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妖狐のドールと言の葉の消失  作者: 三千院絵譜
6/15

フルネーム

何やらぶつぶつと文句を言いながら、蓮華さんが元いた場所に座る。

要するに、何かしらの言葉に悪い感情を持ちながら自ら命を落とすと、その言葉が世界から消えてしまう。そしてこの『れんげ屋』はそれを取り戻す為に奔走する。

そして無事に取り戻すと、原因となった人間?半幽霊?は成仏すると。そういったところだろうか。


しかし、そうなると気になる事がある。

「言葉に怨念を持ったまま自ら命を落とす事で言の葉の消失が起きるのなら、よく消える言葉はだいたい」


オレの疑問は途中で遮られた。勢いよく開けられた扉の音で。


「れんげちゃーん!大変だよー!消失発生でーす‼︎」


部屋にいた全員が扉の方に顔を向ける。

そこには、ピンクの髪を三つ編みした女の子がいる。身長は蓮華さんよりも大きい。


「れんげちゃんゆーな!何が消えたんじゃ?」

小さく溜息を吐きながら聞くと、ピンク髪の少女はニヤリとした。

「もちろん、わからなーい」


ガクッ....

わからないのにあのドヤ顔はなんなんだ。

独り言のように「おいおい」

と言ったのが聞こえたのか、ピンク髪と目が合う。


「おぉ‼︎少年‼︎起きたんだー‼︎初めましてー!」

無駄に勢いある言葉に頭を軽く下げる。

「初めまして。獅童麿由利しどう まゆりです」


オレが自己紹介を終えると、ピンク髪はあごに手を置きながら何やら考えている。

少しして両手を合わせると


麿由利まゆり!ってことはまゆゆだねー!私の名前はー!『レイチェル・ファン・アストレアス・スリースリー・ミストレア・ヴァイゼン・ローフェリア・クリスレイ・スタッカート・ミゼル・ジゼル』だよー‼︎」


ーーは?

確かに、確かにピンクの髪なんて秋葉原辺りでしかほとんど見たことない。

外人の可能性もある。しかし普通に言葉が伝わるし違和感が無いのは変だ。オレが緊張してると思って冗談で和ませようとしてくれているのか。よろしい。ならば意地悪しよう。


「もう一度、お願いします」

そんな適当に並べた言葉など覚えているわけなーー


「だからー‼︎『レイチェル・ファン・アストレアス・スリースリー・ミストレア・ヴァイゼン・ローフェリア・クリスレイ・スタッカート・ミゼル・ジゼル』だって!覚えてよ‼︎」


「覚えられるか‼︎」


人生で何度目だろうか?渾身の突っ込みを繰り出すと、レイチェル・ファン....なんだっけ?取り敢えず、ピンクは頰をパンパンに膨らませて笑いを堪えてる。


「じょーだんじょーだん。覚えられないよね。ジゼルでいーよ‼︎麿由利君はまゆゆでいい?」


そうだ!名前のせいで忘れてたが俺は国民的アイドルにいそうなニックネームは嫌だ!


「獅童でいいよ!まゆゆってなんだよ!総選挙でてねーよ!」


「まゆゆノリいいなー‼︎こういうキャラいなかったから嬉しいよー」


「もうよいかの?ジゼル、急いでるんじゃろ?」


ジゼルとオレの自己紹介を見ていた蓮華さんが、頬杖を付きながらジゼルに問いかける。


「あ‼︎そうだったー‼︎今回は獅童君の件から間が空いてないけどまた何かなくなったみたい」


それだけ聞くと、蓮華さんが立ち上がる。

小童こわっぱよ。他にも聞きたい事はあるじゃろうが緊急じゃ。伊織と共に原因となった人物と消失した言の葉を探ってくるのじゃ。ジゼルはそやつが自ら命を落とした理由を。わらわは単独で動くわい」


それだけ告げると部屋から出ていった。

ジゼルは「あいあいさー!」と言うと、蓮華の後を追っていく。


それを見届けて、伊織も本を閉じると立ち上がった。


「それでは、さっそくお仕事に取り掛かりましょうか。まゆゆ」


このイケメン殴りたい。

そう言えば蓮華さんに質問できなかったな。何を聞こうかは決まってたのに言葉が浮かばなかったのだが


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