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その後、敗者復活戦が行われた。各チームの代表者が一人、早押しクイズに答えていく。勝ち残ってきたチームと早い段階で敗れたチームとの間にアドバンテージがあり、多くは勝ち残ったチームがそのまま順位を上げてきた。
既に優勝が決まっている生徒会チームは、4番のマスで座りながら、その様子を見ていた。勝者の余裕である。
「あれ?ちょい待ち」
そんな勝利の余韻に浸っていると、鷲が前方を見て言った。全員が鷲に注目すると、彼はステージの方を指差した。
「どうかしたか、鷲?」
鷹が不思議そうに聞いてくる。彼が指差した方向を見ても、白熱の敗者復活戦が繰り広げられているだけで、他には何も特筆すべき点はない。
「兄貴、あのチーム」
鷲は今ボタンを押したチームのことを言いたいようだ。話を振られた鷹が焦点を合わせると、そこにはサッカー部の不良連中が固まっていた。
「ああ、サッカー部の。この間依頼を受けて仕置きした柿田と佐竹もいるな。結構いい調子で勝ち進んでるみたいじゃないか。……ん?」
鷹が一つの不可解な点に気が付いた。彼らは一人を囲うように立っており、周囲からその一人を庇っているように見える。その生徒を見ていると、隙間から彼が携帯電話を操作しているのが見えた。
「さっきからボタン押して答えるまでに時間かかってるから見てたら、あいつらケータイで答え調べてるよ。カンニングだ」
その言葉に、生徒会チーム全員がサッカー部チームに注目する。すると、彼らは問題が出されると同時に検索を始め、とりあえずボタンを押し、そして答えを解答者に耳打ちしていた。これは立派な反則行為である。
「ふむ、あれはいけない。よし、行くぞ」
鷹の一声で、生徒会チームは立ってサッカー部チームの元へと歩を進めた。
「それでは次の問題です。体を大事にすることという意味で、全快のお祝いにも使われる四字熟語と言えば、『~身命』?」
ピンポーン
サッカー部チームのボタンが押される。少しの間を置いて、代表者である柿田が「可惜」と答えた。
「正解です。サッカー部チームに一ポイン……ト?どうしました、高羽君達?」
突然現れた生徒会に、学園長は眼鏡を上げながら問うた。サッカー部の連中は生徒会の来訪にかなり驚いている。
「いやー、快進撃凄まじいサッカー部の皆さんを見守りに。ささ、学園長、続けて続けて」
鷲がさっさと続きを開始するように学園長を促す。学園長は生返事をして、続いての問題を出した。
その問題に答えようとするサッカー部の周りを、四方から生徒会が見張る。
「う……」
鋭い眼光に見据えられていては携帯電話を操作することもできず、サッカー部の面々は急に元気を失くしたように一切解答をしなくなってしまった。
結局、その後は一問も答えることができずに、サッカー部チームは賞品がもらえる十位以内には入れなかった。
そして、学園長が思いつきで行った孔明クイズ大会は閉会を迎えた。
「皆さん、校訓である『何とかなる』を胸に、これからも学習や部活に励んでくださいね。では、以上」
その言葉で、クイズ大会は無事に終わった。




