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第七十八話 大国イダンカへ

 オレが暇つぶしにと思って何となく用意したオセロのせいで、我々一行の中でオセロブームが巻き起こっている。

 楽しんでいる彼女たちへ、余計な水を差さないように少しだけ気を使っている…。それほどに楽しんでもらえているのであれば嬉しいのだが、このまま進むとオレと同じでみんなが引きこもりになってしまうかもしれない…と思うと少しだけ怖くなってしまった。


「みんな、たまに体を動かすようにね?出来れば馬車と一緒に歩くのがいいかも」

「「はーい」」


 もうすぐイダンカに到着するのだが、森を抜けてからみんなはずっとオセロと向き合っていた…。

 それこそ道中はもちろん、夕食の後も、お風呂上りまで…。


 オセロを作ってから、オレはずっと御者をすることになってしまったので、その点だけ作ったことを後悔してしまった。

 でもそのおかげもあって、イレーナとずっと話すこともできているのだが…。


「出来ればみんなと話したりしたかったんだけどねー…」

「しょうがないかもしれませんね…。みなさんオセロに夢中ですから」


「自業自得ってやつか…」

「かもしれませんね。──あっ!イダンカが見えてきましたよ」


 イレーナのそんな言葉で、オレは今まで話していたことを置き去りにして、まだ先に見えている街に意識を持っていかれてしまった。


「大きいな。ローフリングと変わらないか、それ以上の広さがありそうだな」

「本当ですね。どうでしょう…この距離だと、今日中の明るい時間に到着するのは難しいかもしれませんね」


「じゃあ今日はもう少し進んで、入国は明日にしようか」

「わかりました。食料も余裕がありましたね」


「道中に狩りがうまくいったのもあるからね」

「そうですね。それに入国する前に、信希の力が知られないように打ち合わせもしないと…」


「そ、そうだな!この馬車の事もバレると大変なことになるな!」

「今回は自重してくださいね…?長く滞在できなくなってしまいますからね?」


「わ、わかったよ…」


 オレはこの旅の途中で何度も何度も『力を使いすぎるな』とくぎを刺されてしまった。

 これまでに色々な場面を経験してきているので、ある程度は抑えることもできるだろうと考えていた。

 あとはケモミミ様が関係していなければ…の話だ。


 そうして夕方まで進んで、オレたちはこの旅最後の野営…馬車の中で夜を過ごすことになった。


 ──。


 昨晩もオセロ大会になっていたが、オレは手の空いている人たちと会話をして過ごしていた。

 イダンカでやりたいことなど、欲しい物、食べたいものなんかの話をしているうちに、眠ってしまう人たちが出てきたので休むことになった。


 今朝もいつも通りに朝食にしてみんなの食事が終わってから、イダンカに入国する時について打ち合わせをした。

 準備も整ったところで出発となった。


 ──。


「入国のタイミングはやっぱり緊張するなぁ…」

「大丈夫ですよ?と言っても慣れないと難しいかもしれませんね」


 オレとイレーナが御者をして、数名は外を歩き、残りの人たちは認識阻害されていない馬車の中に居た。


「身分証はあるか?」

「はい──」


 門番らしき人物へオレたちの身分証を渡して、全員の確認が済んだところで特に何もなくイダンカへ入国することが出来た。


「なんかあっけないな…」

「ふふっ。そんなものですよ」


「そっかぁ…」


 どうしても元居た世界の常識で、入国にはパスポートや厳しい検査のイメージがあるから緊張してしまうのも無理はないのだろうか…。


「じゃあ、まずは宿を探そうか」

「そうですね。動きやすいように街の中心あたりで宿を取りましょう」


 御者に慣れてきたとはいえ、自分の操縦している馬車で街の中を進むのは流石に怖かった。イレーナがしっかりサポートしてくれたおかげで、なんとか宿が集まっているあたりまでたどり着くことが出来た。

 自動車の免許を取得するまでの間に、変に緊張してしまう感覚に似ていた。


 そして、そのまま何も起きることもなく、厩舎付きの宿に到着することが出来た。

 馬車を停めて、宿泊の受付を済ませる。でも、宿の部屋と馬車の中かどちらで寝るか…。部屋を見るまでもなく、馬車の方が快適なのは明らかだからな。


「馬車の中にぞろぞろ入ってるの見られるのはあんまり良くないよね」

「ん-…そうですね。でも認識阻害を使って中に入れば、そこまで気にする必要もないのかと思いますけど」


「なるほどな。まぁ各自で、どっちで過ごしたいか決める感じでいいね」

「「はーい」」


「この後はどうするんだ?まだ昼ごろだからな、必要なことがあればさっさと済ませてオセロをしよう」


 ミィズは気が利くなと思ったが、最後の一言で一気に台無しになってしまうのが少し面白かった。それほどにハマっているみたいで嬉しいんだけど。

 昨日止まらずに馬車を進めていたおかげで早めに到着できたからな、できるだけ面倒なことは今日中に済ませておきたいところだ。


「そうだな、狩りで剝ぎ取れた素材なんかを売るのと、魔法具店を見つけたいな。水晶は大量に必要になるから、できるだけ店舗を分けて購入しておきたいな。まとめて買っていると怪しまれそうだし…」


「とりあえず今日は、そのくらいで良いでしょうね」

「ふむふむ、どうする?別れて行動するか?」


「どうしようか…用事を済ませたら、みんなで食事にでもしないか?それだったら一緒でもいいと思うけど、行動しにくいかな」

「ごはんっ」


「宿で食べるんだったら、居残り組が居てもいいと思うが」

「みんなはどうしたい?」


 オレの気分的には、街中を見て気に入った店に入ってみたいのだが、この人数になると自分だけで決めるわけにはいかないよな。


「ボクは信希と一緒にいく!」

「わたくしも街を見てみたいですの」

「ワタシは素材の売却にお付き合いします」

「みんなが行くならレストも一緒がいいー」

「お酒…お酒…」

「余も色々見てみたいですじゃ」


「行ってみたい人も多いね、ロンドゥナとミィズは?」

「では私も行こうかな、食事するのであれば一緒の方が手間が少ないだろう」

「むう、オセロをしたいところだが、せっかくの街だからな。一緒にいくとするか」


 そんな感じで、みんなで行動することになった。


「そういえば、イレーナは着替えなくても平気なの?前に着替えておかないといけないみたいなことを言ってなかったっけ」

「それはもう必要なくなったので、楽なのでこちらの恰好がいいです」


「必要なくなった…?どゆこと?」

「あの格好は、白狐人族と知らせるためのものでもあるんです。今のワタシは、信希の力になることで役目を果たしていくので他の人たちに知らせる必要はありません」


「な、なるほど…?」


 オレが御使い様だと分かり、あの特殊な服装はそのためにも必要だったってことか。


「じゃあみんな行こうか」


 ──。


いつもありがとうございます!


執筆するだけじゃなくて、他の事も色々やった方がいいことがあるみたいで…、そちらの方もしっかり考えていけたらいいと思っています。

これからもよろしくお願いします!


3/7 追記:まさかのタイトル付け忘れに加えて章設置を忘れていました。

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