第67話 逃避②
家に帰るまでの長いドライブの途中
ボクはジェフのことを回想していた
幼児だったジェフはハイハイを覚え
立ち上がることもできるようになった
拾った小鳥を空へ返す優しい子だった
やがて愛犬と戯れる小さな子供になった
(´・ω・`) .。oO(時が戻って止まればいいのに…………)
そうすればジェフは無邪気なあどけない子供のままだ
そのまま子供のままでいてくれれば人に害をなすこともない…………
ボクにだって害をおよぼすことはない
まあ、そんなことは起きっこないし
時が止まるなんて起こりえない
子供だったジェフは成長していく
背は伸び、だんだんと大人になっていく
(´・ω・`) .。oO(ボクはそこで思い出すことを止めた)
成長していくジェフを心の奥の部屋へ押し込んだ
そして暗い部屋に隠し鍵をかけて閉じ込めた
大人になっていくジェフなんて見たくなかった、考えたくなかった
ボクはこのやり方で心の平穏を保っていた
家に着いた
シェリがもう帰っていた
(´・ω・`)「シェリ…………」
ξ゜⊿゜)ξ「レオ…………」
シェリに会ってボクはホッとした
でもシェリはそんな風ではなかった
シェリは話してくれた
彼女が帰ってきたとき、すでに警察が待っていたと
そして「ジェフの母か?」と尋ねられたので「義母です」と答えた
「ジェフが逮捕されたことも知っている」と答えた
すると警察は、自分たちはできるだけボクたちの助けになるし
なにか困ったことがあったら電話一本で駆け付けるとも言ってくれたそうだ
ボクたちは居間のソファに座った
多くは語らなかった、テレビをつけた、ニュースが流れていた
テレビの画面にはジェフの顔が映し出された
チャンネルを変えた
またジェフの顔が映しだされた
つぎつぎとチャンネルを変えた、何度も何度も同じ顔が現れた
チャンネルを変えるのを止めた
テレビ画面にはマスクをつけた男たちが
ジェフの住んでいたアパートから家具などを運び出している様子が映しだされていた
その中には見覚えのある冷蔵庫もあった
場面が変わった
そこには慣れ親しんだ風景が映し出されていた
母の家だ
見慣れたはずの光景なのに現実感はなかった
ξ゜⊿゜)ξ……………………
シェリは信じられない顔つきで食い入るようにテレビを見ていた
ショックを受けた表情がありありと浮かんでいた
ボクは彼女の緊張を感じ取った
なにか和ませることを言わなければと思った
(´・ω・`)「そのうちなにもかも終わるさ」
ξ゜⊿゜)ξ「……………………終わらないわ」
(´・ω・`)………………
ξ゜⊿゜)ξ「けっして終わらないわよ」
ボクはこの期に及んでも現実を直視できていなかった
目の前で流れているニュースも他人事に思えた
画面に映っている写真の男はジェフだ
でもアナウンサーは彼のことをジェフリーと呼んでいた
ジェフリー・ダーマーなんてよその人の名前みたいだった
たしかにジェフの正式な名前はジェフリーだ
だが、ジェフはジェフであり
ジェフリーなんて名前に馴染みはなかった
ジェフリーとはマスコミが報道用につけた名称にすぎず
どこかよその人の名前で
人間から血と肉を削ぎ落したような温もりを感じない呼称だった




