国家特級拷問士リョナ子さん。番外編。
本編が続きものに突入したための番外編。
拷問士。罪を犯した者をその重さに応じて罰を与える刑罰執行人。
僕はその特級。
毎日、罪人が僕の仕事場に運ばれてくる。
そして、今日は。
罪人を快適にしてはならない。ってわけで夏は地獄のような暑さの中冷房などは使えず仕事をしてるんだけど、冬はさすがに違った。
寒さで手が悴むと、精密な執行ができない。なので今はストーブをつけてるの。
上にヤカンを置いてお湯を沸かそう。これで湿度も保てるしコーヒーも飲める。
さてさて、今日の罪人はどんな人かな。
心地よい室温の中、僕は少し気が緩んでいたのかもしれない。
まず最初に書類を確認する。執行対象や、その者が犯した罪などをチェックする。
それを見ていた僕の目から滴が落ちる。紙がそれを吸い文字が滲み出す。
いけない。いけない。不意打ちだった。まだ仕事モードに入ってなかったのに読んでしまった。
今回の執行対象は若い女性。
罪状は児童虐待。
我が子に日常的な暴行。熱湯をかけて重度の火傷をおった子供をそのまま放置。子供はその後死亡した。後の捜査で、子供は満足な食事も与えられず、体中に傷や痣が合ったことが判明。
この女は虐待を内縁の夫と一緒に楽しんでいた。
状況写真も一緒に添付されていた。
子供は四歳。可愛い女の子は、正座を強制させられ怯えた様子の姿が映っていた。
他にも顔に痣がある写真。そして死亡時の無残な姿も。
およそ人のできる所業じゃない。それも親が我が子をだ。今まで何件もこういう事件を担当してきたけど、毎回奥歯を噛みしめる思いにさせられる。
今日の仕事はこの一件だけだね。じっくりやってやろうと思う。
程なく罪人が部屋に運ばれる。
僕は職員に指示を送り、体を固定させる。
「まず、この女を全裸にして。後はベットに俯せに寝かせて固定。その際、首を出すように」
僕が言った通りに、女を全裸でベットに縛り付ける。
準備が整うと、この部屋には僕を女の二人きり。
部屋の隅から、器具を引っ張りだす。中々重いけど下にキャスターが付いているから運びやすい。
最近、お千代さんから試供品を借りたんだ。丁度いい機会だから使ってみようと思う。
器具を女の目の前で見せつける。
「はい、今回、これ使うから。これね。ここに穴があるでしょ。首を挟めるの。で、上に刃物が着いてるのわかる? これ紐で繋がってるんだよ。で、そうして引っ張って・・・・・・」
首が嵌まる場所に、僕は人参を置いた。
「・・・・・・手を放すと、刃物がこう落ちてくるから」
緩んだ紐が刃物を落とす。人参はそれによりすぱっと切れた。
流石、お千代印の刃物は切れ味が最高だね。あ、この人参は持ってかえってカレーの材料に使います。
要するにギロチンて奴だね。かなりコンパクトになってるけど。
僕はそれを見て青ざめる女の首に取り付けていく。
「はい、これ、紐ね。じゃあ咥えて。分かると思うけど、放したら刃が落ちるから気をつけてね」
僕は紐を引っ張ると、女に噛ませる。
目の前に時計をぶら下げた。現在午前9時。
「10・・・・・・いや、7時間ってとこか。4時までこのまま我慢できれば終わりにしてあげるよ」
そして、僕はそのまま椅子に座ると、読みかけの本に手を伸ばした。
「お、もうお昼か。今日はなに食べようかなぁ」
夢中になっていた。時計の針は天辺を指している。面白いものを読んでいると時間があっという間だね。
女にとっては気が遠くなるほど時間は長く感じていたと思うけど。これもまた相対性理論だね。
「じゃあ、ちょっとご飯食べてくるよ。帰ってくるまでちゃんと我慢してるんだよ」
女は、涙をにじませながら僕を見ていた。それを横目で扉を閉める。
