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43・執事様と打ち合げ(1)


「…っつーわけで!シリウス王太子殿下やアリシアたちの勝利を祝って乾杯ーー!!」

「「「「「かんぱーい!」」」」


時は移り夜。

事の概要を知ったディアンやメルシュと合流したアリシアたち六人は、なぜか城下町の酒場にいた。


「ぷはーっ!仕事のあとはやっぱり酒だな!最高だぜ」


大きなジョッキ一杯のビールを一口で半分ほど飲み干したディアンが上機嫌に言う。

その様子を隣で見ていたアリシアは、思わず半目になって呟いた。


「仕事の後の酒っていっても、ディアン以外全員未成年でお酒は飲めないし。何より、事件の処理とか色々やるべきことあるんじゃいの…?」


なにせ王城を狙ってきたのである。

戦場となった王城の中庭はアリシアの魔術で元通り綺麗にはしてきたものの、今頃多くの大臣が書類片手に駆け回っていることだろう。


「なーに気にすんな。お前たちは国を救ったんだぜ?もっと堂々と偉そうにしていいと思うんだが」

「そうだけど…。でも、〈三神眼〉についてこれからどうするか対策を立てていかないと。本格的に動き始めたのなら、もう時間は残されていないんでしょ?」


シリウスやカイルが見慣れない料理に瞳を輝かせるのを遠目に見ながら、アリシアは考える。


(やっぱり何より優先すべきは、彼らの目的を知ることよね。そうしないと私の出方も変わってくる。彼らはダイヤモンドだけを求めているみたいだったし、殺害することに興味はないみたいだった…。ううん、でも求めるためなら殺人もいとわないっていう危険は大きい…)


ぐるぐると回る思考の中、アリシアの頭の中にはまだ先ほど戦った少年の何とも言い難い力を帯びたアメジストの瞳が浮かんでいた。


(とにかく、彼と話さないことには何も変わらないわよね)


そう思考に区切りをつけたアリシアは、ふと視線を上げて固まった。

視線の先には、緩やかな金髪の美少女と少女を囲う二人の青年の姿。


「ちょ。あの…やめてください…」

「いいじゃん~。ねぇ、お姉さん綺麗だね」

「まじまじ!髪とか肌とかすっごいキレー」


(…っ、ティアラ姉⁉うそ、なんで⁉)


あまりの衝撃に急いで状況を確認すれば、食事をしていた八人席の反対側で酔いつぶれたディアンが残りの五人を巻き込んでてんやわんやしているところだった。


わはは!と豪快に笑いながら、カイルとオリバー、メルシュに抱き着くディアン。それを外から苦笑して宥めるシリウス様。

オリバーとカイルは必死にディアンの腕を外そうと試みるも、流石英雄といったものか全くその拘束は外れそうにない。


(ディアンー-!?!!?なにバカなことやっているのよ!)


あの状況を見る限り、ティアラはディアンの酔いを冷ますために水をもらいに行くところだったのだろう。


(全く、何やっているんだか)


心の中でそう吐き捨て、アリシアはティアラを救出すべく椅子から降りた。

本人さえ無自覚な微笑を頬に湛えたまま。






実は数日間連続投稿します…( *´艸`)

お楽しみに♪

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