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第66話 逃避

職場


ボクはジェフのおこした事について誰にもなにも言わなかった

必死にじっと静かにして、平時と変わらないように振舞っていた

まわりでは同僚たちが笑ったりジョークを言い合っている

そんな中でも普段通り仕事をした


(⌐●_●)「ダーマーさん、すみません聞きたいことが」

(´・ω・`)「ん?どれのことだい?」


(⌐●_●)「二酸化ケイ素の分析方法についてなんですが…………」

(´・ω・`)「ああ、それはね」


ボクはこれまでにないくらい真剣に彼の質問に答えた

自分の人生の中でその質問だけが

たったひとつの確実な答えのように思えた


それから数時間、ボクは秘密を抱えたまま暗い時を過ごした

けれども秘密を抱えることなんてこれまでと変わらなかった

そんな状態にボクはもう慣れてしまっていた


ジェフが少年に性的ないたずらをして逮捕されたとき…………

もっと前にジェフが下品な露出行為で逮捕されたとき…………

デパートでマネキンを盗んだと知らされたとき…………

ジェフが同性愛者であると知ったとき…………


(´・ω・`) .。oO(ボクは全てを秘密にした…………)

知らず知らずのうちに…………

ボクの人生は秘密が覆うようになっていった


それでも仕事中にときおり

とても暗いものがボクの思考を飲み込もうとしていた

すると胸と頭になにか熱い波が押し寄せて来るような感覚に襲われた

まるでボクを苦痛から遠ざけようとしてくれてるかのようだった

ボクの体が無意識にボクを守ってくれているように感じた


(´・ω・`) .。oO(恥ずべきことだが…………)

警察から連絡があり、ジェフが殺人事件の容疑者と知らされ

マスコミが動いていると知った時


(´・ω・`) .。oO(ボクはまっさきに自分のことを考えた)

ボクの私生活のなにもかもが世間にあからさまになるのではないかと恐れた

そしてそんな恐ろしい状況が引き起こすだろう耐え難い苦難を想像した


(´・ω・`) .。oO(とてつもない恐怖を覚えた…………ジェフにも恐怖した)

ジェフはボクを道連れにしようとしているのではないかとさえ疑った

彼の知るボクの全てを洗いざらい公にするのではないかと

殺人鬼の父親としてつまびらかになることをボクは恐れた


(´・ω・`) .。oO(でも、我が身のことしか考えていなかった訳ではない)

もちろんジェフのことも考えた

ジェフは殺人事件に関与しているかもしれないが

実行犯は彼ではないのだと妄想した


ジェフのアパートで人が殺されたことは事実だと認めよう

だが、その犯行はジェフの手で行われたものではないと考えた

ジェフは嵌められたのだ、誰かの罠に嵌ったのだ

ジェフはきっと死体を見つけただけで殺人には関与していない

むしろジェフは被害者なのだと


(´・ω・`) .。oO(…………聞いていて感じたと思うが)

こんな都合のいい憶測はジェフのことを想うと言うよりかは

自分の精神を守るための現実逃避の側面がおおきかったと思う


こんなことを考えることも嫌だ

ボクは仕事に没頭した

仕事のことしか考えないようにできうるかぎり努めた

でも現実は待ってはくれない

ボクは仕事を打ち切り上司に休暇を要請した

滞在がどれくらいの期間におよぶか分からないが

母のもとへ行かなければいけないと

できる限り情報を秘密にして簡潔に報告した


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