Russell's teapot
大体、「ギタリスト」に歌まで求めるのは違う気がする。それでも、長い月日が経つとしても、記憶は残り続けるのか。
ギターの音と同じように歌声自体がある意味、特徴ありすぎる方だ。誰が聞いても本人だと一発でわかるし真似できない。
まあいい。通路側、俺からすれば右側はいわゆる、ファンの方だ。今更、疫病下だから話すな、とかいうつもりもない。
しかし、左側。
どう見ても、小学校低学年。
6歳か7歳だ。
・・・おい。ロックンロールの原義を考えろ。普通にアウト感がやばい。何考えているんだ、親は?
以前、母親と見た20年近く前のコンサート。
その時の音色は、酷く苛立ちが入った音だった。
攻撃的で、どこか粗暴な音。
ギターの音色という空気信号でも、「何か」感情が乗るということがわかった日。酷く不思議だった。
感情は言葉以外でも載せられる、というよりギターの音色に色が付く感覚だった。
今よりは曲も知っていたが、それらの曲に苛立ちが乗っていた。それが1番強く印象に残っていた。
あれを考えると、小学校低学年に本気で聴かせるのか?マジで?洗脳教育レベルで子供が聴くにはどうかと思う。下手したら「非行少年」になるぞ?
いや、あれから20年近くの月日が経つ。たぶん、大丈夫なはず。感覚は人それぞれだしな。
いや、しかし。なんで、俺は渋谷公会堂で「教育論考」についてなんて考えているんだ。
気分を切り替えよう。
開演時間まで、新曲?なのか、ツアータイトルの曲を聴く。なんだろう。すごく「らしい」曲で、思わず笑った。
この「ギタリスト」は、ご自身がこの世界から消える最期の時に、最高の音を出すその時まで、きっと、止まらないんだろう。そんな気にさせられる。
「夢」か。耳が痛いな、大人になると。
いつまでも声高に「夢」を追いかけるギタリスト。
この隣の席の少年にも、どうか、その「夢」を届けてほしいな。と純粋に思った。