Dear Bertrand Russell
何曲か後に、ギタリストは話を始めた。
この運動量である。凄すぎる。還暦過ぎて同じことが出来るギタリストが何人いるのやら。
まあ、確かにアンチもスキャンダルも多い。いや、多すぎる。決して、褒められる生き様、というより、偉人にありがちなダメ人間代表な感じ。
間違えても、上司に好きなアーティストは?と聞かれて、まず答えられないレベルである。
俺なら聞かれても、年齢的に無難な「バンド」とかを答える。間違ってもこの「ギタリスト」とは、絶対に言わない。
だが、実際には、バンドのギタリストにも関わらず、この声音でフロントマンになり、生き残るビジネス的嗅覚と、どこか不器用で、もがき続ける生き様は決して嫌いではない。
まあ、スキャンダルに解散原因と考えられる要因であり、もし、本当であれば、そのやり方もどうかとは思う。
ただ、俺は、国外で「KING of ROCK」だかなんだか知らないが、約10年も前に終わった映像を流し続けて、信者に仰ぎ立て祀られて豪華な椅子に踏ん反り返って座っている王様なんざ、椅子ごと蹴り飛ばしたくなる。
だったら、ダメ人間だろうが、評判悪かろうが、カッコ悪くても、もがいている方が、ずっと綺麗だし、俺の好みだ。そういう意味では、今持ってして、ギタリスト派、である。
このギタリストを見ていると、なんとなく、学生最期の長期休暇で夢を叶えに、と考えて疫病が流行り始めた頃にシベリアに行って、この令和でシベリア抑留を食らって入社式に来れなかった後輩を思い出す。何故それをやるのか?
そう考えると、別にギタリストについてどうこう思わないのは、歳のせいか。若い頃、また、このギタリストのバックグラウンドを考えれば、当時のその年代なんてみんなそんなもんだろう。
この「ギタリスト」の「バンド時代」の曲、解散の引き金となった「5枚目」のアルバム。初めてのオリコン1位。ようやく、形になってきた「アルバム」、「アイコニック」。
この「ギタリスト」には、そのアルバム名を使って作られたソロとなってからの「楽曲」がある。
「鼓動への衝動」だったか?造語だったはず。
確かに「音」自体は「バンド時代」の音と非常に近い。
しかし「歌詞」は完全に「後悔」になっている。
「戸惑い迷っている」。「バンド」でも「ソロ」でも「彼」らしくはない。「色」が「青い」。
確かにプロファイルされる「彼」は、どちらかといえば「衝動的」だ。だが「能動的」ではない。「多面的」ではあるが「その時の感情に素直」だ。大変「人間臭い」。
変わり続ける「1人目のヴォーカリスト」。
学生時代からの「憧れ」であり「変え難い敬愛」。
そして、おそらく、垣間見える耐え難い「嫉妬」。
そういえば「彼」の代表的なアルバムは「王様と女王」というタイトルであった、と思い出す。俺も発売当時から持っていた。ポップな感じ。嫌いではなかった。というか、昔の俺はこの「ギタリスト」の「ライトファン」ぐらいだった。
まあ、精神面で判断すれば「彼」は女王で、「もう1人」は「王様」だろう。「彼」は「能動的」ではない。
外観から考えると「彼」が王様で、「もう1人」が「女王様」だろうが。
ただ、そうであれば「彼」は「王配」だ。「カカア天下に空っ風」。結論は見えているとしか言えない。
だから、最後の時、彼は「自分の気持ち」だけを「SNS」乗せたんだろう。批判は酷かったが。当時の記録だと、ほぼ最大級のバッシングである。どこぞの「犯罪者」レベルなバッシングだった。酷い記録である。
「彼」なりの「ラブレター」。どこか、不器用な「彼」。