第三十八話 策謀
「おわあぁぁっ!!な、なんでここにっ!?」
思わず自分でもビックリしそうな声が出てしまう。
「─信希!?どうしました!?」
「信希!どうしたのっ!?」
シアンとイレーナがいち早く駆けつけてくる。
「こ、これ…」
「…?」
「あれぇ?お姫様だね?」
そう。シアンの言っている通り、この国のお姫様が馬車に乗っていた。
「どうしてここに…?」
「信希、食事を準備する前までは乗っていませんでしたよ…」
「驚かれるのは無理もありませんね。少しお話させていただいても?」
「あ、ああ。もちろんだ。食事は…流石に高級な物しか食べれない?」
少し失礼かな、とも思ったが相手は一国のお姫様だ。流石に庶民の味には馴染みがないのではないかと思ってしまった。
「まぁ、いいんですの?今日は朝から大忙しで何も食べていませんの、よければ食事を頂きたく…」
「オレの分は余ってるから食べちゃって?」
なにやら、いきなりとんでもないことになったな…。
──。
「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「お粗末様でした」
お姫様の食事風景は、とても一国の姫とは思えないほどの食べっぷりだった。
イレーナは最初こそ不安そうな表情をしていたものの、食事が終わるまでは何もしてこなさそうだったので少しは警戒を解いているみたいだ。
「それで、お姫様がいきなり何の用?どうしてここにいることが分かった?」
「わたくしも、信希様に一緒に連れて行って欲しくてここに来ましたの」
「…え…?」
オレはこの世界に来て一番驚いているかもしれない。
今日の王城での会話やお姫様に対する態度などを総合して、まさかそんな答えが飛び出てくると思っていなかったからだ。
「ど、どうして?何が目的?」
オレは動揺のあまり、アホっぽい返しと質問になってしまう。
「わたくし、信希様にとても興味がありますの。これだけ強大なお力を持っていながら、人間の世界や自身の立ち位置に全く興味の無い方は初めて出会いました。わたくしも一緒に連れて行ってくださいな?」
「ん-…、旅路はそれなりにしんどいし、お姫様には厳しいんじゃないのか?」
「信希様、わたくしのことは『メキオン』とお呼びください。それに、わたくしは王城で生活こそしていますが、旅や冒険にはそれなりに心得がありますの。得意とまではいきませんが、御迷惑にならない程度にはついて行けると思いますの」
「メキオン…さま?心得があるって言ってもな…」
「メキオンと呼び捨てで、わたくしがご一緒では迷惑ですの…?」
「そりゃ、まだ子供だし…。一国の王女を連れて行くなんてリスクが高すぎるよ…、それに国の人達が心配するから戻った方がいいって」
「信希さまはわたくしがお嫌いですか…?」
「そういうことを言ってるんじゃなくて…」
「どうすれば、納得していただけますの?」
「ん-…困ったな…。じゃ、じゃあ、オレの質問に全部答えてくれたら考えるよ」
「もちろんですの、何にでもお答えしますの」
なんなんだこのお姫様は…。
「じゃあまず始めに、国を離れても平気なの?」
「はい。問題ありません」
「どうしてオレに着いてきたがる?」
「そのお力をどう使われるのか興味がありますの」
「それはオレがローフリングを破壊するかもってこと?」
「いいえ。信希様を疑っているわけではありません。ただ、わたくしがついて行きたいんですの。その理由で一番大きな理由かもしれませんの、強大な力を『どんなことに』『どんな風に』使うのか。それが知りたいんですの」
「…歳はいくつなの?流石に王様とか心配しそうだけど?」
「今年で十六歳になりましたの。父上やこの国の心配はいりませんの」
「それはどうして…?」
「影武者を用意させていますから。あの子とわたくしの区別もつかない人達に興味などありませんの」
「昼頃話した時とは同一人物だよね、まったく違いが分からないけど」
「はい、どちらもわたくしですの。信希様はあの子にはあっておりませんの」
「オレたちはどこに行くかも決まってないんだけど、それでもいいの?」
「はい、わたくしも世界の様々なところを見てみたいですの」
「もし、着いてくるのを断ったらどうするつもり?」
「…考えておりませんでしたの…。意地でもついて行くつもりでしたから…信希様が諦めてくれるまでですの」
「ふぅ…どうしたもんんかなー…。みんなはどう思う?」
オレはこのお姫様をどうすればいいのか迷っていた。
「信希の負担にならないのであれば問題ないかと思いますが…、守る人が増えているわけですからね?」
「信希なら何の問題もないじゃろて、その娘も一緒にかわいがってやれば良い」
「ボクは構わないよ!ご飯が少なくなっちゃうのは嫌だけど!」
「レストも信希が居ればなんでもいいのぉ」
「余も構わないと思いますじゃ、変に後ろをついてこられる方が迷惑ではないのですかの?」
「そうそう、私も一緒に行くことにしたからな。戦力も増えているしいいのではないか?」
「わたしも反対はしません…」
あれ…?おかしなのが二つほど混じっていた気もするけど…。
みんなは旅の仲間が増えていくことにあまり疑問とか、嫌な感情とかは無いみたいだ…。
「メキオン様?最後に一つ。もしも、この中の誰かに危害を加えるようなことがあったら容赦なく始末するからな。それでも構わないなら一緒に来てもいいよ…」
「まずは、信希様の信頼を得るところから尽くしていきますの。よろしくお願いいたしますの」
「そう…か」
「それから…、メキオンと呼び捨てにしてくださいですの…」
歳を聞いてから、最初の印象よりも幼く見えてしまうメキオンにきつく当たりすぎている気もするが、彼女はどこまで行っても人間だからな…。この世界に来てからも、人間に関しては良い感情を持っていない。
いつ裏切るかもわからないメンバーが増えるのは、あまり好ましくないと思っていた。
「ああ…、メキオン…?」
「はいですのっ!」
そう元気よく返事をするメキオンの表情からは、オレを騙そうなんて感覚を覚えるはずもなかった。
──。
昨日のメンテナンスのおかげで、逆に集中して原稿を進めることが出来ました。
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感謝カンゲキ雨嵐です。
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