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第11話 希望の継承者

 広場に白い光が散ったあと、街は熱狂に包まれていた。

 NPCたちは感謝を口にし、プレイヤーたちは僕の名前を連呼する。


「白百合が街を救った!」

「新入りの補助士、すげえ……!」

「蓮、希望の継承者だ!」


 Paneが眩しく点滅し、新しい称号が刻まれる。


 〈Title:希望の継承者〉

 Favorability(街全体):+2.0 → +2.5


 凡人だった僕が、もう凡人ではなくなったことを、誰よりもPaneが証明していた。



「蓮」

 剣姫がそっと隣に立つ。

 大剣を肩に預け、穏やかな微笑を浮かべていた。


「あなたは、もう“ただの補助士”じゃない。この街の未来を選んだ存在よ」


 胸が熱くなる。

 だが同時に、不安も広がっていた。

 あの継承者は消えていない。崩壊の未来を完全に断ち切ったわけでもない。


 ――そして。


 Paneが突然震えた。

 視界の端に、黒い文字が走る。


 〈System Whisper〉:管理者プロトコル起動。対象“継承者”を観測します。


「……っ!」


 広場の上空に、黒い人影が現れた。

 顔のない仮面。無数のコードのような鎖をまとった異形。

 赤牙の継承者も霧の中から姿を現し、その存在に目を見開く。


「……管理者、だと?」


 声が戦場に響き渡った。


『裏仕様を弄ぶ者たちよ。凡人の域を超えた代償を払え。――未来を継ぐのは、一人だけ』


 空気が凍りついた。

 管理者は、僕と赤牙の継承者、どちらか一方だけを“次代の継承者”として残そうとしている。


 剣姫が僕の手を握る。

「蓮。選ばれるのは、あなたよ」


 でも、赤牙の継承者は冷笑した。

「選ぶのは俺だ。凡人はここで終わる」


 広場の中央、Paneが勝手に開き、赤と白の光が交差する。

 ――最終決戦が始まろうとしていた。

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