幻桜
物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります
手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています
関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております
小説は毎朝6時に投稿いたします
ぜひ、ご覧下さい♡
Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい
hhtps://www.instagram.com/iroit0
しとしとと降る雨は、次第に音を大きくし、ざぁざぁと周りを巻き込み気持ちよく合唱し始める
静かな森の、ささやくような木の話し声も、今日は雨の使者と共に楽しげに
そして幻想的に、雨を謳う
誰も入らないこの森は、誰も知らない桜の木があって、誰も見たことがないキレイな花を咲かせる
そう、こんなキレイな歌声で雨音を謳う日なんて特に
雨が少し穏やかになり始めると大地は笑う
霧が立ち込め、薄い雲を作り、より幻想的な出で立ちは、きっと神様も美しいというのだろう
微かな鳥の声が合図となり、一斉に目を開く
木々の合間から、キラリ光る雫が一粒落ちて、ゆらり揺れる黄緑色の葉っぱ
柔らかな甘い音を出すのは、どの子だろう
ふと舞い踊る桜を見れば、それはそれは美しく穏やかに、優婉な舞
慎ましく優しく、微笑みかける仕草は妖艶で
誰もが目を、いや、心を奪われる瞬間
誰も知らない、誰も見たことがない、その幻桜
それでも、ただただ惹かれるのは運命
迷い込み精を抜かれるモノは、たやすい
知らず知らず惹かれ、虜になって幻になる
近くにいるようで、遠く誰も知らない場所にいる幻桜
出逢うのは必然であり、幻である
そう、幻桜
儚く淡く切ない、幻桜
時折、雨音が大きくなって、また謳いだす
今度は、霧の中へ隠れ見えなくなるかもしれない
見つけて、見惚れて、微笑んで
みなが幻桜をミル・・・
・・・ねぇ?幻桜?
少し寂しそうに笑って見えたのは、気のせいか・・・?
終
最後まで読んで下さり、ありがとうございます
色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです
また明日、6時にお会いしましょう♪