表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Girl`s Road Race  作者: ヒルクライマーになりたい
3/3

03

弱者がアタックして集団から抜け出せば逃げの集団。強者が抜け出せば先頭集団。


まさしく、目の前で強者のアタックにふさわしい力強い走りを見せ付けられる。


まったく、いやなタイミングで仕掛けてくる。ため息が出そうだ。


とはいえ彼女はこれを狙っていると言うことは私には分かっていた。


正直私から言わせれば、序盤からやってこなかったことが少し意外だった。


ほどほどなんてあだ名がつけられ、アイドルのように人気のある彼女は、いつも果敢にアタックをし、その他全員の計画などお構いなしというように圧倒的な力で置いて行く。


空井さんという強力な登りでのアシストがいるから、ここまで控えていたのかもしれない。


このアタックで、たちまち先頭集団の人数が減っていき、結局この程川さんが巻き起こした波に乗れたのは、大崎さんと彼女らの相棒と思われる空井さんと真木さん、そして私だけだった。


大崎さんが先頭で引いているとき、程川さんが話しかけてきた。


「流石ですね。できれば、うちら以外全員振り落としたかったのですけど。」


「去年散々やられれば、いくら私でも耐性ができますよ。」


正直警戒していても、引きちぎられそうだったのは内緒だけど。


そこからペースが上がる上がる。


クライマーの二人は後ろで着いていくのがやっとのようだ。


当然私も先頭のローテに加わる。


私が先頭のときに僅かに速度が下がるがそれでも後ろには追いつかせない。


そして最後の峠へと入った。


「行くよミヤ」


へえ、大崎さんってミヤって呼ばれているのかなんて思う余裕もなく先に真木さんが仕掛ける。


「負けない...です。」


空井さんも、負けじとスピードを上げる。


程川さんは少し余裕がありそうで、大崎さんはきつそうにしながらもついていく。


しかし、先頭の二人後ろを気にしながらも激しく争いながらも楽しそうな雰囲気が伝わってくる。


まさしくライバルとは、ああいうのを言うのだろうか。


そして、頂上まで後二キロと言う標識が出たところで、先頭を引いていた空井さんの横に並んび、目を合わせたかと思うと二人でアタックを開始した。


私はついていけない。もう、体力も限界で気力だけで走っている状態だ。


真木さんは追うか少し迷ったようだが、大崎さんと一緒に行くと決めたようだ。


僅かにペースアップをしながら彼女が引いていく。


おそらく大崎さんを振り落とさない限界の速度なのだろう。


まるで赤い糸で結ばれてるかの阿吽の呼吸で登る二人をうらやましく思うも今はレース中だ。余計な事を考えている余裕はない。


僅かに大崎さんたちにも離されながらも、頂上にたどり着く。




さあ、ここからが私の時間だ。


間違いなくあの二人に勝てる点を挙げろといったらダウンヒルのみだろう。


私は、大きく一息をはき、感情をすべて凍結させ、ダウンヒルフォームをとる。


スピードが乗るまでなけなしの残った力でガンガン踏み込み、スピードに乗ったら思いっきり体を小さく丸め息もしにくい状態になる。


たまにカーブの手前で体を起こし、空気抵抗で速度を落としまた曲がるほうへ限界まで体を倒す。


前に高速で動いていると思われる自転車が見える。


一瞬で最適なコースを導き出す。


今なら走るために障害となる砂粒ひとつだって見逃さない。


まるで前の自転車が止まっているかのように追い抜く。


当然見えないけど程川さんたちの驚いているところを一瞬想像する。


「え、うそ。」という声が聞こえた気がする。


まあ、実際は表情どころか周りの景色も見えていないわけですが。音なんてもってのほかだ。


ただ灰色の空間に下りきるためのラインだけを追ってそこに最大の速度で乗せるために走る。


前に障害物があれば、動いていようが何しようが最高率のラインに修正しブレーキ以外はすべて動員してラインに乗せる作業に没頭する。


呼吸も忘れて、永遠ともいえる凍結した世界の中で私は走り続けた。







結局私は、二人に敗れた。


平地の三キロで最後まで粘りに粘ったけど最後で二人に捕まりそのまま終わってしまった。


まず程川さんに抜かれ、続いて大崎さんに抜かれた。


その後、私は二人がゴールへ槍を突き刺すように突っ込んでいくのを見送ることしかできなかった。


実力差は明らかだったけど、悔しいものは悔しい。


あと少しどうにかできなかったものか。


コーチは、よしよしとなでてくれたけど密かにガッツポーズをしてこれで普通の先輩後輩になれると喜んでいたそうだ。


コーチひどい。


コータもライバルの伊庭さんに破れ2位。


ざまあみろと思うのと同時にコータにまで順位も負けてしまって、ショックだった。


全国大会が終わった後、みんなで打ち上げとかあったのだけど、ショックと疲れで頭がふわふわして何も覚えていなかった。


気がつくと、私とコータ二人だけになっており、周りの人は誰もいなくなっていた。


突然コータが、ちょっと良いかと言ってきて目の前に立つと、


「好きです。つきあってください。」


え、今好きですっていった。だれに。


周りを見渡しても誰もいない。


「留美のことが好きになった付き合ってくれ」


ええ。私は完全に混乱していた。


だって、コーチが好きだったんじゃないの。


でもどきどきしている自分がいる。コータと付き合う。考えてみると不思議とイヤとは思わない。


疲れているので判断能力が下がっているのか、むしろいつも一緒にいるから自然な気もしてきた。


「なんで、私なの。」


「だって、一番気が合うの留美だし、先生に振られた仲だろう。」


「コータのバカ。そんな言い方あるかぁー。イヤよ、絶対イヤ。」


まったく、私のどきどき返せ。


「賭けは俺の勝ちだろう。付き合えよ。」


「サイテー、そんな口説きも文句あるかぁー。」


とりあえず私は久しぶりに本気でコータをぶん殴った。



この殴ろうとした所で、疲れから足がもつれてコータに支えられるのが王道パターンかなっと。

恋愛が書きたいわけではないのでここで終わります。


なろうでも数の少ないロードバイク小説の

ハートブレイククライマーや凍結状態のぎんりんっ!とか面白かったですね。本作でも非常に参考にさせていただきました。

お二方とも現在は活動されていないようで残念です。

他にも、ロードバイク小説は削除されてしまったり凍結だらけで、いろいろマイナージャンルの宿命ですのでしょうがないですね。

それでは、短い間でしたがお付き合いありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