第六十三話 どうすんの?これどうすんの?
最近の出来事をミィズに相談して、しばらく話し込んでいただろうか。
お風呂に入っていた皆がお風呂から出てくる。
「信希さま、大浴場というのはすごいのじゃ。本当にありがとうなのじゃ」
「広くて温かくて気持ちよかったのぉー」
「広いからいっぱい遊べるの!」
「そう?それはよかったよ。頑張って作ってよかった」
「トイレもすごかったですの…。レバーをあげるだけで綺麗な水が流れるなんて考えることもできませんでしたの…」
それぞれ色々な感想があるみたいだったけど、概ね満足してくれていそうなので安心した。
「みんなにそれぞれの個室も準備しているからね。部屋の大きさは一緒だし、ベッドと布団もおなじだけど、好きなところを選んでね?」
「見てくるっ!」
「あ、ちょっと待って?入口に自分の名前を書いている札を付けておいて?そしたら誰の部屋かすぐに分かるでしょ」
「おおおーっ!すごいすごい!」
「レストの住処探してくるのぉ」
「わたしも見てきますっ」
彼女たちはいつも最高に可愛い。ケモミミが最高じゃぁ。喜んでいる時は自分の意識とは別の本能的な動きをするからな。そんなケモミミを見せられたら夢中になるだろう?つまり最高だということだな。
「楽しそうでよかった」
「信希さまは自分の要望などを取り込まれたのかの?」
「ん-。そう言われるとないかな?そもそも馬車を魔改造してみたかっただけだし…」
「してみたかっただけ…なんてことですの…」
彼女たちは髪をタオルで乾かしながら、オレとミィズが寛いでいるスペースで一緒にゆっくりするみたいだった。
ちなみにタオルは、彼女たちが馬車が動き出してすぐにお風呂に入りたいと言っていたので急いで創造した。
「信希よ、さっきの話をユリアにもしたらどうだ?」
「…」
「話?なんのことじゃ?」
「信希がユリアとイレーナの事でワシに相談してきた話だ」
「わ、わかった。話すから…。オレからしたらちょっと信じられないんだけど…。ミィズはオレとイレーナが寝ていたら混ざりたいと言っていた。ユリアもそんな風に考えたりする?」
「なるほど…、それはステキなことかもしれないのじゃ。イレーナは余にちゃんと優しくしてくれるからの。信希さまと先に結ばれても大きな顔一つしない魅力的な女性じゃからの、彼女の色々な一面を見れるやもしれぬのじゃ」
「ほらな?」
「じゃ、じゃあ!もしもそのイレーナの位置が全く知らない女性だったら?」
「…噛みついて奴隷にしますじゃ」
「ほらな?」
っち…。ミィズのドヤ顔が…。
「信希様は悩んでおられますの?」
「あ…、メキオンの前でする話じゃなかったな…。ごめん」
「わたくしも、それなりの教育を受けておりますの。このくらいで照れたりしませんの」
いやぁ…、オレの元居た世界だったら軽く犯罪になりそうな案件ですよお姫様…。
「そう…?今度からは気を付けるよ…」
「そんな必要はありませんの。わたくしもよければ加えていただきたいと皆さまにお伝えしていますの」
「は…?」
「ですから、わたくしも信希様へ嫁ごうかと思っていますの」
「…」
いや待て、メキオンって十六歳とか言ってなかったか?あれ?日本の法律だと結婚できる?いや、待てよ。これはとても危険だ。他でもない、オレが例のアレに認定されてしまうじゃないか…。確かに彼女も魅力的な女性だと思うけど、それはまた別の話だろう…。
「ちょ、ちょっとまって。メキオン、流石に決めるのが早すぎるんじゃないか?」
「あら、そんなことありませんの。これだけの女性が信希様を愛していて、ミィズ様はお子様を欲しいとおっしゃっておりましたの。むしろ決定が遅いくらいとおもっておりましたの」
「メキオンはまだ子供じゃないか…?」
「あら、信希様この世界で王族ともなれば十五歳には婚約者くらいいるのが当たり前ですの。わたくしは婚約者が出来ないようにうまく立ち回っておりましたの」
「出来ないように…?」
「はいですの、わたくしは政略結婚などに使われるのは嫌ですの。愛せる殿方をずっと探しておりましたの」
「それがオレ…?こんなのでいいの?」
「ふふっ『こんなの』がいいんですの」
待て待て!流されるな!色々問題がありそうだ!
