表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nothing But Requiem 背眼の魔女  作者: Nothing But Requiem
15/33

第六話『とある少女の失踪と記憶』①

 不治の病から生還を果たした女子高生の真琴は、後遺症で人の心が読める『読心』の能力を手に入れる。 家族や友人の心の声を聞いて傷つき、苦しむ真琴。 そんな真琴はある日、妖しく輝く月の下で謎の美少女アリオと運命的な出会いを果たすー。 今、魔女が暗躍する帝都に、再び魔銃『ブルトガング』の銃声が響き渡る。

 鬱屈とした学校生活は続く。

 真琴は放課後の喧騒を嫌う様に旧校舎を訪れた。『エリオット』の部室となっている図書室を覗いてみるが、そこに瀬名零やアリオ・トーマ・クルスの姿は無かった。


「誰もいないか……」


 遠くからは吹奏楽器の音色や、野球部の掛け声が微かに聞こえてくる。

 学校も居辛い空間であるが、家はもっと苦痛を感じる。真琴は椅子に腰かけると、雅に会いに行くまでの時間をここで過ごす事に決めた。

 机に頬杖をつき、ぼんやりと考え事をしていると、思い浮かぶのは雅の事ばかりだった。

 昨日は、雅とぎこちない別れ方をした。顔を合わせるのが正直怖い。

 真琴が陰鬱な気持ちに沈んでいると、図書室の扉が開かれ、アリオが現れた。

 アリオを見た真琴の顔に困惑が浮かぶ。真琴は自身の見た夢を少しだけ思い出したのだ。


「何でそんな暗い顔をしてるのよ……。まるで全世界の不幸が一度にやってきたみたいね」


 真琴を一瞥したアリオは呆れ気味に言った。


「余計なお世話だよ」


 アリオは無遠慮だが、それでいて親し気に話しかけてくる。

 表情と言葉には出さなかったが、真琴にはそれが嬉しかった。

 それに、相変わらずアリオからは心の声が聞こえてこない。


「あなた……暇そうね。これからちょっと付き合ってくださらない?」

「?」


 疑問を浮かべる真琴にアリオは続けた。


「『エリオット』の部活を始めるわ。あなたも『エリオット』の部員なのですから、ついて来なさいよ」


 言いながら真琴の手を掴むと、アリオは強引に引いた。


「ちょっと待ってよ、アリオ……」


 真琴は迷惑そうに言ったが、その胸中には複雑な感情が芽生えていた。その感情は新鮮だが、どこか雅と一緒に過ごす時間を想起させた。


×  ×  ×


 御代高校を後にした真琴とアリオは電車とバスを乗り継ぎ、郊外へとやって来た。

 ここはもう真琴の知らない場所だった。前方を歩くアリオはスタスタと足早に先を急いでいる。

 旧家と思しき屋敷が立ち並ぶ閑静な住宅街を進みながら真琴はアリオに声を掛けた。


「どこで何をするつもりなの?」

「探偵クラブなのよ。事件を捜査するに決まってるでしょう」


 さも当たり前の様にアリオは答えた。

 『探偵クラブだから事件を捜査する』とは零も言っていた事だが、真琴はどこか半信半疑だった。


「ホラ、ここよ……」


 アリオは一つの屋敷の前で歩みを止めた。

 その屋敷は蔦の這う塀と鬱蒼とした樹々に囲まれてひっそりと建っていた。


「ここって……」

「……行くわよ」


 真琴の質問には答えず、アリオは門扉に備えられたインターホンを押した。


 ピンポーン♪


「水城さんのお宅ですか? ご連絡させていただいたアリオ・トーマ・クルスです」

「……少々お待ちください」


 インターホンからはしゃがれた女性の声が聞こえてきた。

 アリオは事前にアポイントメントを取っておいたのだろう。間もなくして、ギ、ギ、ギという音と共に鉄でできた門が開いた。

 立派な門構えに相応しく、屋敷もまた豪華な二階建てだった。しかし、白く塗装された外壁には塀と同じく蔦が這い、窓という窓にはカーテンが閉められている。真琴はその外観から言い知れぬ不気味さを感じ取った。

第六話『とある少女の失踪と記憶』②へ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