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第百一話 子供たちとお出かけⅡ

「退屈じゃなかった?」

「平気だよっ!まさきがお家作るの見てたから!」


「それならよかった。カフィンたちが生活するところだからね、もう少し便利に出来るといいんだけど、オレたちの家みたいにはできないんだ。でも施設は良い物のはずだから」

「大丈夫!カフィンまさきが頑張ってるの知ってるから!」


 なんていい子なんだ…。

 可愛さといい子のダブルパンチで理性を失っていたのか、思わずカフィンの頭を撫でていた。


「えへへっ」

「あ、カフィンは行きたいところ決まった?」

「ん-…。無いかも…」

「そっかぁ。行きたいところが見つかったらすぐに言ってね?」

「うんっ!」


 この年頃の女の子をあまり知らないので、どんなものを欲しがるのかもよくわからないからな…。この世界の常識にも疎いし、困ったな。


「じゃあ、お昼までもう少し時間があるから、先に服でも見に行こう」

「「はーい」」


 昼食の前に、ヨーファが欲しいと言っていた服を見に行くことにした。

 ルーファー王からも報酬として金貨をたくさんもらっているので、金銭的には何も問題が無いくらいには所持金がある。

 本当は孤児たちの中で目立たないようにしてあげたいのだけど、その必要が無いくらいの服を選んであげられるようにすれば問題ないだろう。


「信希様、服でしたら取り扱っている商会に心当たりがございます」

「ん-、それはカフィンたちが着用するのに問題ない感じ?」


「中古や一般家庭向きの物を多く取り扱っているので問題ないかと」

「じゃあ、そこに行ってみようか」


 ユフィの案内してくれる店に行くことになった。

 子供たちには、どのお店がいいとかの判断はまだ難しいだろうから、流石にオレたちが決めてあげよう。


 ──。


「うん、二人とも似合っているよ」

「「本当っ!?」」


 自分が子供のころにも似たような状況があったのを思い出す。

 その服がカッコいいとかかわいいとか、よくわかってもいないはずなのに、新しいものを自分が着ることが出来るというだけでワクワクさせられた、あの感覚を二人は味わっているのだろうか。


「じゃあ、それともう二着くらい買っておこう。他にも欲しいものは無い?」

「探してみるっ!」


 そうして、少しの間二人のファッションショーに付き合っていると、二人は自分のお気に入りの服を見つけることが出来たみたいだ。

 ヨーファは男の子らしいカッコイイ服装を、カフィンは女の子らしいワンピースがお好みみたいだ。

 元居た世界では、子供に服を買ってあげるなんて経験もしたことが無かったはずなのに、こうして一緒に選んで買ってあげることに何の違和感もない。

 孤児たちの中でも目立たないような服を選んでくれたので、これといった不安要素もないから一安心といったところだ。


「お会計するね」

「「ありがとっ!」」


 ちゃんとお礼も言えるし、この二人はそこそこ良い育ちなのではないだろうか。


「これで会計を頼む。それから、この国で孤児院が開かれることになるんだが、知っているか?」


「こちら、お釣りです。そうですね、商会の方でも噂になっていましたからね」

「なるほど、その孤児院に匿名でいいから服を贈ってくれないか?金は多く渡しておくから」


「こちらとしては代金をいただければ歓迎です」

「ありがとう。中古なら金貨一枚でどれだけの人数に贈ることが出来るかな?」


「そうですね…。大人用に換算しておいて余裕を見ても百二十人分くらいになるかと思います」

「なるほど、じゃあとりあえずで金貨を二枚渡しておくよ。新しい孤児が入学することになったら、その度に贈ってあげてほしい。そのための費用も含まれていると思ってくれ」


「かしこまりました。ちゃんと役目を果たすのでご安心ください。このお金が無くなり次第終了とさせていただきます」

「うん、ありがとうね。金がなくなったらまた来るかもしれない。その時は頼むよ」

「かしこまりました、御贔屓にお願い致します」


 孤児たちの服が原因で問題は必ず起こるだろうと思っていた。そこでヨーファとカフィンが綺麗な服を着ていたら、必ずと言っていいくらいに問題が起きることは予測できるからな。

 このくらいの手はあらかじめ打っておこうと思った。

 オレが何から何まで手を回していては、頼られて上手く使われかねないからな。このくらいしておいた方がいいだろう。


「ユフィ?オレが何をしていたかわかる?」

「ご内密にとあれば、命令通りに」


「うん。じゃあ内緒にしておいて?」

「かしこまりました」


 ユフィのことはまだ信用しきれていない…。それ以上に、時間が経っていくにつれて、どんどん彼女の考えていることがよく分からなくなってしまう。


「流石は信希さまですじゃ」

「やめてよ、もともと俺が言い出したことだからね、これくらいは当然だよ」


「なになに?何の話?」

「そうじゃなぁ、カフィンやヨーファのために色々考えてくれているということじゃ」

「そうなのっ!?」


 ユリアも、子供たちに直接言わないあたり流石だなといった感じだ。

 ポミナは少し不思議そうな表情でオレのことを見ているから、よくわかっていないのだろう…。


「じゃあ、あとのことはよろしく頼む」

「かしこまりました。ご確認いただいていると思って行動します」


 ぽんぽんと金貨を出すオレを見て、店員は明らかに上客を意識した接客になっていたと思う。まぁ、そんなに気にはならないんだけどね。

 そうして挨拶を交わしたので、オレたちは店をあとにする。


「さぁ、そろそろ昼食にしようか」

「「うんっ!」」


「二人は何か食べたいものとかあるかな?」

「ん-…」


 ヨーファは悩んでいるみたいだ。


「カフィンお肉がいい!この前まさきが作ってくれたやつ!」

「ヨーファもそれでいい?」

「うん!」


 あの時の肉料理はただ焼いただけのものだったからな。それは夜ご飯にしておこうかな…?


「ユフィ、あの肉料理と同じくらいのが出てくるお店ってあるか分かる?」

「そうですね…」


 珍しく考えているような様子なので、ユフィも万能ではないといった感じが窺えた。


「あの時、信希様が作っていたソースがかなり特殊だと思うので、あのクオリティであれば難しいかと思います。別の食事であれば、問題ないとも思いますが…」


 なるほど、悩んでいたのはそういうわけか。


「カフィン?あの肉料理は夜ご飯にしないか?お昼は軽く別の物を食べよう?」

「うんっ!」


「子供が好きそうな食べ物は──」

「メニューの種類で言うなら、大衆食堂ですね」


「そこはお酒もある?」

「ございます。食べ物も飲み物の種類もこの街随一だと思われます」


「じゃあ、そこにしようか。みんなもいい?」

「お酒があるなら、もちろんです」


 すっごい食いついてくるよな。流石といった感じ。


「カフィンもいくっ!」

「オレも!」

「余も問題ないのじゃ」


「うん。じゃあ行ってみよう。ユフィ、案内をお願いね?」

「かしこまりました」


 ユフィに案内されるまま、大衆食堂へ向かっていく。

 五分ほど歩いただろうか、カフィンたちと話をしながら歩いていたのですぐに到着した。


「こちらになります」

「おお、大きいね。じゃあ入ろうか」


 ──。


いつもありがとうございます!


これからもよろしくお願いします!

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