4
テストまで、あと5日。
はははっ!
早速、勉強始めまーす。
英語でしょ。
数学、現代文、古典、化学、物理、政治・経済、日本史。
さぁ〜て、何から手をつけましょう。
まずは、理数系のから行こう。
えっと、公式を暗記して……。
あれ?
公式だけ暗記しようとしてもできないわぁー。
問題集どこにいった?
問題を解きながら公式も計算の仕方も覚えればいいじゃんか。
マジでどこ?
ぁ、あれ?
ない、ない、ない、ない。
ないっ!
本当にどこだ。
このままじゃ、数学の勉強ができない。
テスト終了するまでにやっている単元のところの問題を終わらせないといけないのに……。
探しても探しても見つからない。
ベットの下も教科書とかを入れて置いている整理箱の中も引き出しにもない。
挙げ句の果てに一階まで降りて、そこらじゅう探した。
ははっ。
もう、苦笑いしかできない。
ポツン。
自室で1人立ち尽くす。
そうしたら、他の教科の本が浮き上がって……。
ベンキョーはぁぁぁぁぁぁあ〜〜。
ドウシタノゥゥウ?
やらないとダメでしょう?
クスクスクスクスッッ。
ムリに決まってるよ。
だって、この前のテスト。
この子、赤点取っちゃったんだもの。
しかも、全教科。
怠けているからだよ。
怠けているからとれないのぉぉ〜。
だからぁぁぁ〜、教えてあげましょう。
まずはぁ〜〜〜。
……。
…………。
………………。
お前に、これを食べてもらってからねぇ〜〜。
一気に私の口内に教科書たちが入って来ようとした。
私は自室の外に逃げようとするが、部屋のドアが開かない。
窓はどうだと確認するが開かない。
何度か試してみてもダメだった。
ついには部屋の明かりも消える。
暗い中、自分の目を頼りにドアに一直線に向かった。
ガチャガチャと引っ張ったり、ドンドンドンと叩くが開かない。
そうしている内に私……。
私の背後に、教科書たちが羽をつけて飛んでいた。
ふふふっ。
食べて一緒に頑張りましょ〜〜う?
私の口に無理矢理入ってくる教科書たち。
口内は切れ、喉傷つき血が出てくる。
しまいに私は……。
バサッ!
起き上がって、すぐさま机の上を見た。
数学の問題集が……。
きちんとあった。
そして、教科書たちは箱の中に整理されて仕舞われている。
ょ、よかった。
マジでよかった。
あの後、私の体に教科書の文字が浮かび上がるなんて……。
恐怖以外の何者でもない。
文字に埋もれて、真っ黒になりそうな身体に口から出た鮮やかな血。
身震いする。
しばらくは、勉強できない。
私は、教科書が見えないように大きめの布をかけた。
だが……。
ベンキョウ、シナイト……。
マタ、タベテモラウコトニナルヨゥ?
聞こえてきた声に、即逃げた。
今度はドアは開いた。
なんて、すっごい怖い夢見ちゃってさ。
私の深層心理が追い詰められているから見た夢なのかな?
そう、友達に相談したら……。
うわっ!
変な話しないでくれるかな。
身体が文字だらけとか怖いし、黒に赤とか……。
不気味すぎだから的なことを言われてしまった。
いや、わたし的にはどちらも怖いんだけど、相談に親切に答えてくれてもいいんじゃないかな?
あっ、ハイ。
そうですか。
オカルト系が苦手な自分の友達にその内容を話す馬鹿はどこにいるですか。
ここに、1人いるんですよ。
えっ。
殺される夢をほぼ毎日見ている友達にそう言うのは聞くものだって?
貴方もなかなか酷いですね。
まぁ、その日は勉強しなかったかな。
なんとか授業は乗り切ったけど、夢を鮮明に思い出しては少し震えたもの。
今も、鮮明に覚えている。
家に帰ってから、今日に限ってテスト勉強のことを聞かれた。
私は引きつった不細工な顔と震えた声で……。
今日は、絶対ムリッ!!
正確には今日も無理だけど……。
走って逃げた。