午後13時。お昼を済ませ帰ってくると、女はちゃんと紐を咥え耐えていた。
「おー。ちゃんと我慢できたじゃない。じゃあそのまま後3時間頑張ろうか」
再び、僕は椅子に座って本を読み始めた。
執行の終わりが近づいてきた。
時計を見ると、15時50分。残り10分になった。
椅子から立ち上がる。
「よく我慢したね。あと10分で終わりにしてあげる。だから、もう少し頑張るんだよ」
ストーブに置いてあったヤカンに手をかける。給油口から湯気が勢いよく噴き出している。
それを、僕は女の背中に流した。
「むぅぅぅぅぅぅぅぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっ」
熱湯は、あっという間に女の背中を焼き尽くす。
皮はずるむけ、爛れた皮膚は真っ赤に染まる。
「ねぇ、わかるよね? これをかけたらどうなるかくらい。痛いでしょ? 熱いでしょ? でも君はそれを自分の子にやったんだよ。想像くらいできるはずだ、どれだけの痛みかって」
これで、口を放しても別に良かったんだけど、女はしぶとく紐を噛み続けた。
まぁ、残り時間ちょっとでやったのは、我慢してもらうためだけどね。序盤でこれをやったら耐えきれなくてすぐ放してたろうね。
ヤカンの他に、僕はリョナ子棒(火)を一緒にストーブにかけていた。
リョナ子棒は熱で真っ赤に焼けていた。
鍋つまみをつけて、棒を握る。
「ほら、後3分だ。ここで放してもいいけど、今までの我慢が水の泡だよ」
女の尻に棒を押しつける。ジュっと肉を焼く音が立つ。
「むっぐぐぐっぐぐっぐうっぐ」
こういう親を見ると、つくづく自分が今の親の元に生まれてきて良かったと思える。
口うるさい時もあるし、イラッとさせられる事なんてしょっちゅうだったよ。
でも、愛してくれていたのはわかる。
僕のために仕事や家事もやって。お弁当の日は愛情をこめて作ってくれた。
貴方の子供に産まれて良かったと心から言える。
僕もこの先、もし子供に恵まれたのならそう言われるような親になりたいと思う。
残りが尽きるまで、何回も熱した棒を体に押しつける。
「子供は玩具じゃない。時には厳しくしなきゃ駄目だけど、そこに愛がなければただの暴力だ。本来守ってあげなきゃならない存在を、君は逆に苦しめただけ。あの子は、君達に殺されるために生まれてきたわけじゃないのに・・・・・・」
ここでアラームが鳴り響いた。執行の終わりを告げる。
「・・・・・・時間だ。これで執行を終えるとする」
僕はリョナ子棒から手を離した。
この女は痛みでそれどころじゃないだろうが、内心ほっとしてることだろう。
女の前で見せつけるようにハサミを手にする。
それを見た女の両目が見開く。なにを驚いているのか。
「君のレベルは6だろう。つまり最初から死ぬしかないんだよ。なに? 耐えたら見逃してもらえるとでも思ったの? 馬鹿だなぁ。終わりってこういう事だよ」
紐にハサミをあてがう。
「これは君が蒔いた種じゃないか。それを刈り取るのが僕の仕事さ」
「んんんんんんぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!」
チョッキン。
ゴロリと首が地面に落ち転がった。
丁度、顔が上を向き、僕と目が合う。
「唾を吐いて蹴り上げてあげたいけど。それはこの後に引き継ごう。地獄でさらに苦しむといい」
これ凄いな。血が地面に流れないようにちゃんと設計されてる。これ買ってもいいかも。
まだ、一緒に虐待していた内縁の夫の分も残ってる。
さぁ、そいつはどうやって罰を与えてやろうか。
もしよろしければ本編も見て頂けると幸いです。