第79話 孤独
この番組のことは収監されているジェフにも伝わった
ジェフは即座に正式な宣誓供述書を提出した
「父が自分を性的にいたぶったり虐待した事実はない」と否定した
「このニックなる人物には会ったこともない」と否定した
けれども、ジェフの声はゴシップの前にかき消された
ニックと名乗った男の発した根拠のないデタラメは
人々の心に疑いの芽を植え付けてしまった
世間の人々に、そしてボクを知る人々にも
職場
ヒソヒソヒソ
(´・ω・`)…………
長年いっしょに働いて来た同僚たちがあの放送から
ボクの人格に疑問を抱き始めたように思えた
一夜にして、ボクは息子の非行に苦しんできた献身的な父親から
長年にわたって息子を性的に虐待してきた変態的な父親になっていた
ボクは息子の犯罪を引き起こした張本人で
今回の事件の根本的な原因になってしまった
(´・ω・`) .。oO(まるでボクが犯罪者かのようだ)
どこへ行っても、誰もが疑いの目で見てくる気がした
なんでもない会話や視線が非難めいて見えた
疑心暗鬼にもなる
しかし不思議にも周りの状況を俯瞰してみることができた
(´・ω・`) .。oO(どうしてみんな、あんな嘘を信じるんだろう………)
みんながボクを見ているようで、見ていない
変態な父親であるボクを見ようとして、本当のボクを見ようとしない
………………実に孤独だ
(´・ω・`) .。oO
この孤独を味わっていたのかもしれない
ボクはジェフを見ていたようで、見ていなかった
ノーマルなジェフを見ようとして
アブノーマルなジェフを見ようとしなかった
酒におぼれるジェフを見つけたのはシェリだ
クローゼットにあるマネキンを見つけたのは母だ
子供に性的ないたずらをしたジェフを見つけたのは警察だ
ジェフがホモであったこともあの箱の中身を見るまで気づけなかった
(´・ω・`) .。oO(ただ単に気づけなかっただけなのか…………)
それとも無意識にアブノーマルなジェフを否定していたのか…………
真相は分からない
だが、いずれにせよアブノーマルなジェフが現実だった
ボクが本当のジェフを見ていなかったことに変わりはない
(´・ω・`) .。oO(たった数日の孤独でこんなにも辛いのだ)
何年もこの孤独を味わっていたジェフは……………
どんな思いで人生をおくっていたのか推し量ることもできない
(´・ω・`) .。oO(ボクはジェフの裁判を待っていた)
四方八方から非難を浴びているような雰囲気の中で
家庭にもひどい緊張感を抱えてる中で
(´・ω・`) .。oO(そんな中にいると…………)
確かなものをひとつも見いだせない
宙ぶらりんの世界にいるようだった
だからボクは明確な指標を求めていた
裁判の結果はその指標を与えてくれると期待した




