0・プロローグ:それは遠い、昔の物語
昔々あるところに、ダイアモンドの瞳を持つお姫様がいました。
美しく心優しい姫に誰もが憧れ、慕っておりました。
そして、そんな姫に忠誠を捧げた十人の魔眼の騎士がおりました。
燃える炎の様な真紅の瞳をもつ騎士――ルビー。
澄んだ海の様な紺碧の瞳をもつ騎士――サファイア。
新緑の木々の様な緑の瞳を持つ騎士――エメラルド。
構える大地の様な橙の瞳を持つ騎士――オパール。
空を渡る雷の様な黄の瞳を持つ騎士――トパーズ。
如法暗夜の如き漆黒の瞳を持つ騎士――オニキス。
夜明けの空の様な紫の瞳を持つ騎士――アメジスト。
赤褐色に光を反射する銅の瞳を持つ騎士――ブロンズ。
夜を照らす星々の如き銀の瞳を持つ騎士――シルバー。
全ての輝きを凝縮した金の瞳を持つ騎士――ゴールド。
彼らは敬愛する姫のため竜を祓い、大海主を沈め、魔王を倒しました。世界は平和になり、多くの人々は歓喜に沸きました。
そして最後に水晶眼を持つ姫はこう言ったのです。
「有難う、星宝の騎士たち。これで世の安寧は保たれました。貴方たちのお陰です」と。
そして姫は死んでしまいました。その顔は優しく微笑んでいました。
残された騎士は嘆き悲しみました。
敬愛する姫がいなくてはもう何をすることも敵わぬ、と。
そうして伝説となった騎士たちはバラバラになってしまいました。
ある者は国を築き、ある者はひっそりと暮らし、ある者は旅を始めました。
――そして、約千年の時が流れたのです。