そんな元カノと俺と。
この名前にここまで執着するには幾つもの理由がある。紐どいて説明していこう。
彼女はいつでも正しく、誰にも優しく、真面目だった。みんなはそれに憧れたし、男子は惚れた。しかし俺はどうしてもそうはならなかった。理由、いや言い分は3つある。
第一に自分が好きすぎること。決してナルシストという種族ではないが、自分が好きである。自分が他の誰かになるなんて嫌だし、いくら成績が悪くとも、友達関係がうまくいかないどころか全くないとしても好きだった。
第二にそもそもほとんど話してないこと。彼女とは全く話さなかった。というか、男子と話すのが苦手な俺が女子と話すのを得意とするはずがない。
第三に完璧すぎる彼女の存在はどこか嘘くさかった。そういうのに気づく能力に長けているのだ。だからこそひねくれている。馬鹿みたいにはしゃぐ人を見ては、本当なのか区別していた。
つまり、そんな俺が彼女を慕うはずがなかった。
そういうわけだ。そんな俺が、なぜ彼女と付き合ってしまったのか。意外だと思うが、告白は彼女からだった。了承したのは興味本位だし、これだけスペックが高い彼女を持てば、好きにもそのうちなるだろう。付き合う前に好きになるのはDT、好きになってから付き合うのはリア充とも言うしな。
しかし、彼女を好きになることはなかった。
付き合ってるうちには俺は自分に嘘をつく自分に嫌悪感を抱くようになっていった。
いやいやまず、今問題なのは、彼女の隣が俺であること。そして俺の隣が彼女であること。
付き合ってるのは世間いわゆる、学校には公表していなかった。週刊常磐に乗ったら、桐ケ谷一般人と熱愛!!!ってのるんだろーな。。もちろん彼女もしていなかったため、彼女には交際の申し出が一週間に一回のペースで来ていたこともあった。
今は来ていない。それはなぜか。学校内で男子の草食化が進んだから?告白されるたびにあだ名を付けて残虐姫と呼ばれるようになったから?どちらも違う。今彼女は、違うクラスの高スペックと付き合っているからだ。