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プロローグ
もっとも威力のある呪いは言葉である。
まだ幼かった頃、泣いてる私に母は
「何を無くしたの?」と聞いた。
その時、私はこう答えたらしい。
「大切な言葉がなくなっちゃった」
と.........
それが、言の葉の消失に初めて遭遇した瞬間だったのかもしれない。
今では誰に知られる事もなく、【ソレ】に気づけば地べたを這いずり回ってでも探さなきゃいけない。
名も知らない誰かが、己の思いを伝えられる為に。
名も知らない誰かが、己の心を支えられる様に。
そして今日もまた、面倒な案件が舞い込んできたらしい。