見つけてしまったあの名前
常磐高校の正門前に立つ一人の男がいた。
知っているだろうか?
高校で進学してからすぐにやることを。
それは、友達を作ること?いや、そんなことはない。
かわいい女子を探すこと?一理ある。
正解は、本を読みながら、クラスを観察すること。なんなら1年それやってるまである。調べるだけ調べて、レポート作成しないようなもんだ。
正直言って、友達などぼっちを隠すためのアクセサリーにすぎない。アクセサリー作りを、最初からやるなら、これからのクラスで最も力を持ちそうな人を予想して賭けをしたほうがマシだ。新しいクラスとなり最初に仲良くなる人、その人とは必ず最後には破綻する。ソースは俺だ。そんなメチャクチャな天性の持ち主である俺は、クラスを観察することがベストな選択なのだ。最も、友達をアクセサリーとしか考えていないからなのかもしれないが。
エントランスに全学年クラス表示という方法なので、エントランスにて名前を確認。エントランスには、沢山の人。君たちうるさい。ほんとに。
張り紙、もっと増設しろよ。。。とか思いながら高2の張り紙を確認。名前順なので確認は簡単。
戸木 春馬。珍しくないようで珍しいこの名前は、案外早く見つかる。うちの学年は300人ほどいる上に、30人の10クラス編成だ。今年は、4組。クラスメンバーは、クラスに行かないと基本わからない。
高1のフロアへと階段を登っていく。はっきり言って、クラス番号なんてどうでもいい。といっても、メンバーもどうでもいい。友達関係という面倒な作業は、5年前に卒業した。てか、入学もしてないです。
毎年と比べて、少し寒い新年度初登校日である今日は、冬の例に乗っ取り、手をポケットに突っ込みながら教室に向かう。フロアは、もちろん盛り上がっていた。進学と言っても中高一貫なのだ。つまりメンバーは変わらない。
エントランスでみんな見ていると思うが、ここで再確認する。抱き合って喜ぶもの。別れちゃったねー、、、と言い合うもの。俺にも友達はいなくても信頼してるものはいる。説明は後でしよう。え?ほんとにいるよ。まじまじ。
1-4、よし。1年間過ごす教室の前に立った俺は、一呼吸置くとその扉を開けた。黒板には、座席表がおいてある。人だかりがいるので全然見えない。身長は普通でありコミュ力皆無の俺には座席を見ることも聞くこともできない。そう。風林火山の山のごとし待つのだ。徳川より武田派です。だって家康ちゃん約束破るやん!!
幸い席も後ろだ、と確認したときだった。あの名前に目が止まったのは。
「桐ケ谷 愛美」