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Nothing But Requiem 背眼の魔女  作者: Nothing But Requiem
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第十一話『宮殿の最後』③

 不治の病から生還を果たした女子高生の真琴は、後遺症で人の心が読める『読心』の能力を手に入れる。 家族や友人の心の声を聞いて傷つき、苦しむ真琴。 そんな真琴はある日、妖しく輝く月の下で謎の美少女アリオと運命的な出会いを果たすー。 今、魔女が暗躍する帝都に、再び魔銃『ブルトガング』の銃声が響き渡る。

 並んだ二つの銃口が諏訪彩女と『緋雨』を捉え、巨大な魔法陣が現れる。


「バイバイ、彩女」


 最後の言葉とともにアリオが引き金を引と、アリアも同時に引き金を引いた。

 魔法陣からはより強く光り輝く閃光が放たれた。

 強大な力を持つ閃光はその場にある『医療システム』ごと全てを灰燼に帰した。

 魔力の開放が終わると、アリオはアリアに向かって恭しく一礼した。


「お姉さま、一緒に戦えて光栄ですわ」


 その声が届くと、アリアは優しく微笑んだ。すると、アリアの姿は朧気になり、揺らめいて消えた。アリオはアリアの残り香に浸るように目を閉じた。



 全てが終わったかに見えた。


 しかし……。


「あれ? 無い!! !!」


 セーレの素っ頓狂な声が響いた。


「『緋雨』が無い!! !!」

「は? どういうこと!! ??」

「だって……見つからないんだよ……『緋雨』が。……アリアとアリオの攻撃力が強すぎるから、どっかに吹っ飛んだんじゃないかな……威力、加減してよね」

「余計な事を言ってないで、ちゃんと探しなさいよ!! 」


 どれほど探しても、『緋雨』は見つからなかった。『緋雨』は『医療システム』の破壊のどさくさに紛れて、跡形も無く消え去っていたのだ。

 残された可能性は『緋雨』が奪われた可能性だけだ。

 アリオとセーレの目を盗み、『緋雨』を持ち去る事の出来る存在がたった一人だけいる。それはアスタロト・アルビジオスだ。


「ちょっと、セーレ!!  わたしは『Lock, Stock and Barell』に勝ったのよ!!  なんで『緋雨』を手に入れる事ができないの!! ??」


 捲し立てるアリオに、セーレは耳を塞ぎながら考え込んでいた。

 やがて、思い当たるフシが有ったのか、セーレは納得した顔でアリオを見た。


「わかったよアリオ!!  『緋雨』は『Lock, Stock and Barell』の対象じゃなかったんだ。決闘が始まった時、まがりなりにも諏訪彩女は生きていた。だから、『緋雨』は彩女のものだったんだ。決着が着いた後にアスタロトが『緋雨』を持ち去っても文句は言えないよ……。アスタロト、頭良いなぁ~♪」

「感心してる場合じゃないでしょ!!  だったらそのアスタロトを追うわ!! 」

「うん♪」


 アリオは強く地を蹴って駆け始めた。

 セーレもその背中を追い、その漆黒の羽をはためかせた。


×   ×   ×


 真琴が目を覚ますと、全壊した研究室が視界に飛び込んできた。

 アリオに撃ち抜かれた脚は治療され、包帯が巻かれてある。

 彩女が入っていたカプセルも、『かつてヒトであったナニカ』が納められたカプセルも……何もかもが強大な力で一掃された後だった。

 もちろん、雅の姿など、見つかるはずもない。

 何もかもが遅く、徒労だった。

 親友を失う悲しみで視界は昏くなり、喪失感で胸は引き裂かれた。

 真琴はただひたすらに自身の無力を呪った。

 慟哭する真琴を、崩れた壁の隙間から差し込む日差しが包み込んでいた。

第十二話『復讐という名の希望』へ

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