「待ってくれ!オレの元居た世界だったら十八歳からじゃないと結婚したり子供を作ったりできないんだ!メキオンはその年齢にもなってないだろ!さすがにオレも認められない!」
「ではあと二年もすれば結婚してくださるんですのね!?」
「ほらな?」
「え、えらいこっちゃあああああああ!!」
──。
馬車を停めて一度休憩するためにイレーナとロンドゥナが馬車の中に入ってきた。
「信希はどうしたんですか…?なんかすごくやつれてますけど…」
「…」
「墓穴を掘っているのさ、みんなを愛してやると認めるだけで良いのに変に考えるからこんなことになる」
「その話をしていたんですね」
「余もおかしなことを聞かれたのじゃ。信希とイレーナが寝ていたらどうする?と」
「それは…、なんて答えたんですか?」
「悪くないなと、なんなら余は一緒でも全く問題ないのじゃ」
「少し恥ずかしいですけど…ユリアさんなら一緒でもいいかもしれませんね」
「ほらな?どうよ信希」
「…ほらな?じゃないよ…オレは真剣に悩んでいるのに…」
「ワシらも本気だ」
「さいで…」
正直、もう諦めかけていた。
完全にアウェーになりつつあるオレに残されたカードと体力はゼロに近かった。
「ロンドゥナ、お主はどうなのじゃ?やはり御使い様絡みで信希と一緒に居るのかの」
「そうだな、信希は本当に良い男だ。七人が八人になるだけなら私も世話になるかな。この部屋も良い、風呂もトイレもキッチンもある馬車なんてな。我らの集落よりも良い生活だ」
「ほらな?信希、そろそろ諦めておけ」
「どうすんだこれぇ…誰か代わりにググって答えを教えてくれぇ」
みんなが御使い様がどうのって話を切り出してきてから、明らかに流れが変わってしまった…。まさかこんなことになるなんて…。
だからってこのままずるずると話を引き延ばしにするのも失礼だし…。そもそも同志たちにも怒られてしまうかもしれない…。
もういっそのこと、みんなと一緒に居たいと伝えてしまおうか…。
「あ…」
「どうかしたか?」
「わかった!オレは決めたぞ!」
「お?全員を愛するか!」
「ちがう!まずは神に会うって話だったじゃないか!答えを決めるのはそれからだ!それまで考える時間をくれ!」
「ふふっ、信希らしいですね?もちろん構いませんよ」
「余も全く問題ない。気持ちは伝えているんじゃからの」
「ああ、それなら問題ないじゃろて、神にあってからそれからどうするのかみんなで決めようじゃないか?」
「そう!オレが言いたかったのはそれだ!みんなで決めよう!みんなも大切な人生だ!みんなでしっかり悩んで考えようじゃないか!」
「悩んでいるのは信希だけだからな?」
「よぉおし!考える時間は必要だったよな!みんなもゆっくり考えよう!」
「ダメだこりゃ、話を聞いておらん」
そうだ。とりあえずは神に会ってみないと、みんなのことも考えられないではないか。そもそも御使い様がどういったモノかも確認しないといけないし、オレは普通の人間かもしれないからな。
この世界の神とやらに会って、みんなには聞けないこの世界の事を聞いてから考えよう!
──。
いつもお読みいただきありがとうございます。
少し遅くなりました。
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