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Nothing But Requiem 背眼の魔女  作者: Nothing But Requiem
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第三話『邂逅の詩』④

 不治の病から生還を果たした女子高生の真琴は、後遺症で人の心が読める『読心』の能力を手に入れる。家族や友人の心の声を聞いて傷つき、苦しむ真琴。そんな真琴はある日、妖しく輝く月の下で謎の美少女アリオと運命的な出会いを果たす──。今、魔女が暗躍する帝都に、再び魔銃『ブルトガング』の銃声が響き渡る。

 男たちはヘラヘラと笑いながら真琴たちに近づいてきた。その下卑た薄ら笑いがその品性の下劣さを物語っている。真琴とアリオは男たちの目的が強姦であると瞬時に理解できた。

 事実、真琴の心中には男たちの声が流れ込んで来る。


──悲鳴が楽しみだ……。

──まずは黒髪の女から……。

──この前の女みたいに……。


 男たちの声には、以前餌食にした女の感想も入っていた。

 その行為の凄絶さを考えれば、金を積み、涎を垂らしながら言い寄る、薄汚い男の方がまだマシだと思わせる。

 暴虐の限りを尽くそうとする男たちを前に真琴は恐怖で声を失った。


──け、警察に通報しなきゃ……。


 心ではわかっていても、真琴は恐怖に駆られて身動き一つできなかった。横を見ると、アリオも沈黙したまま立ち尽くしている。


──きっと、アリオも怖くて動けないんだ……。


 真琴はそう思っていたが……。

 実際は違う。

 アリオは冷静に彼我の戦力計算をしていた。そして、相手が取るに足らない戦力の持ち主だと解ると、どうやって捻り潰すかを導き出していた。

 アリオは純粋で苛烈な暴力を選択した。


「真琴、すぐ終わらせるわ」


 言うが早いか、アリオの両手が放電を放つ。

 その光景を見た真琴は息を呑んだ。


「こっちへ来いよ……」


 真ん中の男が真琴に不用意に近付いて来た。

 その時。


 パンッッッッッ!!


 アリオは拳を男の顔に放った。

 人間技とは思えない速度で顔面へと叩き込まれた拳撃。

 男の首は後方へとあり得ない角度まで曲がった。

 男は上半身をのけ反らせ、仰向けに斃れた。


「てめぇっっ!!」


 怒気を放ちながら残された二人の男がアリオに掴みかかる。

 しかし、掴まれたのは男たちの方だった。

 アリオはあっという間に両手でそれぞれの顔を掴んだのだ。


「うううぅぅぅ……」


 顔を鷲掴みにされた男たちは不自然に腰を屈め、身動きが取れない。

 アリオは呻く男たちに構うことなく、その両手に力を籠めた。

 アリオの両手の放電は一層激しくなり、男たちの顔は黒い球体の空間で覆われた。


 グシャッ!!


 頭部に極度の圧力が加えられたのだろう。男たちの顔がひしゃげ、潰れた。

 頬骨や頭蓋骨が覗き、眼窩からは眼球が飛び出していた。

 アリオの手にはむしり取った顔面の皮膚が握られ、血が滴り落ちていた。

 男たちは脳髄をまき散らし、斃れた。

 アリオは皮膚を無造作に投げ捨てると、真琴を見た。


「ね、すぐ終わりましたでしょう?」


 凄惨な光景を背にアリオは真琴に語りかけた。その表情はどこかにこやかで、狂気じみている。

 一部始終を呆然と眺めていた真琴はアリオの声が届くと、その場に膝から崩れ落ちた。

 その時。


「あーあ。派手にやったね♪」


 突然聞こえてきた声に、真琴はビクッとして辺りを見回した。すると、死体の上空を羽を有した小柄な『人』が舞っている。

 街灯に照らされた黒い羽、鍵状の尻尾、その異様な姿は真琴に『悪魔』を連想させた。

 アリオは突如現れた存在に驚く素振りを見せず、むしろ親し気に声をかけた。


「セーレ、死体を消して。それと、真琴から今の記憶を消去して頂戴」

「おっけ~♪」


 異様な存在は真琴に近付いた。


「れ、零!?」


 真琴は近付く姿に瀬戸零の面影を見た。いや、顔は瀬戸零そのものだ。

 悪魔の姿をした瀬戸零は真琴の目の前まで来ると、指をパチンと鳴らした。

 次の瞬間。

 真琴の意識は混濁して途切れた。

第四話『夢の先に在るもの』①

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