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第三十五話 確認と不安

 一緒についてきてくれているメンバーには、かなり負担になっていると理解しつつも、オレは自分の不安が現実にならないでくれと思いながら宿へと歩を進めた。


 馬車屋から宿までは二十分も歩かない距離だったので、早く着いたとは思っているのだが、その間にも不安になる気持ちは大きくなるばかりで、どこか落ち着かないまま宿に到着することになった。


 そして、宿に到着し裏手にある厩舎と馬車置き場を確認する。


「どれがイレーナたちの買ったやつか分かんねーだろ…何やってんだ…」


 相当慌てているのか、自分でも考えられないようなことをしている。


「信希さま、大丈夫ですか?どこか様子がおかしいですが…」

「大丈夫だ。少し考えすぎているだけだと思いたい」


 ユリアの言葉ももっともだと感じながら、オレは宿の中に入っていく。


「店主、オレの連れたちは戻ってるか?」

「いやぁーどうだろうか、朝に出て行かれてから見てないですが…。もしかすると少し離れている間にお部屋に戻られているかも知れません」

「分かった、確認してみるよ」


 そのままの流れで、オレたちは出ると決めた自分たちの借りている部屋に戻ることになった。


 ─ガチャ


 やはり中には誰もおらず、少し冷たく感じる空気が漂っているだけだった。


「信希さま…?どうしましょうか…」

「イレーナおねーちゃんたちどこいったのー?」


「少し考えさせてくれ」


 オレはそう言うとみんなを部屋の中に入るように促す。


「今考えている一番最悪な状況はイレーナたちが襲われていることだ。だけど馬車も購入していることから、街の中で襲われているのであればもっと騒ぎになっていてもよさそうなものだ」


「あの三人が襲われても返り討ちに出来そうなものですじゃ」

「確かに、イレーナもかなり強いはずで、ミィズも戦闘の心得はある。ロンドゥナに関して言えばフォレストバジリスクも倒すことができるみたいだったし、この街の騎士にも後れを取ることはないと思うな」


「どこに行ったんですかね…?」

「次に、少しの不安要素として考えているのが、オレがさっきの褒賞の貴族位を断ってから門の閉鎖が行われてしまった場合だ」


「なるほど…、それであれば門番たちが信希さまを知っていても不思議ではありませんね。そしてその前にイレーナたちは街を出たと…」


「うん。だけどすれ違いになる可能性がある…。いや、この場合街を先に出て、合流できるか確認した方がいいな。イレーナたちにも夜に抜け出してくるという話をしていたからな」

「すぐに出ますかの?」


「いや、もう少しだけ暗くなるまで待とう。みんなもお腹空いてるだろう?ご飯にして、部屋に戻ったらこの街を出よう」


「「ごはーん!」」


 そうして、不安要素を抱えたままであるがオレたちは一度食事をとることにした。


 ──。


「信希さま、落ち着かない様子ですが少しは皆のことを信用してはどうじゃ?」

「ああ…。解ってはいるんだけど、もしもみんなに何かあったらオレがオレを許せないんだ…」


 食事も終始手が付かず、イレーナたちの行動を考えたり、今日の行動でどこかおかしな所が無かったかずっと確認していた。


「大丈夫ですよ、信希さま。今は食事をして精を付けてくださいな?」


 ユリアはそう言いながら立ち上がり、考え込むオレを抱きしめていた。


「ユリア…?」

「心配なのは余らも一緒じゃ。それに、彼女たちが生きてさえいれば信希さまであれば、どんな状況からでも救い出すことができます。まずは合流地点まで落ち着いて行きましょう。考えるのはそれからでも遅くありますまい?」


 ユリアは優しく、それでいて安心させてくれるようにオレを気遣ってくれる。


「ユリア、ありがとう。確かに少し考えすぎているかもしれないな」

「ご飯を食べてください?」


 最近思うことがある。ユリアは、いつもは少し変わった喋り方をしているが、時折見せる敬語になる喋り方が本来のユリアの性格なんじゃないかと感じている。


「少しは余裕が生まれたみたいじゃな?余もなかなか気が利くのぉ?」


 ユリアはそう言いつつ、少しだけ照れているのかと思わせる表情で笑いかけてくる。


「ああ、ありがとう。しっかり飯を食べるよ」


 オレはイレーナたちとの合流場所に向かう前に、しっかりと腹を膨らませるのが良いというユリアの意見を聞きそれからは飯を食べることに集中した。


 ──。


「よし、じゃあみんなそろそろ行くけど準備はいい?」

「うん!」

「いいよぉー」

「いつでも行けます!」


「余も大丈夫ですじゃ、合流地点に向かうのじゃ」


 オレはユリアのおかげで、少しだけ気持ちに余裕を持てるようになっていた。

 慌てて行動しないように、少しだけ冷静になってるのか昼頃まで感じていた監視者のことを思い出す。


 ─。


 周囲は暗くなりすっかり夜になっていた。

 オレは部屋の中から窓の外を確認してみるが、あれだけ見つけやすかった監視者を見つけることは出来なかった。


「もういないのか…?」

「信希さま?行かないのですか?」


「ん、いやいや行こう」


 そうしてオレたちは宿を出る。


 ──。


昨日はサイトのメンテナンスだったみたいで、更新できずに申し訳ありません。

その代わりに今日は何本か更新できればいいと思っています。


よろしくお願いいたします。

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