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1.契約

新しい連載でーす!

 この世界は奇妙なことで溢れてる。どうして人間の脳は自律しているのか。神隠しは存在するのか。人間が解明した地球の歴史っていうのは本当にその通りなのか。

 今となっては分からないこと。今になったって分からないこと。そんなもんありふれてる。現に今、目の前で起こっていることをちゃんと説明できる人間なんて、まず一人もいないだろう。



「貴様は悪魔と契約をした。これは決定事項であり、拒否権はない。」


 下卑た笑みを浮かべる、角と尻尾の生えたスーツの男。自称悪魔は不思議なことを俺に言ってくる。


「…で? 契約内容っていうのはなんなんだ?」


 契約。それは双方の合意の上で決まるもののハズだが、悪魔にそんな良心はないらしい。まあ当然か、だから悪魔なんだろうから。


「貴様は私達、悪魔の実験対象に選ばれた。これからは一生、女として生きていってもらう。」


 女として…ね。


「へぇ、そう。で? お前らは俺になにをしてくれるわけ?」


「…お前、あんまり驚かないのな。」


「死ぬわけじゃあるまいし、大したことじゃないだろ。」


「うん…いや、殺すわけじゃないからいいんだけどさ。もうちょっと反応してほしかったな…」


「一方的に契約とか言っておいて反応もなにもないだろう。ほら、お前らはなにをしてくれるんだ?」


 何故か落胆した様子の悪魔とやらは、仕切り直すようにゴホンと咳払いを一つ。


「この重いリスクに見合った見返りだ。私が貴様の願いを3つ。そう、3つだけ、叶えてやろう。」


 3つ…3つか…。別になんか望みがあって生きてるわけでもないからな。こっちに選択肢があるって言えば聞こえはいいんだが、いかんせん望みがない。強いて言うなら男に戻せと言いたいところだが、そんなのは聞き入れてもらえないだろうな。


「その願いっていうのは今しか使えないのか? それとも常にお前が俺の傍にいて、必要なときに願いを聞いてくれるのか?」


 すると、食いついたとでも思ったのか、悪魔は目元の影をぐっと濃くしながら口を吊り上げて言う。


「ああ、私は常に貴様の傍にいる。願いは今でなくてもいい。ちなみに、私は他人から視認されない。他人に話したところで、私のことは信じてもらえないだろう。」


「…なんかお前、話しかけてきたりするわけ?」


「私は悪魔だ、甘言を囁いたりすることがないわけでもない。」


「…ふーん、じゃあ、別になんも望みなんてないから俺が呼ぶまで引っ込んどいてくれ。あ、それが一つ目でいいよ。」


「………えぇ?」


「聞こえなかったのか? 引っ込んでろって言ったんだ。」


 物分かりの悪い悪魔だ。こっちがやることなすことにいちいち一言付け加えられでもしたらやっていられない。願いなんてないし、こいつが引っ込んでくれていてくれるほうがいいってもんだろう。


「…本当にそれが願いでいいのか?」


「くどいぞ。じゃあ、俺を男に戻せと言ったら戻すのか?」


 悪魔をキッと睨む。すると、悪魔は今までの薄汚い笑みを崩し、ぐっと言葉に詰まった。


「…分かった。貴様に不利益なことは囁かないと約束しよう。」


「俺は引っ込んでいろと言ったんだがな。」


「悪いが、それはできない。貴様から離れることは許されていないんでな。お前から見えなくすることくらいはできるが…」


「じゃあそれでいい。普段はそうしてろ。」


「……人間っていうのは、どいつもこいつもこうなのか?」


「…知らねえよ。俺は俺だ。」


「……なんだか、厄介なのを掴んでしまったな…。」


 余計な一言を呟いて悪魔は虚空へと消えていった。あいつ、次に姿見せたとき覚えておけよ。


 そういえば、あいつの事はなんて呼べばいいんだ? いちいち悪魔って呼ぶのはなんだかめんどくさいな。…まあ、次あのムカつく面を出した時に聞き出すか。悪魔の真名がどうとかってあるけど、そんなの知ったことじゃない。


 「…にしても、女として、か。」


 改めて自分の体を確認する。すらっと伸びた脚。身長は160センチ以下まで縮み、逆に髪は腰あたりまで伸びきっていた。まあ、身長はそこまで高かったわけじゃない。せいぜい175センチあるかないか程度だ。高校生にもなれば大体平均値だろ。

 ただ、立ってみると今までと視界の高さがまるで違う。身長も縮んでるしこんなもんか…。


ふと自分の体を見下ろしてみれば、これでもかと主張してくる二つの双丘。試しに片方揉んでみる。…ふむ、柔らかい。


 そうか、俺の初めての女性体験は自分か…。それは思いもよらなかったな…。


 男子高校生なら誰しもが憧れるソレを、目を瞑って揉みしだきながら感触を確かめてみた。


「…お前、そんなに自分の胸を揉んで楽しいか?」


 急に、悪魔が虚空から上半身だけ出して呆れたように言ってきた。


「引っ込んでろって言ったよな?」


「お前の不利益になることは言わないと言っただけだ。」


 ただの屁理屈じゃねえか。不利益かどうかは俺のさじ加減だということを忘れんなよ。


「まあ、出てきてくれたのはちょうど良かった。お前の名前はなんだ?」


「……は? なんだ急に。」


「悪魔とかお前っていうのは呼びにくいだけだ。なんかあんだろ、名前。」


「…………カマナだ。」


「カマナな。こっちもえらく呼びにくい名前だ。俺は涼風(すずかぜ) 瀬名(せな)だ。呼び方はお前の好きにしてくれ。」


「………お前が初めてだよ、悪魔に自己紹介するやつなんて。」


「そりゃ光栄だね。でも、これから一生付き合っていくんだ。名前ぐらい知っておけ。」


 するとカマナは、フンと鼻を鳴らしながら再び虚空へと身体を霧散させつつ言った。


「言われなくても、契約したときからお前の名前は知ってる。…ま、精々よろしくな、セナ。」


「よろしくな、願いは残り2つだ。忘れんなよ。」


「ああ、はいはい……」



 ここから、望んじゃいない、俺とカマナの歪な関係が始まった。

書いてたら楽しくなってきてしまってつい投稿してしまいました!

こちらは不定期での投稿になる予定ですが、3日に一本は投稿できたらいいなぁと思います。字数は次からもう少し増える予定です!

よかったらブクマ感想等々よろしくおねがいします✧◝(*´꒳`*)◜✧˖


言い忘れていましたが、カマナとどうこうなることはないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポが良くて、すらすらっと読めます。 [一言] 脳内再生だと、この二人がデ●ノートのあの二人になってしまうのですがどうしたらよいでしょう(爆)
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