ちっちゃなちっちゃな。
ん、んん…
まぶしい…。…あれ、もう朝か…。
今日は…土曜日だね。今週もお疲れ様、わたし。
さてと、起きようかな。
お日様が、あったかい…。
……。
…zz、はっ!
危ない危ない。二度寝しそうだったよ。
今日はやりたいこともあるし、ちゃんと起きないと。
さて、と。
今日はなにを着ようかな~。
うーん、これでいいや。
さあ、まずはベッドのお片付け。
よっ。うっ、ふ、布団が重いよ…
よいっ…しょ、っと。
うんうん、こんな日は天日干しに限るよね。
いっぱい光を吸い込んでね。
じゃあわたしは朝食を食べよーっと。
今日のメニューはパンと…サラダかな。
食パンをトースターにセット!しっかり焼いてね。
トースターさんが焼いてくれている間にわたしはサラダを作ろう。
まずは野菜をきざんで…。
えっと、トマトと…パプリカと…サラダ菜と…。
うん、オレンジも!
じゃあドレッシングは薄めにして…。
…
…
うひゃあっ!?
ふう、びっくりしたあ。トースターさん、急に鳴るのはやめてよね。
はあ、いつまでたっても慣れないなあ。
でもナイスタイミング!ちょうどサラダも完成しました。
飲み物はカフェオレにしようかな。それじゃ、いっただっきま~す。
もぐもぐ…。
むぐ、むぐむぐ…。
ごく、ごく。
ふう、御馳走様でした。今日もおいしかったです。
さてと、あの人が来るのはお昼だから…。
よし、間に合いそう。よかった。
じゃあ、ピザとパイを作っちゃいましょうか。
土曜のお昼は彼と会える日。
ほかの日はどうしても駄目なみたい。
なんでも、昇天日がどうとか、霊力がどうとか、閻魔がどうとか…。
わたしにはちょっと分からないけど。
でも、土曜日にちゃんと会えるなら、それでいいの。
ああ、楽しみだなあ。
今日のお昼はマルゲリータとアップルパイです。
えっと、小麦粉小麦粉…
…うわ、少ない。足りないかな?
でももう買いにいけないし…
しょうがない、作ってみよう。
えーっと、この間に自己紹介しようかな。
わたしは、夢味 紗季です。
友達が言うには、のんびり屋でうっかり屋な天然らしいです。
でも、全然違いますよね?もっとシャキッとしてますよ。
神社の巫女さんをやらしていただいています。
なんで巫女さんになったかというと、霊感が強いらしいからです。
わたしに見えているものの中には、他の人が
見えないものが混じっているらしいです。たとえば…。
あそこの座敷に座っている子とかです。
見えますか?…やっぱり見えませんか。
他にも、猫耳つけて槍を持って走り回っているあの子や刀を下げている
侍さんがいるんですが、見えてないですよね。
みんな、優しい人ばかりなのになあ。
彼もみんなには見えていないらしいです。
でもおかしいな、彼は幽霊とかじゃないらしいのに。
えっと、なんていったけ…橋渡しとか、なんかそんなのです。
すみません、よく覚えて…ひゃあっ。
ど、どうしよう?小麦粉こぼしちゃった!
えっと、上の方だけでも回収しよう。
うう、服が真っ白〜。
しかもこれじゃアップルパイの分がないよ…。
う〜ん。
…
…
ちっちゃなアップルパイをたくさん作る…とか。
そうか、それがいいね。とりあえずまずは、無事だったピザを焼こう。
見てみて、凄いでしょ。うちには窯があるんです。
この前、侍さん達が作ってくれたんです。
…あれ、火がついてる。
え、君がやってくれたの?うそ、本当に?
ありがと〜。助かるなー。
さっきの猫耳ちゃんがつけておいてくれたらしいです。
いい子だなあ。あとでご褒美あげちゃう。
さてと、すみませ〜ん。あ、侍さん。
あの、ちょっとピザを焼いておいてくれませんか?
わたし、アップルパイを作らないといけないので…
…ありがとうございます。助かります。
ふふ、そうですね。侍さん、お料理上手ですもんね。
朝飯前ですよねこんなの。じゃあ、お願いします。
へ?「あの人の為ですか。精が出ますなぁ」って…
や、やめてくださいよ。恥ずかしいじゃないですか、もう。
とにかく、もうそんな事言わないでくださいっ!
そ、そんなに不満そうな顔をしなくても…。
はあ、そんなにわたしでいじらないでくださいよぉ…。
さて、気を取り直してミニアップルパイを作りましょう。
手のひらサイズぐらいの、ちっちゃなアップルパイです。
一気に作っちゃおう!
…
…
…
っと、あとは焼くだけです。
侍さん、追加でお願いします。
あ、何も言わないでください!
からかおうって言ったってお見通しですよ。
むううぅぅぅ。
だ〜か〜ら〜。言わないでくださいってばー。
もう。侍さんなんて知らないんだからぁ。
うう、猫耳ちゃん。もうあなただけがわたしの味方だよぅ。
は?「そんなあなたも可愛いですよっ」って。
うう、本当にいい子だぁ。
じゃあ、2人でテーブルの準備をしよっか。
…
…
…あ、侍さん!おお、いい出来だ。
ありがとねっ、侍さん。
よし、ピザもアップルパイも配置完了!
時間もピッタシ。2人とも、ご苦労様。
お、彼も来たみたい。
それじゃ、楽しんでくるね。
お〜い、こっちこっち…。
ねえ、今日はいろんな事があってね。
どう、このパイ。ちっちゃくて可愛いでしょう?
おいしい?よかったぁ
このひとときが、わたしの、ちっちゃな幸せ。