るそんな泉雲の表情に、不思議な気持ちになる。
そして同時に、
(…これは 何を謝りたいんだろう?)
とりあえず怖い気持ちもあるが、汐梨はとにかく慎重なので、
「…と 取り消すって… 何をデスカ?」
「…〝ほっとけ″ と言ったこと」
「…… ハイ?」
(え…?言ったかな…? というか私の方がひどいことたくさん言われたと思うんですが…)
「取り消せ」
それは…命令では? と汐梨は思ったが、ここは穏便に済まそうと思い、
「……はい」
と了承すると、少しだけ泉雲の表情が和らいでみえた。
(…あれ うれしい… の? まさか…)
「じゃあ オレも …言っとっくけどなー このオレが人に謝るなんて事 ねえんだからな」
「…そう なんですか…」
「でも 言ったからには オレも… 一回だけ あやまる」
「…… ハイ」
しばし2人は見つめ合う(?)が、いつまで経っても泉雲からの謝罪の言葉が無いので、
「…あの… 謝るのでは?」
「? もう謝っただろ」
「…… ?」
そして再び沈黙する2人。
(… もしかして 〝一回だけ謝る″って言ったのが 謝罪の言葉…だったとか…?)
ツッコミたかったが、もうこれ以上は不毛だと思った汐梨は追及をやめたのだった。
そして同時に思った。 何故だかよくわからないが、現在神代泉雲はいつもよりすこーしだけ機嫌が良さそうなのである。
しかも有難い事に2人だけなので今がチャンスと思った汐梨は、
「あのっ 神代くん 今日は…その お暇でしょうか?」
「あ? … なに?」 言い方…
(…なんだ コイツの方から 珍しいな)
(…アレ? 機嫌 良いんだよね?)
「あ…やっぱり いいです…」
「はあ? 言えよ」
機嫌がいいのか悪いのかわからない泉雲に威嚇されて、汐梨は渋々言葉にした。
「あ あのですね 今日なんですけど そちらに何もご予定がなければ ◯◯町にあるのカラオケ◯◯…行きませんか?」
まるで連絡事項を伝えるように話す汐梨だが、泉雲には衝撃が走った。
(!? こいつが オレを カラオケ?
ってなんでカラオケなんだよ??お前歌えんのか?ってか今まで散々オレの前から逃げまくってたくせに どーいう心境の変化だよ?)
泉雲は珍しく非常に困惑して言葉が出ない。
(あ… しまった 困ってる?あっ 2人だと思われて嫌なんじゃっきっとそうだっ 大丈夫!というか決して私と2人とかではないんです!)
と汐梨は心の中でアワアワし、泉雲は珍しく目をまんまるにし、お互い動揺している。
そして泉雲が考えに考えてから返事をしようとした所で、
「あのっ …むっ 麦野さんと 3人でっ なんでけど どーですか?」
そう汐梨に言われた瞬間泉雲は言葉を飲み込み、違う返事をしたのだ。
「… …ー行かねー」
と泉雲にバッサリと断わられ、途方に暮れる汐梨であった。
異能者IZM第14話をご閲覧いただきありがとうございます。現在数話書き溜めできましたが、次回も隔週にさせていただきます。いつもありがとうございます!