エピローグ
孔明学園には何でも解決してくれる生徒会がいる。
そんな噂を頼りに、少年は生徒会室の前に来た。
不安と少しの期待が入り混じった複雑な心境を持ちながら。
「全く、何でみんなして高いものばかり頼むんだ」
「そりゃー腹減ってたし」
「会長のおごりですし」
「デザートは欠かせませんから~」
「兄貴の負けだね」
少年は扉の前で立ち止まった。中からはわいわいと騒いでいる声が聞こえる。彼が生徒会に対して持っているイメージと言えば、全員が堅物で、エリートな完璧主義者、といったものばかりだ。どうやら自分が訪ねようとしている生徒会は一風違っているらしい。
「まぁでも良かったじゃん、みんな無事でさ」
「そうですよ。あの状況では一人くらい病院送りになっていてもおかしくありませんよ」
「本当ですよ~。会長も鷲先輩も、立っているのが奇跡なくらい血を流してましたし~」
何やら物騒な話が聞こえてきている。生徒会とは、学校の行事を請け負ったり、収支の計算をしたりするのが仕事のはずだ。普通は血を流さないし、無事なのが大前提だ。病院送りなど以ての外。
「さぁ、話はこれくらいにして、そろそろ今日の会議を始めますよ」
「たりぃけど……こればっかりはしょうがねーな」
「設楽先輩、報告書ちゃんと書いてくださいね?」
「わーってるって翔ちゃん。俺はいっつもちゃんと書いてるしー」
「いつもちゃんと書いてませんし、それとちゃん付けやめてください」
会議が始まってしまったら、今以上に出づらくなる。少年は心を決めて、目の前の扉を二回、手の甲で軽く叩いた。
「はーい、どちらさん?」
と言いながら、剣斗が扉を開いた。
少年は驚きで一瞬固まってしまった。生徒会は、エリートな生徒の集まり。の、はずだ。ならば、何故、金髪がいるのだろう。それに、扉を開けてくれた目の前の役員は、バイクを乗り回していることで有名な生徒だ。おかしい。何かが。
「どうされました?」
鷹が入口で固まっている生徒に問いかける。少年はびくっと一回震えて、一歩中に入った。
「あ、あのっ、僕、生徒会の皆さんに相談があって……。始業式で、生徒のために動くって言ってたから」
そういうと、生徒会室の雰囲気が一気に柔らかくなった。アットホームな空気で、皆が快く迎え入れてくれる。
「生徒会は生徒のために動きます。如何なる理由であろうとも」
少年はさらに一歩踏み出し、鷹達役員に悩みを打ち明けた。
「わかりました。お引き受けいたしましょう」
少年は安心して、一礼をして生徒会室から去った。役員達は、椅子に座って鷹を見た。それに呼応するように、鷹が口を開いた。
「さて、会議を始めます」
TABOOO!を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
無事完結することができました。
読んでくださった皆様のおかげですm(__)m
さて、この作品ですが、続編書けるか、微妙なところです(笑)
構想は何もないですし、そもそもシリーズ物として書き始めたわけじゃないので、あまりネタがありません(笑)
でも、書いてて楽しいので、またいつか書けたらな、と思います。
ここまで読んでいただき、重ね重ねお礼申し上げます。
また次の機会にはよろしくお願いします。




